映画「エレファント・マン」やテレビドラマシリーズ「ツイン・ピークス」などで知られる米監督のデヴィッド・リンチが死去した。家族がSNSで16日(日本時間17日)に発表した。78歳だった。
3日後の誕生日前に亡くなる。
デヴィッド・リンチは1946年1月20日、米モンタナ州ミズーリ生まれ。1967年に最初の短編映画を作成。
低予算で超現実的ホラー映画「イレイザーヘッド」(1977)で長編映画デビューし有名となり、1980年公開の「エレファント・マン」で米アカデミー賞作品賞など8部門でノミネートされ、一躍知名度を上げた。
「デューン/砂の惑星」(1984)は監督の意欲作だったが、ファイナル・カットの権利を有していなかったため、配給会社により大幅にカットされてしまい、興行面と批評面の双方で失敗してしまう。
その経験が生かされ1986年の「ブルー・ベルベット」では大幅な予算カットの代わりにファイナル・カットの権利を手に入れ、自身の思い通りに制作することに成功した。
本作はアメリカ国内でセンセーショナルな話題を呼んで賛否両論を巻き起こしたが、アカデミー監督賞に再びノミネートされたことで復活を果たした。
1990年にはテレビドラマである「ツイン・ピークス」(ABC)が放送開始。同作品には俳優としても参加。ドラマは世界的に大ヒットした。「カルトの帝王」と呼ばれることもある。
同年には「ワイルド・アット・ハート」でカンヌ国際映画祭に悲願の初参加を果たしパルム・ドールを受賞。
11年後の2001年には「マルホランド・ドライブ」で同映画祭の監督賞を受賞した。同作は3度目となるアカデミー監督賞にもノミネートされ、2016年にはBBCの企画「21世紀最高の映画100本」で1位に選ばれた。
2019年10月27日、第11回ガバナーズ賞においてアカデミー名誉賞が授与された。アカデミー監督賞に3度ノミネートされたリンチにとって初めてのオスカー受賞となった。
授賞式にはカイル・マクラクランとローラ・ダーン、そしてイザベラ・ロッセリーニがスピーチに登壇。
記憶に新しいところではスティーブン・スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」(2022)でジョン・フォード監督役を演じていたのが印象に残る。
「フェイブルマンズ」ではフォード監督役。
2024年にリンチは「長年の喫煙」により、息切れを引き起こす肺気腫と診断されたことを明らかにしていた。
家族の個人の公式フェイスブックによると「私たち家族は、深い悲しみとともに、このたび、映画監督、テレビ監督、音楽家、芸術家であるデヴィッド・リンチの逝去をお知らせいたします」と報告。「彼がいなくなった今、世界には大きな穴があいています。しかし、彼がよく言っていたように『穴ではなくドーナツに目を向けてください』」と声明を発表した。
ご冥福をお祈りいたします。