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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)2大スター共演。

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)を見た。クエンティン・タランティーノ(以下、タラ)監督の第9作目。かねてからタラ監督は10本映画を撮ったら監督を引退すると公言している。あるインタビューでは「今回の映画がこれまでのベスト映画でありこれで終わってもいい」と冗談か本音かわからないが答えている。

レオナルド・ディカプリオ演じる落ち目のスター役者リックとブラッド・ピット演じるその専属スタントマンのクリフ、その2人の関係を描いたバディ作品でもある。いまやレジェンド的存在であるアル・パチーノも出演している。

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映画は、今からちょうど50年前の1969年のアメリカ・ロサンゼルスを舞台に、終焉を迎えつつあったハリウッド黄金時代の映画界の一端を切り取っていて、ドンピシャ世代のfpdにとっては、背景に流れる音楽や、セリフの端々に懐かしさがこみ上げるのだ。

まずは音楽。

ドライブシーンが多く、カーラジオからは、ひっきりなしに1960年代のロックやポップスが流れている。ホセ・フェリシアーノの「California Dreamin’」。

マーゴット・ロビー演じるシャロン・テートと彼女の夫の映画監督ロマン・ポランスキーがオープンカーでドライブしているシーンで流れるのが「Hush」。「She’s the best girl that I ever had」(彼女はいままで付き合った子のなかでも最高なんだ)というフレーズがオーバーラップするシーン。

ローリング・ストーンズの「Out Of Time」のほか「卒業」(1967)の軽快なリズムのミセス・ロビンソンのイントロ。極めつけは「いちご白書」(1970)のテーマ曲として使われていた「サークルゲーム」。

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この曲は、ジョニー・ミッチェルが作詞作曲し、バフィ・セント=メリーが1967年に発表した。「いちご白書」は米コロンビア大学の学園紛争を描いた。同じ学園紛争ものでは「…YOU…」がお気に入り。

主人公のリックとクリフの2人は、複数の人物のキャラを取り混ぜていたようだが、ハリウッド俳優などが実名で登場する。スティーブ・マックィーン、「燃えよドラゴン」(1973)で人気を博す前のブルース・リーロマン・ポランスキー監督、その妻で女優のシャロン・テートなどだ。

ブルース・リーは、アメリカではすでにテレビシリーズ「グリーン・ホーネットの準主役に抜擢され、正義のヒーロー「グリーン・ホーネット」の助手兼運転手として、目の周辺だけを隠すマスクをつけたた日系アメリカ人のカトー役を演じ、派手なアクションで人気を博していた。スティーブ・マックィーンは、武術の弟子の一人だ。

映画は1969年の2月と半年後の8月を描いているが、「女優シャロン・テート殺人事件」の直前までを描いている。シャロン・テートは、ロマン・ポランスキー監督の映画「吸血鬼」でポランスキーと共演したのが縁で1968年で1月20日ポランスキー監督と結婚したが、翌1969年8月9日、狂信的カルト指導者チャールズ・マンソンの信奉者達の一人、スーザン・アトキンスら3人組によって、一緒にいた他の3名の友人達と、たまたま通りがかって犯行グループに声を掛けた1名と共にロサンゼルスの自宅で殺害された。シャロンは、当時26歳で、8ヶ月の身重の体だった。

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シャロン・テート殺人事件は当時、日本でも大きな話題になったが、ポランスキーの妻という以外はあまり知らなかったが「ワンス・アポン~」で、その人物像やエピソードを知ることができる。シャロン・テートディーン・マーティンと共演した「サイレンサー第4弾/破壊部隊」(原題:The Wrecking Crew,1968)を映画館に見に行き、自身が出演している女優であることをチケット売り場の窓口に伝えると、支配人が出てきて、無料で鑑賞するのだ。

主人公リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)は、かつて映画「大脱走」(1963)で、アメリカ兵のバージルヒルツ役のオーディションを受けていたシーンがあったが、4人の候補の中からスティーブ・マックィーンが選ばれたといったエピソードが面白い。ほぼ「大脱走」のシーンの一部が再現されていた。

リック・ダルトンが出演した過去の映像も登場するが、ナチス・ドイツ軍の作戦会議のような席に、リックが火炎放射器を浴びせて「ザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)をくらえ!」と言うセリフもおかしい。この火炎放射器が、後にもう一度、現実に使われるとは…。

 

ストーリー:

リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)は人気のピークを過ぎたTV俳優。映画スター転身の道を目指し焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)は彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。

 

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目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた二人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。

そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テートマーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ二人。この明暗こそがハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするのだが…。 

そして、1969年8月9日、それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える”事件”は起こる。

映画のエンドロールで、リック・ダルトンレオナルド・ディカプリオ)が、モノクロの西部劇スタイルで登場。タバコを吸うが、銘柄は「Red Apple」。このタバコは、映画「イングロリアス・バスターズ」で使われる予定だった、幻の1940年代版「レッド・アップル」タバコだという。

タランティーノ監督の映画には、この架空のタバコ・ブランド「レッド・アップル」が何度も登場する(「パルプ・フィクション」「フロム・ダスク~」「フォー・ルームス」「キル・ビル」など)。

 

☆☆☆☆

【1969年】はどんな時代(fpdが見た):

1969年(昭和44年)は東大安田講堂学生運動で占拠され、その年の東大入試は中止。その年は、大学に入っても、1ヶ月くらいは学内はバリケード封鎖。7月には人類が月面着陸に成功。泥沼化していたベトナム戦争がそろそろ終焉。日本のテレビでは「巨泉・前武ゲバゲバ90分」(あっと驚く為五郎)「8時だよ全員集合」などが高視聴率。CMは小川ローザの「オー、モーレツ!」「はっぱふみふみ」パイロット万年筆(巨泉)。歌謡曲は「黒ネコのタンゴ」「時には母のない子のように」「長崎は今日も雨だった」。アメリカで「ウッドストック・フェスティバル」(Woodstock Music and Art Festival)(1969年8月15日(金)から17日(日)までの3日間開催)。モデルのツイッギー来日(1967年10月)以降、ミニスカートが大流行り。ニューシネマの「明日に向かって撃て!」「真夜中のカーボー」などが公開。

 

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