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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

<span itemprop="headline">⑮「金環蝕」(1975)</span>


 
 ”内幕もの”は面白い。
 銀行だったり、商社だったり、大学病院だったり・・・

 保守政党汚職事件を描き、政界のドス黒い内幕を暴露した。
 監督は、この作品の前年に「華麗なる一族」、翌年に「不毛地帯」と 
 大作が多い山本薩夫。「白い巨塔」など、山崎豊子とのコンビが多い。
 
 昭和39年(1964年)5月12日、第14回民政党大会で、現総裁の寺田政臣は、
 同党最大の派閥酒井和明を破り、総裁に就任した。この時、寺田は17億、酒井は20億を使った。
 数日後、星野官房長官の秘書・西尾が、金融王といわれる石原参吉の事務所を訪れ、二億円の
 借金を申し入れたが、石原は即座に断った。

 石原は星野の周辺を部下と業界紙の政治新聞社長・古垣に調査させ始めた。政府資金95%、
 つまりほとんど国民の税金で賄っている電力会社財部総裁は、九州・福竜川ダム建設工事の
 入札を何かと世話になっている青山組に請負わせるべく画策していた。

 一方、竹田建設は星野に手を廻して、財部追い落しを企っていた。ある日、星野の秘書・松尾が、
 財部を訪れた。彼は寺田首相夫人の名刺を手渡した。それには「こんどの工事は、ぜひ竹田建設に」
 とあった。首相の意向でもあると言う。

 その夜、財部は古垣を相手にヤケ酒を飲んだ。古垣は財部の隙を見て、首相夫人の名刺を
 カメラにおさめた。昭和39年8月25日、財部は任期を一カ月前にして、総裁を辞任した。彼の
 手許には、竹田建設から7000万円の退職金が届けられていた。新総裁には寺田首相とは同郷の
 松尾が就任し、工事入札は、計画通り竹田建設が落札し、5億の金が政治献金という名目で
 星野の手に渡された・・・。

 どろどろした政界の内幕を描いた。
 登場人物もリアル。「華麗なる一族」がテレビ・シリーズ化され、今年はじめ放送され
 好評を得たこともあり、「金環蝕」もテレビシリーズ化される企画もあるようだ。
 新しいキャストについて、誰が演じるか、興味深い。

 出演俳優が豪華オールスター: 
 キャスト(役名)
 宇野重吉 (石原参吉)
 中村玉緒 (荻乃)
 大塚道子 (加代子)
 長谷川待子 (かつ江)
 早川雄三 (脇田)
 矢野宣(荒井)
 吉田義夫 (小坂老人)
 仲代達矢(星野康雄)
 三國連太郎(神谷直吉)
 山本学 (西尾貞一郎)
 北村和夫 (大川吉太郎)
 大滝秀治神原孝
 嵯峨善兵(早川義信)
 中谷一郎 (斉藤荘造)
 河村弘二 (広野大悟)
 久米明 (寺田政臣)
 京マチ子 (寺田峯子)
 神田隆 (酒井和明)
 加藤嘉(滝井検事総長
 高橋悦史 (古垣常太郎)
 峰岸徹 (古垣欣二郎)
 夏純子 (遠藤滝子)
 永井智雄 (財部賢三)
 神山繁 (若松圭吉)
 内藤武敏 (松尾芳之助)
 高城淳一(正岡)
 根上淳 (小島)
 鈴木瑞穂 (小野)
 前田武彦 (島田)
 
主な監督作品
1934.04.26 限りなき舗道  松竹蒲田  ... 助監督
1937.07.08 お嬢さん  P.C.L.
1937.12.11 母の曲 前篇  東宝映画東京
1937.12.21 母の曲 後篇  東宝映画東京
1938.06.11 田園交響曲  東宝映画東京
1938.09.29 家庭日記 前篇  東宝映画東京
1938.10.13 家庭日記 後篇  東宝映画東京
1939.01.05 新篇 丹下左膳 隻手篇  東宝映画東京
1939.02.21 美はしき出発  東宝映画東京
1939.08.20 街  東宝映画東京
1939.11.10 リボンを結ぶ夫人  東宝映画東京
1940.04.24 そよ風父と共に  東宝映画京都
1940.10.30 姉妹の約束  東宝映画東京
1941.06.10 歌へば天国  東宝映画東京
1942.10.15 翼の凱歌  東宝映画
1943.10.07 熱風  東宝映画
1947.07.22 戦争と平和  東宝
1949.07.04 こんな女が誰にした  東横
1950.02.26 ペン偽らず 暴力の街  ペン偽らず共同製作委員会
1952.03.14 箱根風雲録  新星映画=前進座
1952.12.15 真空地帯  新星映画
1954.02.03 日の果て  八木プロ=青年俳優クラブ
1954.06.24 太陽のない街  新星映画
1955.01.22 愛すればこそ 第三話 愛すればこそ  独立映画
1955.11.15 浮草日記  山本プロ=俳優座
1956.03.22 雪崩  東映東京
1956.12.19 台風騒動記  まどかグループ=山本プロ
1957.06.29 生きている人形  山本プロ=文楽三和会  ... 監修
1958.09.23 赤い陣羽織  歌舞伎座
1959.02.11 荷車の歌  全国農村映画協会
1959.10.18 人間の壁  山本プロ
1960.11.08 武器なき斗い  大東映
1961.02.08 松川事件  松川事件劇映画製作委員会
1962.10.07 乳房を抱く娘たち  全農映
1962.12.01 忍びの者  大映京都
1963.05.03 赤い水  大映東京
1963.08.10 続・忍びの者  大映京都
1964.04.04 傷だらけの山河  大映東京
1965.05.01 にっぽん泥棒物語  東映東京
1965.05.15 証人の椅子  山本プロ
1965.09.04 スパイ  山本プロ
1966.03.26 氷点  大映東京
1966.10.15 白い巨塔  大映東京
1967.04.29 にせ刑事  大映東京
1967.08.12 座頭市牢破り  勝プロ=大映(京都撮影所)
1968.01.25 ドレイ工場  「ドレイ工場」製作上映委員会  ... 総監督
1968.06.15 牡丹燈籠  大映京都
1969.10.02 ベトナム  「ベトナム」製作実行委員会
1969.11.15 天狗党  大映京都
1970.08.14 戦争と人間 第一部 運命の序曲  日活
1971.06.12 戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河  日活
1973.08.11 戦争と人間 第三部 完結篇  日活
1974.01.26 華麗なる一族  芸苑社
1975.09.06 金環蝕  大映映画
1976.08.14 不毛地帯  芸苑社
1976.11.13 天保水滸伝 大原幽学  農協映画製作委員会企画=農村映画協会=大...
1977.04.09 トンニャット・ベトナム  日活労働組合日本電波ニュース社=日活  ... 総監督
1978.09.23 皇帝のいない八月  松竹
1979.06.09 あゝ野麦峠  新日本映画
1981.03.28 アッシイたちの街  大映映像
1982.02.16 あゝ野麦峠 新緑篇  東宝映画
1983年8月11日死去。享年73。