
映画「アニー・イン・ザ・ターミナル」(原題:Terminal, 2018)を見る。イギリス・ハンガリー・アメリカ・香港合作。主演のマーゴット・ロビーがプロデューサーも務めたリベンジスリラー。原題がスピルバーグの「ターミナル」と同じなので紛らわしい。
この映画は、一見バラバラに見える人物たちが、実は巧妙に仕組まれた復讐劇に巻き込まれていく物語。
舞台はイギリス、ロンドンの地下鉄終着駅のある街。ダイナーで働く女性アニーには、街の裏側で起こる厄介ごとをひそかに片付け、後始末する謎の美女という裏の顔があった。実は彼女にはある目的があり…。
「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン役で大きな注目を集め「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」ではアカデミー主演女優賞にノミネートもされたマーゴット・ロビーが圧倒する存在感を見せている。
共演は「ミッション:インポッシブル」シリーズのサイモン・ペッグ「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズなどの個性派俳優。
物語は時系列を前後させながら進み、殺し屋、裏の“雇い主”、過去の因縁、偽装/変装などの要素が絡み合っている。
最初は駅の掃除人と脇役に見えたが、実は物語に深くかかわっていたという事実などが明かされる。批評家の評価はわかりにくさなどからか、脚本からか低評価であったようだ。映画の雰囲気としては「パルプ・フィクション」のような感じか。
オープニング・タイトルのシーンで、俳優の名前が電飾広告(イルミネーション)に登場するのがスタイリッシュ。



・・・
ある夜、教会の中でピンヒールの足音を響かせながら黒髪の女が告白に訪れる。告解室に入るなり女は煙草に火を点けた。煙草を吸う彼女に、ここは禁煙だと告げた声はボイスチェンジャーで変換されていた。
告解室の壁を挟んだ向こうに居たのはフランクリン(マイク・マイヤーズ)という裏の仕事を統括している男で、黒髪の女は「あなたの仕事を全て私に任せて欲しい」と持ち掛ける。
ところがフランクリンは、別の希望者に仕事を任せているからそれはできないと申し出を断った。黒髪の女はさらに提案を続ける。今仕事を任されている者を2週間以内に始末して、その証拠を持って来ると言うのだ。
フランクリンはこの賭けを承諾した。黒髪の女は去り際、フランクリンへ1件の人捜しを依頼して再び夜の闇へと去って行った。
とあるモニタールームで大量の監視カメラの映像を眺める男がいた。男のシルエットが「ゲーム開始だ」と独り言ちると、監視カメラの映像の1つに赤いコートを羽織ったブロンドの女が古いアパートへと向かう様子が映し出されていた。
ボロボロのアパートの一室では、2人の男達が暇を持て余していた。彼らは殺し屋である。
ヒゲを蓄えている初老の男はヴィンス(デクスター・フレッチャー)といい、若い男の方はアルフレッド(マックス・アイアンズ)という名だ。
そんな2人の部屋の前に、先ほど監視カメラに映っていた赤いコートの女が紙袋を置いて去って行く。気配に気づいたヴィンスが玄関を開けた時にはもう誰も居なかった。
ある終着駅のホームにて、終電が終わったにも関わらずホームで電車を待つ1人の男がいた。国語教師のビル(サイモン・ペッグ)という男である。
彼は苦しそうな咳が止まらないのに煙草を吸い続けている。そこへ足の不自由な深夜の清掃員が口笛を吹きながらやって来て、来る筈のない電車を待つビルに始発は4時4分だと教えた。24時間営業のカフェがあると言われたビルはカフェに向かう。
ビルがカフェに入ると店にはブロンドのウェイトレス、アニー(マーゴット・ロビー)が1人で店番をしているだけで他に客は居なかった。ビルが煙草を吸おうとすると他に客も居ないというのに、アニーからここは禁煙だと制止されてしまった。

カフェ「ターミナル」に集う客たちは一見すると偶然カフェを訪れたように思えるが、実はある人物によって仕掛けられた策略の上に集められていたのだった。
途中、殺し屋たちを始末したアニーとボニーはかつて、フランクリンをパパと呼び、母を殺され幸せな生活が激変した復讐を果たすため、2人はフランクリンの頭蓋へ生きたまま釘を打ち込み、ロボトミー手術の真似事をして彼を殺害したのだった。
憎い父親への復讐を果たした双子は、揃いの赤いコートを羽織り満足そうな笑顔で終点の駅を去った。
・・・
<主な登場人物>
■アニー/ボニー:マーゴット・ロビー…ロンドンのとある駅の構内にある24時間のカフェ「ターミナル」で働くウェイトレス。フランクリンという男の命令を受け裏の仕事の仲介を行っている。実は双子姉妹の一人。復讐のために計画を練っていた。
■ビル・ブレイスウェイト:サイモン・ペッグ…原因不明の病で余命宣告を受けたカトリックの国語教師。健康のためと言い張り煙草を吸い続けている。謎の病気で死にかけているのは、自分が昔に犯した罪によるのかもしれないとアニーに告解する。過去にアニーたち姉妹を虐待・性的暴行した人物。
■ヴィンス/ヴィンセント:デクスター・フレッチャー…人を信用しない殺し屋。若いアルフレッドとコンビを組んで仕事をしている。欲望に貪欲な人間で、フランクリンから提示された目先の現金に釣られてアルフレッドの殺害を約束する。
■アルフレッド:マックス・アイアンズ…ヴィンスと組んで殺し屋をしている。カフェで出会ったアニーに一目惚れをするなど惚れっぽい青年。後にアニーの相棒になる。
■フランクリン/クリントン:マイク・マイヤーズ…アニーをメッセンジャーとして起用し、雇った殺し屋に指示を出している黒幕。古くから町を支配している裏の世界の帝王のような存在。
■“掃除屋”/清掃人(実際はフランクリンが変装):マイク・マイヤーズ…駅構内を掃除して歩く清掃人。フランクリンという裏の組織のボス。アニーたちの父親。

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