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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「J・エドガー」(2011):クリント・イーストウッド監督、レオナルド・ディカプリオ主演。

 
 
20代でFBIの前身組織の長官となって以来、1972年に亡くなるまで実に48年間もの間、FBIのトップに君臨し続け、歴代の8人の大統領さえ手出しできない強大な権力を築き上げていく一方、私生活ではごく一部の人間以外には決して心を許さず秘密主義を貫いた男の実像を丁寧な筆致で描き出している。
 
エドガーの母親にジュディ・デンチ、忠実な女性秘書役にナオミ・ワッツ、副長官役にアーミー・ハマーが扮している。
 
ディカプリオは、20代から70代までを演じているが、晩年のエドガーのメイクは、本物の老人のような外見で、「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドをも彷彿とさせる熱演ぶりだった。副長官のメイクは、いかにもというチャチな印象だったが・・・。
 
                                       晩年のエドガーを演じるディカプリオ
 人生の終盤に差し掛かったFBI長官ジョン・エドガー・フーバー
彼は回顧録の作成にとりかかり、部下に書き取りを命じて語り出す。
1919年、司法省に勤務していたエドガー・フーバーレオナルド・ディカプリオ)は、長官の目に留まり、新設された急進派対策課を任される。これを機に、秘書室のヘレン(ナオミ・ワッツ)にプロポーズするが断られてしまう。それでもフーバーは、彼女を個人秘書として生涯にわたって雇い続けることにした。
 
その後、FBIの前身である司法省捜査局の長官代行となったフーバーは、片腕となるクライド・トルソン(アーミー・ハマー)と秘書のヘレンだけを信頼し、自らの信じる正義を実現すべく、捜査の近代化と権力の集中を進めていくのだが・・・。
 
 
エドガーが、ときの大統領などからも恐れられていたのは、フーバーが独自に調査した秘密資料の存在だった。その中には、大統領になる以前のスキャンダルなどが含まれていたからだ。
 
エドガーは人種差別主義者で、公民権運動でキング牧師などが登場してくると、ノーベル賞を辞退させようと画策する脅迫文書を送りつけるなどしていた。
 

37代大統領のリチャード・ニクソンが登場する頃には、エドガーは、身体が弱ってきていて、秘密文書のファイルは、
「自分の死後、どんな圧力があっても絶対に誰にも渡さないで欲しい」と生涯の秘書のミス・ガンディ(ナオミ・ワッツ)に託した。
 
「いかなる圧力があっても、守ります」という確固としたガンディの力強い言葉が印象的だった。ナオミ・ワッツは映画によって様々な表情を見せるが、この映画では、若い時代と、年配になってからと見事に演じきっていた。
 
ニクソンの手が書類捜索に及ぶ頃には、関連書類は全てシュレッダーで処分するガンディの姿があった。一方、秘密書類だけは、別にガンディは秘密に隠匿した。
 
ロバート・ケネディ司法長官が、フーバーに面会を求めてきた時のフーバーのセリフは「ケネディの小僧がなんの用だ。オムツの交換か」だった。
 
歴史上の人物も登場して面白い。
悪名高いギャングのジョン・デリンジャーを始め、飛行家のチャールズ・リンドバーグ、”マシンガン”ケリー、女優のドロシー・ラムーア(「珍道中シリーズ」)、子役スターのシャーリー・テンプルなどだ。ジェームズ・キャグニー主演の「民衆の敵」も映画として登場していた。
 
J・エドガー」というタイトルはアメリカ人なら誰でも知っているかもしれないが、日本では”フーバー長官”の方が馴染みがあるかも知れない。フーバー長官とトルソン副長官の知られざる関係もさらっと出てきているが、二人共、生涯独身を貫いたことで、友情以上の関係が指摘されていたようで、この映画でも描かれていた。
 
クリント・イーストウッド監督は、近年の映画はどれも”骨太”で、見ごたえがあるが、この映画では、時代が1920年代と1970年前後が並行して描かれているが、統一性を欠いているのではないかという指摘もあったようで、評価がやや低くなったようだ。
 
ただ、レオナルド・ディカプリオの演技は、エドガーの役を熱望していたといい、イーストウッドの期待に十分応えていたようだ。ディカプリオは「アビエイター」「デイパーテッド」「J・エドガー」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などで、名演技を残しているが、どうもアカデミー賞には、縁が無いようだ。
 
監督のイーストウッドは、音楽も担当している。
 
 
☆☆☆
 
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