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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「イレイザーヘッド」(原題:Eraserhead、1977)を見る。

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イレイザーヘッド」(原題:Eraserhead、1977、公開1980年)を見る。監督は「ブルー・ベルベット」「マルホランド・ドライブ」などのデヴィッド・リンチで、この作品が長篇映画デビュー作となる。全編モノクロ。

一人で製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果を務めて自主制作した低予算映画。いまではカルト映画の代名詞ともなっている。

タイトルの「イレイザーヘッド」は、鉛筆に付いている消しゴムのこと。難解な映画だが、すべてが主人公(当時のリンチを体現)の妄想を映像化したと思えば理解できる。

髪の毛が逆立ったような頭の男が、恋人の母親から、娘と関係を持ったかをしつこく聞かれ、奇形の赤ん坊を生んだが、娘と結婚するように迫られるなど、さまざまな妄想に脳ミソを破壊され、天国を夢見るというSF的なカルト・スリラー。グロテスクで気持ち悪くなりそうな映画で、怖いもの見たさの好きな人以外は誰にでも勧められない(笑)。

出演は、リンチ作品の初期のころの常連となったジョン・ナンス。ほかに「トレマーズ」のシャーロット・スチュワートなど。

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プロローグ。モジャモジャ頭の特徴的な髪型の男ヘンリー・スペンサー(ジョン・ナンス)が寝ている姿をバックに不思議な光景が展開される。

1つの惑星のような丸いゴツゴツした大岩が浮かび上がる。その中と思われる割れた窓の部屋に酷い皮膚病らしきものを患った謎の男がいる。

男が目の前のレバーを引くと、どこか別の空間に胎児のような生き物が現れ、空中に浮かぶ。男がさらに別のレバーを引くと、その生き物は落下し始め、最終的に水の中へと落ちる。

フィラデルフィアの工場地帯の町並みの中を、スペンサーはいつものように着古したスーツを着て異様な歩き方をしながら自宅であるアパートの一室へと帰る。

すると向かいの部屋の住人で魅力的な女性(ジュディス・アンナ・ロバーツ)から、スペンサーの彼女であるメアリー・エックスから伝言を頼まれたと言い、メアリーの家族がスペンサーを夕食に招待していることを伝える。

スペンサーがメアリー(シャーロット・スチュアート)の家を訪れると、リビングに通される。メアリーの母親になぜか厳しく問い詰められ、気まずい空気が流れる。

その後、夕食となるが、今度はメアリーの父親(アレン・ジョゼフ)が要領を得ない話を始める。取り分けられた鶏肉料理はまるでまだ生きているかのように動き血を吹き出させる。

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その様子を見てメアリーとその母は酷くおびえて部屋を出てしまう。その後、戻ってきた母はスペンサーを部屋から連れ出し、娘と寝たのかと問い詰め始め、怯える彼の首筋にキスをする。

母はメアリーが未熟児と思われる子を産んだこと、そのためスペンサーとメアリーは結婚しなければならないというが、メアリーは自分が産んだものが人間であるかわからないと言うのだった。

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映画が、R18+指定というのは、エロでも暴力でもなく、あまりにもグロい映画だからだ。おぞましく、奇怪な生き物が登場する。魚の頭の部分だけ現われ、胴体が包帯でぐるぐる巻きになっている生き物はグロテスク以外の何者でもない。

エレファント・マン」(1980)では、第53回アカデミー賞アカデミー作品賞を含む8部門にノミネートされ、一躍知名度を上げたリンチ監督。

ブルー・ベルベット」(1986)でも、センセーショナルを巻き起こし、再びアカデミー賞にノミネートされ、さらに「マルホランド・ドライブ」(2001)で三度ノミネートされるなど鬼才(奇才?)監督とも呼ばれる。

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シュルレアリスム(現実離れした奇抜で幻想的な芸術)を好むといわれ、作品も幻想的で、猟奇的な作品が多い。

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イレイザーヘッド」は、”頭の中の消しゴム”で消去してしまいたいほど”相当”グロいので、うっかり見始めて”卒倒”しても当局は一切関知しない。