
映画「ブラックバッグ」(原題:Black Bag、2025)を見る。スティーブン・ソダーバーグ監督による「スパイによるスパイ狩り」というエリート諜報員と二重スパイが最重要機密をめぐり繰り広げる頭脳戦を描いた極上ミステリー・サスペンス。
とはいえ、この映画のうたい文句は、研ぎ澄まされた感覚で見ないと罠を見破れませんよ、という挑戦的な宣伝がなされている。
諜報員のわりにはセクシーすぎる三組のカップルが織りなす政治と恋愛のサスペンスでもある。
裏切者をあぶり出すという点では「モグラ」(二重スパイ)を探す「裏切りのサーカス」にも似たストーリーだった。派手さは全くなく、スタイリッシュで心理戦が見どころ。
“大量殺戮”の容疑者は、妻と4人の部下。国家の中枢<NCSC>で起きた事件をめぐり、
静かに発動する罠。視線ひとつ、言葉ひとつに隠された“真実”は暴かれるのか。
出演はマイケル・ファスベンダー、ケイト・ブランシェットのほか、ナオミ・ハリス、ピアース・ブロスナン、トム・バークなど豪華。
ウソ発見器、拳銃のトリック、映画の半券、盗聴器、監視カメラ…など小道具も多数登場し、目を凝らしてみる必要がある。



<ストーリー>
イギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のエリート諜報員ジョージ(マイケル・ファスベンダー)は、世界を揺るがす不正プログラム「セヴェルス」を盗み出した組織内部の裏切り者を見つけるという極秘任務(=“ブラックバッグ”)に乗り出す。
容疑者は5人。ジョージと同じ諜報員のフレディ(トム・バーク)、ジェームズ(ジミー)(レゲ=ジャン・ペイジ)、情報分析官のクラリサ(マリサ・アベラ)、局内のカウンセラーのゾーイ(ナオミ・ハリス)、そしてジョージの妻である諜報員のキャスリン(ケイト・ブランシェット)もいた。
ある夜、ジョージは容疑者全員をディナーに招待する。それは裏切り者をあぶり出すための作戦だった。


この夕食の席で、ジョージは彼らの緊張を緩め、口を滑らせるために食べ物に高揚感を助長する薬を盛るつもりだった。料理はジョージが作った。
一方、ジェームズ、ゾーイ、クラリサ、フレディは事前に4人で集まっていた。クラリサはどういう意図なのかわからず振る舞い方のアドバイスをもらう。フレディはジェームズの昇進祝いだろうと呑気だ。
4人は家に着き、何事もなく6人は食事を始める。最初は何気ない仕事の話をただ続けていた。ジョージは口数少なく座っている。
ジョージが自分の父親を盗聴したこともあるという話題をフレディはする。少年の頃に父の浮気を疑った結果だったが「嘘つきは嫌いだ」とジョージは言い切るだけ。
おもむろにジョージはゲームをしようと持ちかける。
それは順番に隣の人の決意を想像して語るという心理的なお遊びだ。しかし、アルコールと薬のせいもあって、やってみるとどんどん隠していたことが明るみになっていく。
フレディはクラリサに浮気していたことが暴露され、怒ったクラリサはステーキナイフでフレディの手を刺す。気が高ぶっているフレディもそれでも平然としている。
そんな騒ぎもありつつ、夕食は終わり、みんな帰った。
ひと息ついていると、ジョージはキャスリンのドレッサーのゴミ箱に映画館のチケットを見つける。しかしキャスリンは映画を観ていないと言う。
やはりキャスリンが一番怪しいのかもしれない…。
ところが、NCSCの上司のフィリップ(グスタフ・スカルスガルド)が妻アンナ(カエ・アレキサンダー)のいる自宅で飲酒中に心臓発作で亡くなったという知らせを聞いて、状況は逼迫していくことに…。


・・・
黒幕は、容疑リストに載っていなかったNCSC幹部アーサー・スティーグリッツ(ピアース・ブロスナン)だった。彼に仕えていた裏切り者こそ、最近昇進した元軍人ジェームズ・ストークス大佐。
アーサーの計画はロシア政権打破。国内の反体制勢力に「セヴェルス」を渡し、モスクワ近郊の原子炉をメルトダウンさせることで実質プーチン政権を弱体化させ、西側の参戦を導き「クソ戦争」を終わらせることを目標にしている。
計画遂行のため多くの犠牲も想定されたが、ミッチャムまで暗殺したジェームズは「大義のための犠牲やむなし」の正義感に傾倒していた。
映画のラストのオチは、ジョージと二重スパイ嫌疑がかけられていたとはいえキャスリンとの無敵の純愛映画だったということ。ジョージが「罠にはめられた」というと「私も罠にかかった」と言い合い、しかし”大金総どり”の知能犯カップルだったのだ。

<主な登場人物>
■ジョージ・ウッドハウス:マイケル・ファスベンダー…国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)諜報員。
■キャスリン:ケイト・ブランシェット…ジョージの妻。NCSC諜報員。
■クラリサ:マリサ・アベラ…NCSC情報分析官。
■フレディ・スモールズ:トム・バーク…NCSC諜報員。
■ゾーイ・ヴォーン:ナオミ・ハリス…NCSC局内カウンセラー。敬虔なカトリック教徒。
■ジェームズ(ジミー)・ストークス:レゲ=ジャン・ペイジ…NCSC諜報員。
■アーサー・スティーグリッツ:ピアース・ブロスナン…NCSC幹部。
■フィリップ・ミーチャム:グスタフ・スカルスガルド…NCSCの上級職。
■アンナ:カエ・アレキサンダー…フィリップの妻。
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