映画「ピンクのルージュ」(原題:Tigers in Lipstick、1979)は欧州セクシー女優4人、シルヴィア・クリステル、モニカ・ヴィッティ、ウルスラ・アンドレス、ラウラ・アントネッリが各々2話に主演した艶笑オムニバス・ドラマ。当時の人気女優が出演しているが、全く知らない映画だった。
監督はルイジ・ザンパで、この作品が遺作となった。作曲家カルロ・ルスティケリ、リズ・オルトラーニなどの映画音楽作品を通じて知られるが、40本近い全作品中、日本で公開されたのは10本以下と未公開作が多い。
【第1話「アラブ人」】
マダム(シルヴィア・クリステル)は、釣り竿の先に自分の裸の写真(エマニュエル夫人の写真)をつけ、砂漠から男を釣っていた。釣られたアラブ人が夫人の部屋を探して訪ねる。
アラブ人が部屋で死体を発見する。警察が入ってきて男を逮捕する。通報したのはマダムの旦那。
10年の刑期を終えて出所して再び夫人の家を訪ねたアラブ人を「待ってたわ」と、また誘惑するマダム。10年越しの夢が叶ったと喜ぶアラブ人。
事後「冷蔵庫にシャンパンがあるの、取ってきて」と言われてアラブ人が冷蔵庫を開けると、今度は旦那の死体があった。警察に逮捕されるアラブ人。「女を抱くだめに20年の刑期か、イカレるな」と自嘲する。
【第2話「おかあさま」】
街で男を引く娼婦(モニカ・ヴィッティ)。声をかけたのは子供。「学校に遅刻しそう。初めての遅刻は親の同伴で許される。一緒に来て。」と頼む。
娼婦が職員室に行き教師と面談。すっかり母親になりすまして会話をするが、自分で成績優秀だと言っていた子供は、小学校を落第していて遅刻も初めてではないクソガキだった。
そのうち子供は「この人は勝手についてきた。娼婦」とバラすが、女はひるまず「母親よ」と言い張る。最終的に、校長先生も張り倒して学校を後にする娼婦と子供。
【第3話「未亡人」】
未亡人(ウルスラ・アンドレス)の家にカメラマンが訪ねてきた。死んだご主人は有名な政治家で「取材させてほしい。」と粘るカメラマン。根負けして家に入れる未亡人。
最初は喪服で写真を撮っていたが、カメラマンは「君にはもっと大人の魅力を」とかなんとかいいながら、写真を撮っていく。
衣装やポーズがどんどん大胆になっていき、二人とも興奮してきて、男は服を脱ぎ始め「僕も限界だ」と言いながら未亡人に覆いかぶさる。
【第4話「忠実な妾(めかけ)】
ハゲおやじと一緒にいる妾(ラウラ・アントネッリ)。「早く脱げ」というが女は服を着たまま窓の外を見ている。外にはたっている独りの男。「誰だ、あれは?」と聞くハゲオヤジだが女はシラを切る。
「外を歩いてこい。」と指示するハゲ。その通りにして、立っている男と遭遇する女だが、特にリアクションはない。
部屋に戻った女に「あいつが浮気相手だろ?」とまだ疑ってるハゲおやじを見て、女は銃を持ち出し、窓の外にいる男を撃ち殺した。
【第5話「若妻」】
大学教授の妻は若かった。食事のメニューに文句をつける教授に「私には才能がないの」と落ち込む若妻(シルヴィア・クリステル)。外出時の服装にも注文をつける。とにかく口うるさい旦那。
「お前には頼れる夫がいる。指導をに従えばいい」と偉そう。ある日「遊びましょ」と縄で旦那を椅子に縛り付ける若妻。口にはレモンを詰め込み、さるぐつわをした。「これが遊びなの、動かないで」と。さらに目隠しをして、そのまま子供を連れて家出する。
【第6話「貝あそび」】
変装している女性マリア(モニカ・ヴィッティ)が高級ホテルに忍び込む。王妃の首飾りに目をつけ、カジノで王妃に近づく。一瞬の停電、首飾りは盗まれた。
