

映画「ワン・バトル・アフター・アナザー」(2025)をMOVIXさいたまで見る(朝イチ8:35~)。3時間の映画だが息つく暇のないほど面白くあっという間だった。劇場で見て大正解だった映画。タイトルは ”闘争に次ぐ闘争”。
スティーヴン・スピルバーク監督がすでに3回みたというほど、この映画を絶賛している。スピルバークは、政治や価値観が分断・分極化する現代社会に焦点を当てていることを強調。現代アメリカ映画における画期的な作品だと語っている。
監督はPTAことポール・トーマス・アンダーソン。
アカデミー賞作品賞を始め、監督賞など主要部門ノミネートが確実視されている。
基本的にはアクション・コメディ。「徐行するからトム・クルーズのように車から飛び降りろ」(笑)と言ったセリフも。
カーチェイスのシーンが圧巻で、高速道路の上下の高低の落差のある中を走る車に観客が乗っているような錯覚に陥り、臨場感と没入感があった。久しぶりに、あの伝説的な「ブリット」を凌ぐような迫力だった。

ディカプリオが「ウルフ・オブ・ウォールストリート」並みの狂気の演技を見せている。それにもましてヘンタイ親父で怪演ぶりを見せているのがショーン・ペンで、最後は壮絶な場面で終わる。
メキシコ国境などが舞台となると登場するのが「ボーダーライン」のベニチオ・デル・トロ。カラテの師範で、革命家たちからは「センセイ」と呼ばれて味わいがある(笑)。
「フレンチ75」は捕えられた難民を解放し、政治家を脅迫し、銀行を襲撃して権力との闘争を繰り広げる。2時間42分の上映時間のうちおおよそ1時間をかけて“フレンチ75”の時代を描いていく。
その中心にいるのがテヤナ・テイラー演じるペルフィディアであり、爆破物担当の“ロケットマン”としてペルフィディアとフレンチ75を支えたレオナルド・ディカプリオ演じるパット・カルフーン(のちのボブ)である。
最初の3分の1の主人公と言えるペルフィディアは次々と権力に打撃を与えていくが、そのペルフィディアを執念で捕捉したのが移民等の収容所を指揮するロックジョーである。
ペルフィディアを演じたテヤナ・テイラーとロックジョー役のショーン・ペンの演技が見事としか言いようがなく、最初の1時間で観客の心を捉えて物語は第二幕へと進んでいく。

<ストーリー>
アメリカのメキシコ国境近く。オテイメサ収容施設には移民(難民・不法移民と見なされた人々が収容・拘束されている。
革命集団「French 75」がその収容施設を襲い、移民たちを解放する行動を起こす。集団の中心的人物が通称ゲットーと呼ばれるボブ・ファーガソン(レオナルド・デカプリオ)やパーフィディア・ビバリーヒルズ(テヤナ・テイラー)だった。



16年後。革命活動者たちは表舞台から退き、それぞれ隠れ、変名などで潜伏している。最終的にはボブとその娘シャーリーン(チェイス・インフィニティ)がかつての敵との対決へと向かっていく。

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軍や革命家などの言葉の中に、F***や卑猥語がこれでもかと登場する。言葉にできない滑稽なシーンもある。
映画全体としては、反体制・左派革命的な動機、国家・治安機関との闘い、白人至上主義・人種差別・移民政策といったアメリカ社会の分断的問題を背景に、個人と家族の物語を交錯させる構成になっている。
<主な登場人物>
■ボブ・ファーガソン(通称ゲットー/ロケットマン):レオナルド・ディカプリオ…もとは革命集団「French 75」の構成員で爆薬担当。革命崩壊後は隠遁し、変名を使いながら娘と暮らす。長年の潜伏でアルコールや薬物に依存気味。
■パーフィディア・ビバリーヒルズ:テヤナ・テイラー…「French 75」の女性指導者。カリスマ性があり過激な行動も辞さない。革命活動への強い信念と複雑な人間性を持つ。かつて Bob(Pat)と恋愛関係にあった。ウィラの母。
■スティーヴン・ロックジョー警部:ショーン・ペン…収容所の指揮官。軍・治安機関と結びつき、白人至上主義的な思考を持つ人物。パーフィディアに対する執着も持っていて、政治的な野心も強い。反移民政策を通して警視に昇進。
■ウィラ(シャーリーン):チェイス・インフィニティ…ボブとパーフィディアの娘。16年後に成長したティーンエイジャー。
■セルヒオ・セント・カルロス(センセイ):ベニチオ・デル・トロ…武道の師範でコミュニティリーダー。ウィラの空手師匠でもある。反体制支援や避難経路確保などで、革命派や隠れ住む人々を助ける。

■デアンドラ:レジーナ・ホール…「フレンチ75」のメンバー。
■メイ・ウエスト:アラナ・ハイム…「フレンチ75」のメンバー。
■ラレド:ウッド・ハリス…「フレンチ75」のメンバー。
■ジャングル・プッシー:シェイナ・マクヘイル…「フレンチ75」のメンバー。
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