「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」(原題:5 Flights Up、2014)を見た。2020年最初の映画。ニューヨーク市ブルックリン区ウイリアムズバーグを舞台に、夫婦と愛犬が直面した危機と彼らの絆をモーガン・フリーマン&ダイアン・キートンのW主演で描くハートフル・コメディ。 2014年9月にトロント国際映画祭でプレミア上映された(その時のタイトルは「Ruth & Alex」)。
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長年ずっと連れ添ってきたルース(ダイアン・キートン)とアレックス(モーガン・フリーマン)のカーヴァー夫妻は、40年間住み慣れた5階にある眺めの良い部屋を、将来足が弱くなった時に「エレベーターがない」のは不便だという理由で売却しようと試みる。
かつては下町だっタイースト・ヴィレッジも今ではおしゃれなエリア。二人の部屋も90万ドル(約1億円)程度の値がつくようになっていた。姪で不動産営業のリリー・ポートマン(シンシア・ニクソン)を介して、内覧会を開催することになる。
病院に連れて行かれる愛犬ドロシー
しかし、その前日、年老いた愛犬ドロシーが急病を発症。病院でCT検査を受けたが、獣医師によると、椎間板(ついかんばん)ヘルニアという。成功確率6割の手術を受けることになった。 手術費用は10,000ドル(約120万円)と高額で、アレックスは当初諦めると言ったが、ルースの説得もあって、手術を受けることにした。同じ頃、近所でテロ騒動が勃発した。
ルースとアレックスの出会った当時の時代も描かれながら不動産交渉が進められていくが・・・。
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「契約はしないってどういうことよ」と売り手夫婦と怒り狂うリリー(右)。
アメリカの不動産売買の進め方が面白い。内覧会には見学客がアポイントを取って随時訪問してくる。おおよその相場はあるが、見学者が金額をオファーし、複数の希望者による入札が行われる。不動産ブローカーがオファーした人たちの間に入って交渉する。
ルースとアレックスは現在のアパートを売って新居となるアパートを探すことになり、数件歩き回った末、マンハッタンに希望のアパートを見つけた。不動産仲介者のリリーに言わなかったことから、話がこじれるが、リリーが希望のアパートを担当している仲介者と交渉することになった。
愛犬ドロシーの病気も治り、テロの犯人も逮捕され、様々考えた末のアレックスの結論は・・・。
■主な出演:
アレックス・カーヴァー:モーガン・フリーマン (画家)
ルース・カーヴァー:ダイアン・キートン (元教師)
リリー・ポートマン:シンシア・ニクソン (不動産仲介ブローカー、ルースの姪)
ミリアム・カーズウェル:キャリー・プレストン
若き日のルース:クレア・ヴァン・ダー・ブーム
若き日のアレックス:コーリー・ジャクソン
ラリー:マイケル・クリストファー
ジャクソン:ジョシュ・パイス
愛犬ドロシー(10歳のメス犬)
不動産仲介営業のリリーは口が達者なセールスウーマンだが「セックス・アンド・ザ・シティ」のシンシア・ニクソンがパワフルに演じている。アレックスが結局、しばらくは今のアパートに住み続けるというと、リリーは「今までの私の苦労はどうなるの」と手のひらを返したように罵声を浴びせるシーンが凄まじい。背中を向けて歩き出し右手の中指を突き立てて怒りを顕にしていた。ルースとアレックスの若い頃を演じている俳優は、声のトーンや外見など違和感がなかった。
若いルースとアレックス
愛犬ドロシーは10歳という老犬で、エレベーターの無い階段を5階まで登るのはキツそうだった。リードを引っ張っても、反発気味だった(笑)。ヘルニアと診断されて、足に包帯を巻かれてケージに入れられて寝かされているのはかわいそうだった。手術に成功して、飼い主が目の前に現れたときの喜びようは・・・。
名優モーガン・フリーマンとダイアン・キートンの名コンビで見せるしみじみとした味わいのある映画だった。