ホテルに子犬が入ってくる。犬の首に首飾りをつけて仲間の男に渡そうとしたマリアだが、途中で、王妃の使用人に盗まれる。
マリアは使用人を誘惑している間に、神父の恰好をした仲間の男が首飾りを盗み出す。気づいた男が仲間の部屋へ押し入り銃で脅す。
使用人が神父になりすまし、汽車の中でシスター姿のモニカを待ち伏せ、首飾りを奪う。
しかし、マリアはもう一度男を誘惑しホテルに行く。首飾りを売って二人で遊んで暮らそうと協議していたが「盗まれた首飾りは偽物」との新聞記事をみて愕然とする。
バスの中で声をかけてくる男。「この新聞記事?偽物なの」と、記事がねつ造だったことをばらすと男は変装を解いた。使用人だった。2人はまた追いかけあって…。
【第7話「散歩」】
女(ウルスラ・アンドレス)は露出癖があり、コートの下はボンテージの下着だった。彼女が通る道すがら、コートをパッと広げると下着姿となり、車が次々と追突事故が起こる。
車の修理屋にいるウルスラ。修理屋と結託して、自己の修理で稼ぎ、儲かっている修理屋と取り分の交渉をするウルスラだった。
【第8話「ナンパ」】
街を歩いている女ジョバンナ(ラウラ・アントネッリ)に一目惚れした男。意を決してナンパする。
後日、男の部屋に花を持って訪ねてくるジョバンナ。仕事の電話がかかってくると言い「ここの電話番号を先方に教えていい?」と言うと、下着姿でベッドに寝そべり、ずっと電話をしている。彼女は多忙らしい。
男も裸になり、事を始めようとすると、また電話がかかってくる。男の運転する車で移動。取引先へ一緒に行き、男を「別の取引先」に仕立て上げ条件の交渉を優位に進める。
また、男を病気に仕立てあげ、なにもないのに病院で検査を受けねばならず、自分の本来の仕事はどんどん滞っていく。
あらためて夜に待ち合わせするが、いきなりジョバンナは「時間がないからミラノ行きの寝台車をとったわ」。男はまた用事もないミラノまで連れて行かれることに。
寝台車、いよいよというときに、外に取引先の男性をみかけたジョバンナは服を着て汽車を降りてしまう。おまけにミラノには行けなくなったと、男を乗せた汽車が走り出してから言う。
「ミラノからは飛行機で帰ってくるのよ。いってらっしゃい」。寝台車の中で、ひとりで悶々とする男。女は、男をその気にさせて手玉に取って、利用するだけ利用するのだった。
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第1話は、元祖エマニエル夫人、シルヴィア・クリステルの「アラブ人」は男を誘惑して殺人の罪を着せ、刑務所送りにするコケティッシュな女性の話。「エマニエル夫人」で有名になった自身の写真をエサに男を操る話だった(笑)。
第2話は、独得の気怠いムードで知られるモニカ・ヴィッティは「おかあさま」で妖艶なミニスカ姿で登場。
第3話は、ウルスラ・アンドレスが、カメラマンから写真のポーズを要求されると、自らエロティックなポーズを次々に見せるところがさすがというか可笑しい。
第6話は、カジノのルーレットで、隣には宝石を身に着けた王妃。停電を仕掛けて、子犬を使って、高級ネックレスを子犬にクビに巻き付けて盗もうとする可笑しさ。子犬がかわいい。
第7話は、初代ボンドガールのウルスラ・アンドレスが「散歩」で一発芸的にランジェリー姿を公道で披露。
第8話は「青い体験」で若者を身悶えさせたラウラ・アントネッリは「ナンパ」でグラマラスな肢体を披露。
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