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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離」(1995)

「ビフォア・サンライズ」は、日本で公開された1995年には「恋人までの距離(ディスタンス)」だったが、後に続編「ビフォア・サンセット」(2004年)が公開されたため、DVDでは、「ビフォア・サンライズ」に改題された。

 



この映画は、小雪のCMではないですが「参りましたね」(笑)だ。
メグ・ライアンの「恋人たちの予感」の系統。オープニングから、列車の窓からみるヨーロッパの風景の美しさ、また懐かしさ。
登場人物が若い男女二人だけで、しかも会話が中心で、だんだんと惹かれあって ”恋人”関係になっていく過程が、ナチュラル。あたかも自分自身が旅先で体験しているような映画でした。
旅先での非日常というシチュエーションと孤独感もあったのだろう。
ヨーロッパをそれぞれ旅行していたフランスの23才の女子大生、セリーヌジュリー・デルピー) とアメリカ人記者ジェッシー(イーサン・ホーク) が偶然、列車内で知り合って、ウイーンで途中下車して、アメリカ人が、翌日の朝、帰国するまでの十数時間を、街中などを歩きながら過ごすという、決してドラマチックでないありふれた状況にも関わらず、この映画的な感動は、いったい(笑)。

 

列車内で、公園で、観覧車で、バーで交わす会話。
お互いに会話を交わしながらも、相手にだんだんと惹かれていく流れがいい!美しいウィーンの街並も印象深い。監督のリチャード・リンクレイターは、この映画でベルリン国際映画祭監督賞を受賞した。
 
 
映画で、しゃれているなと思ったシーン。
列車で出会って、車内で食事をして終わったが、ジェッシーは次の駅で降りなければならない。ところが、ここで別れては、後悔すると思い、セリーヌに、なんとしても明日の飛行機の出発までは、いっしょに過ごしてもらいたいと誘うときのセリフ。

「10年後、君(セリーヌ)は、結婚しているだろう。ただ、その時になって、過去に出会った男たちのことを思い出して、特に列車の中で出会ったアメリカ人がいて、途中下車して、つかの間のひと時を過ごしたら、どうなっていただろうか。後悔でなかったか。いや、今は幸せな結婚をしたのであれば、途中下車しないでよかったというのならそれでもいい。」と。

 

こういいながら、手招きジェスチャーで、「さあ、列車を降りよう」と促すジェッシー。セリーヌは、困ったような表情を見せつつも「かばんを取ってくる」といって、
降りることに。そして、限られた時間を、ウイーンで過ごすことになるのだが・・・。
(ラストシーンで、いっしょに降りたときの心境をセリーヌが語るが、「(好意を感じている)この人となら、一夜を共にしてもいいとさえ思った」と。)

 

もう一つのシーン。
レストランのテーブルで、セリーヌが電話でパリの友人に電話をかけるしぐさ。
ジェッシーが、パリで受話器を取る素振りの場面。直接、相手に打ち明けられないことを、間接的に伝えるというシーン。「列車で、すばらしい人に会ったの。その人は~」といった具合。ジェッシーも、逆にアメリカの友人に電話。「旅行でであった女性は
~」・・・と。こうしたことで、「(恋人までの)ディスタンス」が近づいていく
という脚本のうまさか。
最後に別れのシーン。
半年後の12月6日の、この駅のこのホームで再会しようという約束。
列車の時間が迫っての抱擁。
別れたあとの、それぞれの表情。
どちらも、「出会い後の十数時間」を思い起こして、一瞬微笑を浮かべるが、それぞれの目的地に向かう。場面は、公園、観覧車、通り・・・など二人が歩いた場所だけを映し出していく・・・。
さて、9年後に「その後」二人は再会したのかどうかが明かされる「ビフォア・
サンセット」が2004年に公開されている。
この「ビフォア・サンセット」も見ないわけには行かない(笑)。
アクション、サスペンス、ドラマ、ミュージカルなどの映画を主に見てきたので、ラブストーリーものは、どちらかといえばあまり見ていなかったが、この映画は、ドキュメンタリー風で、すばらしい。
☆☆☆☆(必見)