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映画「ヒッチコックの映画術」(原題:My Name Is Alfred Hitchcock、2023)「サスペンス映画の神様」の裏側。

映画「ヒッチコックの映画術」(原題:My Name Is Alfred Hitchcock、2023)は「サスペンス映画の神様」と称され映画史に多大な影響を残した巨匠アルフレッド・ヒッチコックが監督デビューから100年の2022年に製作された映画づくりの裏側をひも解いたドキュメンタリー。

ヒッチコックの死後40年経過しているが、ヒッチコック本人(声:アリステア・マクゴーワン)がナビゲートするスタイルで、膨大なフィルモグラフィと過去の発言を再考察し、驚き遊び心に満ちた映画づくりの秘密を紹介している。

白い恐怖」「めまい」「北北西に進路を取れ」「サイコ」「」「三十九夜」といった代表作の名シーンを解説するほか、現在日本では視聴が困難な「快楽の園」「ダウンヒル」など初期作品の本編フッテージも使用しながら、ヒッチコックの演出テクニックを視覚的に解き明かしていくので、ヒッチファンには必見。

監督と脚本は「ストーリー・オブ・フィルム 111の時間旅行」で6年の歳月をかけて約1,000本の映画を考察しながら映画史を紐解いて見せたマーク・カズンズ

全体の構成は(1)「逃避」(2)「欲望」(3)「孤独」(4)「時間」(5)「充実」(6)「高さ」の6パート。

時間」では、映画「ダイヤルMを廻せ」では、時間がカギ。男が人に頼んで、決められた時間に妻に電話をかけ、電話口の妻を殺させるという時間が決められていた。

男は数人で会食中だったが「時計が止まっているので、上司に電話する」と言って電話ボックスに向かう。電話ボックスで、電話が使用中であったりするが、焦らず冷静さを保たなければならない。

サイコ」も、時間がポイント。お金を奪ったマリオンが、警察から出来るだけ遠くに逃げるために車を購入するシーン。セールスマンが「試乗もしないで購入?追われているとか?時間をお金で買う人たち」と言ってくるが、マリオンはそれを否定し、700ドルで購入。

孤独」では、「サイコ」のエンドクレジットが終わった後の30秒間はライトをつけないよう暗闇にして」と監督は劇場に要求している。観客が一人一人が孤独になり自身の感情と向き合えるようにだという。

充実」では、ヒッチコックは「諸君(観客)を驚かせたかった。観客は驚かせられたかったという充実感」という。

高さ」も重要で、階段を上っていくシーンを横から並行してクレーン撮影で追っていく映し方と、垂直にエレベーターのようにまっすぐに上がっていくカメラの映し方もあるという。

汚名」では、パーティのディテールをの全景を映すためにカメラを上(天井)から映し、カメラがどんどん下がっていき、人物の手のひらのワインセラーの鍵を見せるのだ。

ヒッチコックは、20代のころにドイツで過ごし、よくできた模型の列車の映画を見たといい、「映画(監督)はペテン師だ」と語る。

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前例のない時代に、映画演出の前例を生み出したヒッチコックのオリジナリティ。映像に対するリテラシーが問われる現代社会であるからこそ「ヒッチコックの映画術」は“今観るべき映画”といえる。



■「ヒッチコックの映画術」
■2022年/イギリス/英語/1:1.78/5.1ch/カラー/120分]
■監督:マーク・カズンズ
■声の出演:アリステア・マクゴーワン

■AppleTV+(配信)で鑑賞。

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