「最高の人生のつくり方」(原題:And So It Goes、2014)を見た。
劇場公開はされずにDVDのみとなった作品。「最高の○○」といった似たようなタイトルの映画(「最高の人生の見つけ方」など)もあって紛らわしい。さらにWOWOWで放送された時には「最高の人生の描き方」というタイトルだった。
監督のロブ・ライナーは「スタンド・バイ・ミー」で少年の青春を撮ったり「ミザリー」で狂気な女性を撮ったり「恋人たちの予感」のようなラブコメだったり、この映画のように熟年同士の大人のロマンスを描いたりと、多彩なテーマを取り上げる監督だ。
「最高の人生のつくり方」は、妻に先立たれた偏屈な男やもめが、突然孫娘の世話を任されたことをきっかけに、家族や所有するアパートの住民らと心を通わせるようになるまでを描くハートウォーミングムービー。
不動産営業マンのオーレン(マイケル・ダグラス)は自分勝手で偏屈。
妻に先立たれ、自宅の豪邸を売りに出す間、所有するアパート“リトル・シャングリラ”で一人暮らしをしている。
が、その性格からアパートの住人からも煙たがられていた。
自身の敷地内に黒い犬を発見すると、車から機関銃(実はモデルガン)を取り出して犬をめがけて発砲する。それはペイント弾だった。犬の撃たれたたれた箇所がペンキで黄色く塗られるのだ。その後、その犬は、名前を「ペイント」と名付けられ引き取られることになる。
ある日、疎遠になっていた息子ルーク(スコット・シェパード)がやってきて「刑務所に入るのでその間娘を預かって欲しい」と頼まれる。
オーレンは自分には無理だと断るが、ルークは強引に娘サラをオーレンの元に残していく。しかたなくオーレンは隣に住む未亡人でシンガーのリア(ダイアン・キートン)にサラを預かってもらいながら、サラの母親リタを探すことにする。
アパート住人の警察官に調べてもらい、不安がるサラをリアを伴ってリタの元へ連れて行くが、会ってみるとリタは顔に痣(あざ)を作り、薬で足元もおぼつかない。
そんな有様をみたオーレンはさすがにサラを預けられず連れて帰る。
サラの誕生日のその日、オーレンはリアとともにサラを連れて遊園地で過ごし、互いのことを話し合い打ち解けていく。
仕事がらみの無実の罪だったルークを釈放させるために弁護士を雇い、サラのための部屋を用意し、リアにシンガーとしての仕事も世話するようになった。
アパートの住人ケネディが急に産気づいたところをオーレンが取り上げたことで、住人たちとの関係も良くなった。
リアともいい関係を築いていけそうなオーレンだったが、売りに出していた自宅が売れたという知らせが入り、ルークの釈放も決まったことからオーレンはかねてから予定していたバーモンド州の家に引っ越すことにする。
可愛いサラの行く先は・・・。
出所したルークにサラとアパートを託し、リアには何も言わず町を出ようとしたオーレンだったが、離れることに耐えられず彼女の元に戻る。こうして“リトル・シャングリラ”でオーレンは愛する家族やアパートの住人に囲まれて幸せな日々を過ごすようになった。
監督:ロブ・ライナー
出演:
■マイケル・ダグラス(オーレン)…不動産会社の営業マン。70歳前後。
10年前に妻を亡くした。豪華な自宅を860万ドルで売ろうとするが、相場は580万ドル。自身は、売れるまでは所有するアパート「リトル・シャングリラ」暮らしで、売れたら、田舎に引っ越そうと考えている。
■ダイアン・キートン(リア)…夫を亡くし、オーレンのアパートの隣に住んで、夜はクラブで歌っている。65歳。オーレンの孫娘がやってきて、その父親が刑期を終えるまでの9ヶ月間、一緒に暮らす事になる。
■スターリング・ジェリンズ(サラ)…まもなく10歳になる、オーレンの孫娘。絵を描くのが得意。オーレンが娘の実母にあわせるが、薬づけになっていて、父親が出所するまで、リアのもとで生活することになる。
■スコット・シェパード(ルーク)…オーレンの息子だが、クスリに手を出し、服役中。オーレンとは疎遠になっていたが、娘を預かってくれるところがないため、強制的に頼み込んできた。
■クレア(フランシス・スターンハーゲン)…不動産事務所の女社長。オーレンのよき理解者で相談相手。
・・・
映画のオープニングにかかる音楽は、懐かしい!
映画「青春の光と影」(原題:Changes,1969)でテーマ曲で使われていたジュディ・コリンズの歌(Both Sides Now)だった。一気に映画に引き込まれた。
「青春の光と影」のテーマ曲
ダイアン・キートン扮するリアは、小さなクラブで歌っているが、その歌う曲の中には、映画「いそしぎ」(1965)の主題歌シャドウ・オブ・ユア・スマイル(The Shadow
Of Your Smile)や、映画「トップハット」(1935)でフレッド・アステアが歌う”チーク・トゥ・チーク(Cheek to Cheek)”さらに”ブルー・ムーン”など次々に音楽が流れるのだ。
主人公のオーレンが、不動産を見に来た30歳らしき夫婦に、バイキングのキッチンは、サミー・デイヴィスJr.も愛用していた、と言っても「だれ、それ?」というのがおかしい。
どちらも伴侶を失った熟年男女の老いらくの恋をたて糸に、そこに関係する周りの人達との交流などを描いている。オーレンとリアのやりとりなどがなかなか面白い。かなりツボの映画だった。小ネタ(セリフ)もいい。劇場公開されなかったのが不思議なくらいだ。
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