小林聡美の映画出演はしばらくぶりに見た。
「紙の月」では、銀行に25年勤務のベテラン行員・ 隅より子役だが、支店長や上司は、人事で数年ごとに変わるが、支店に長年勤務していると、お局か主のような存在。新任の支店長や次長たちにとっては目の上のたんこぶ。やりにくくて仕方がないことだろう。言葉も遠慮がちになってしまう。事実上、支店を仕切っているような存在だからだ。
「梨花さん、信号、渡るの?渡らないの?」
若手の女子行員などは、このベテラン女子行員が、厳しくするので、空気もピリピリ・ムード。支店長などの責任者は、若手行員が中心となって、ハツラツとした職場にして、新陳代謝を図りたいと思う。当然のことだろう。
そこで、勤続の長い女子行員には、転勤辞令を出して、体よく退社を促す。
ついに、隅より子にも、引導を渡すべく、次長が別室に呼び、別の支店の庶務(閑職といわれる)行きの人事を言い渡す。几帳面を絵に書いたような隅より子は納得ができず、「業績不振からか」「(うるさいから)追放か」と抵抗する。
行内には、隅より子が転勤(ということは、退社)の噂が広まる。
そう簡単に、「はい、そうですか」と退社(転勤)を受け入れるわけはなかった!
支店における重大な前代未聞の事件が起こった後、新たな支店長などの幹部が、行員に檄を飛ばすシーンがあるが、熱心に聞き入る隅より子の顔がそこにはあった!!!
・・・
窓口係(大島優子)の度重なる(意図的とも思える)ミスを、かねてから目をつけていた隅より子。動かぬ証拠を固めてから追求に乗り出す慎重さ。梨花もどうも様子がおかしい。キャビネットにあるべき証書がない。何かある、と感づく隅。
時折、自席から梨花の方を見やる隅の表情も怖い。
午前中、周りの行員に「梨花さんはどこ?」と徐々に追い詰めていくところも緊張が走る。
ついに、梨花と隅の全面対決の時がくる・・・。
どちらが勝者となるのか。「自分が惨めに思える」というのはどちらか。
梨花の”大博打”のような言葉が一瞬、飛び出すのだが・・・。
次の瞬間、「あっ」と言わせる予想外の展開に・・・。
小林聡美の、いかにもベテランという、冷たそうで感情を表に出さず、自分の仕事を忠実にこなすが、いちいちの指摘が鋭い。一点の曇りも許さない、という態度が怖い。既にこの映画を見ている、のびたさんは、「小林聡美の演技が素晴らしい。(日本アカデミー賞の)助演女優賞は間違いない」と太鼓判だったが、まったく同感だ。
・・・
「かもめ食堂」(2006)だった。
この映画での料理作りは、いかにもうまそうで、印象に残る。CMでも、食パンにバターを塗って・・というのがあるが、美味しそうに料理を作る・・・というイメージが強い。
主な出演作品:(近年の6作品のみ鑑賞、後日デビュー作鑑賞)
「転校生」(1982年、松竹) - 斉藤一美役 ★★
「廃市」(1984年、ATG) - 貝原安子役
「彼のオートバイ、彼女の島」(1986年、東宝)
「永遠の1/2」(1987年、東宝) - ぼくの妹役
「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」(1987年、松竹) - 吉本育美役
「北京的西瓜」(1989年、松竹)
「てなもんや商社」(1998年、松竹) - ひかり役
「キリコの風景」(1998年、日活) - 霧子役
「スイート・スイート・ゴースト」(2000年、日活) - 近所のお姉さん役
「竜馬の妻とその夫と愛人」(2002年、東宝) - きみえ役
「理由」(2004年、アスミック・エース) - 北畠敦子役 ★★
「かもめ食堂」(2006年、メディアスーツ) - サチエ役 ☆☆☆☆
「めがね」(2007年、日活) - タエコ役 ☆☆☆
「ガマの油」(2009年、ファントム・フィルム) - 輝美役 ★★
「プール」(2009年、スールキートス) - 京子役
「マザーウォーター」(2010年、スールキートス) - セツコ役 ★★
「東京オアシス」(2011年、スールキートス) - トウコ役 ★★
「紙の月」(2014年、松竹) - 隅より子役 ☆☆☆☆
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