

新海誠監督によるアニメ版「秒速5センチメートル」(2007)を再見。切ない初恋と距離の物語を繊細に描いた名作と言われる。全体は3話構成。
第1話「桜花抄」


物語は小学生の遠野貴樹(タカキ)と篠原明里(アカリ)の出会いから始まる。二人は心を通わせるが、やがて明里が転校することで物理的な距離が生まれる。手紙や再会を通して絆を確かめ合うが、積もる想いは簡単に伝わらない現実が突きつけられる。雪の中での再会シーンがあるが、貴樹と明里の初恋とすれ違いが描かれる。

第2話「コスモナウト」
第2話は舞台を種子島に移し、貴樹の高校時代が描かれる。同級生の澄田花苗は、貴樹に想いを寄せながらもなかなか伝えられずにいる。「好き」と言えない切なさ、届かない気持ち、貴樹の心はとおくのどこか別の場所にあるという現実。種子島のロケット打ち上げの描写と重なることで、花苗の想いがより鮮明に浮かび上がる。
第3話「秒速5センチメートル」
社会人になった貴樹は、かつての明里との記憶を忘れられずにいた。恋愛や仕事もうまくいかず、心は過去に縛られ続けている。

そしてラストシーン、踏切での“すれ違い”は観客に深い余韻を残す象徴的な場面。結論を語らない演出は、新海作品らしい余白を持ち、観客の心に問いを投げかける。
この3部作構成によって描かれるのは「時間」と「距離」に翻弄される人間模様。誰もが経験したことのある“届かない気持ち”の普遍性。










・・・
ストーリーもさることながら、実写に近い画の描写がリアルで素晴らしい。街並み、駅の列車案内、駅ホーム、改札、公衆電話(NTTのISDN:電話線を使ったデジタル通信網)、電車内のつり革…。






■「にほんブログ村」にポチッと!お願い申し上げます。
