「モリーズ・ゲーム」(原題:Molly's Game、2017)を見た。ハリウッドで一大スキャンダルを巻き起こした実話の裏側を映画化し、第90回アカデミー賞「脚色賞」にノミネートされたほか、その年の映画賞レースを席巻した作品。
「ソーシャル・ネットワーク」(アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞受賞)「マネーボール」「スティーブ・ジョブズ」などの天才脚本家アーロン・ソーキンが、綿密なリサーチと独自のキャラクター造形を描き、自らの脚本で監督デビューを果たした作品。主演は「女神の見えざる手」で主人公を見事に演じ、”闘う女”のイメージが強くなった女優、ジェシカ・チャスティン。その父親役でケヴィン・コスナーが共演している。
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女子モーグル北米3位のモリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)は、心理学教授の厳格な父親(ケヴィン・コスナー)の下、幼い頃からひたすら練習を重ねていた。ところが、2002年の冬季オリンピック予選最終戦で、1本の松の枝のせいでスキー板が外れて転倒。モリーのアスリート人生は終わりを告げる。
ケガから回復したモリーは、ひょんなことからハリウッドスターのプレイヤーX(マイケル・セラ)を始め、大金持ちやセレブばかりが集まる高額ポーカー・ゲームの世界に足を踏み入れる。
数年後、突然クビを言い渡されたモリーは、秘かに練っていた計画を実行し、“モリーズ・ルーム”をオープン。その後、NYに拠点を移し、並外れた才覚によって新たなる伝説を築く。しかし、2012年、FBIに突然踏み込まれ、ゲームは閉鎖。モリーは全財産を没収される。
2014年(現在)。回顧録「モリーズ・ゲーム」を出版後、モリーは違法賭博の運営の容疑で突然FBIに逮捕される。何人もの弁護士に断られたモリーは、チャーリー・ジャフィー(イドリス・エルバ)に弁護を頼む。最初は断っていたジャフィだが、彼女の内面を知るうちについに弁護を引き受ける決意をする。彼女は果たして、無罪を勝ち取ることが出来るのか?
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モリー・ブルームは実在するアスリートの名前。この映画のポーカー・ゲームに登場するのは、名前こそ変えているが、世界中の誰もが知っているハリウッドスターや映画監督、一流スポーツ選手にミュージシャン、さらに大物実業家などだ。レオナルド・ディカプリオ、ベン・アフレック、トビー・マグワイアなどが参加していたと複数のメディアが伝えている。
賭け金の最低額は1万ドル(100万円相当)だが、どんなにキャッシュを積んでも、オーナーからの招待がなければ覗くことも許されない。まるで都市伝説のようなサロンのオーナーは、何の後ろ盾も持たない26歳の独身女性、モリー・ブルームだ。本作に登場するプレイヤーたちは全て実在の人物がモデル。
トップアスリートとして衝撃のアクシデントから一転、ポーカーゲームの経営者へと華麗に転身したモリー・ブルームの姿が描かれる。父と娘の確執もあった。モリーは、弟二人に対しては優しい父だったが、自身はあまり構ってもらえなかったという意識があった。
父(コスナー)はモリーに対して「ロースクールに行けば法律事務所を作ることができたが、真逆なことをした」という。モリーは、ドラッグにも手を出していたが、裁判で、ウォールストリートに蔓延する悪事と比較すると、重罪とは言えず200時間の社会奉仕と20万ドルの罰金で決着。司法取引があったような印象。弁護士役のイドリス・エルバの存在感があった。Netflixで。