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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

ドラマ「新宿野戦病院」(宮藤官九郎脚本): クドカン・ドラマに外れなし。

「新宿野戦病院の第1話を見る。今年7月3日からフジテレビ系「水曜22時枠」で放送中のテレビドラマで、脚本はクドカンこと宮藤官九郎

クドカン・ドラマに外れなし!

クドカンと言えば今年1月期の「不適切にもほどがある!」が話題になったばかりで、7月期ドラマも目の付けどころがシャープで絶好調の面白さ。

物語は新宿・歌舞伎町にたたずむ病院を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図がテーマ。

主演は小池栄子と仲野太賀だが、小池栄子バイリンガルの日系二世を演じて英語のキレと出身地の岡山弁の組み合わせが抱腹絶倒。とくに「それな」「うぅ~」というセリフが面白い(言葉では表せない。笑)。

アメリカの医師免許を持つヨウコ(小池栄子)が、何か質問された時にイエスともノーともとれる返答する可笑しさ。「イエェ~」と応えるのだが、英語ではYeah(うん、ああ)に肯定のとれるが、日本語では「いいえ」と否定にもとれる。突っ込まれた時の逃げの戦法か。同僚たちにもYeahという言葉が伝染する。 

アメリカの医師免許をもつヨウコが、新宿歌舞伎町の病院にやってくるが、この病院は訳アリ病院。かつてはホームレスや犯罪者などの患者を治療していたが、今では老朽化、外科医もいない状況。しかも経営・財政は火の車。

  

 

ヨウコが患者としてやってきて、軍医として野戦病院で経験のある荒治療ながら手術をしていくが、日本の免許資格がなくて大丈夫か…といった展開。

野戦病院”と聞くと、朝鮮戦争を舞台に3人の軍医を描いたブラックコメディ映画の傑作「M★A★S★H」(マッシュ8、1970)を思い起こす。「MASH」は移動野戦外科病院 (Mobile Army Surgical Hospital)のこと。

 

<あらすじ>
舞台となるのは新宿歌舞伎町の片隅に建つ「聖まごころ病院」。かつてはホームレスや犯罪者などワケありな背景を持つ患者も分け隔て無く治療する「新宿の赤ひげ先生」高峰啓介院長(柄本明)の下で人々の尊敬を集めていた。

しかし、時代と共に施設の老朽化やドクターの質の低下が顕在化し、現在はワケあり患者からも忌み嫌われるその荒廃ぶりから「新宿野戦病院」と揶揄されていた。

 

そんな中、急性アルコール中毒で搬送されてきた岡山弁混じりの英語を喋る謎の女ヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)が、軍医として本物の野戦病院を経験した凄腕の外科医であることが判明し、偶然が重なり一人のホームレスの脳外科手術を成功させ命を救う。

弟の啓三(生瀬勝久)から外科医を確保できなければ病院を売却すると迫られていた啓介は、ヨウコが日本の医師免許を持っていないという問題を握り潰し、半ば強引に聖まごころ病院に雇い入れる。

ヨウコの影響で次第に活気を取り戻していくドクター達たちであったが、次々現れるワケあり患者や、ヨウコの出生にも関わる聖まごころ病院の闇に翻弄されていくのだった。

多国籍の街といわれる新宿歌舞伎町。ナレーションも第1話では日本語。第2話ではスペイン語。第3話では韓国語。第4話では中国語、第5話ではタイ語…と変わっている。

・・・
小池栄子の最近の活躍ぶりには目を見張る。先日観たばかりの「地面師たち」のぶっ飛び演技に続き、岡山弁訛りと英語を見事に使いわけ?機関銃のようにまくし立てるところがすごい。


病院の二階に住み込み部屋を用意されたヨウコは「ウサギ小屋のような大部屋」というと、病院スタッフの一人、高峰享(仲野太賀)から「こういう時、日本人はなんていうか知ってる? 住めばミヤコ蝶々」というのが笑わせる。ヨウコは、あとで「住めばミヤコ蝶々」とニンマリする。


ちなみにミヤコ蝶々1920年大正9年〉7月6日-2000年〈平成12年〉10月12日)は関西の漫才・喜劇界をリードした大御所でコメディエンヌ。ミヤコ蝶々もまさか自身の名前が令和にダジャレで使われているとは草葉の陰で苦笑いしている。

ドラマの冒頭で、新宿歌舞伎町のすばらしさを訴える動画を撮影するNPO法人「Not Alone」新宿エリア代表を演じる橋本愛もいい。まっすぐでピュアな女性かと思いきや、ハッとさせる姿で登場するシーンもある。


病院で経理と電話受付を担当する白木愛(高畑淳子)も「貧乏人も金持ちも平等に助ける」というのがポリシー。ただ電話で、救急から電話が入ると、厄介そうな患者と知ると「拒否」「拒否」と病院スタッフから声が上がる。


ヨウコの手術にしても荒っぽさが見られたが、白木は金庫番としてビジネスとしての収益を第一に考え「雑に助ける。それが医者」と言ってのけるのだ。

第2話以降も楽しみ。追加:Netflixで配信中の第5話まで鑑賞済み。

濱田岳のセリフ:「今時のトー横キッズはタランティーノも知らない奴ら」というほどのオタクだが、NPO橋本愛は、さらに上手を行く映画通だった(笑)。トー横キッズとは、東京都新宿区歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺の路地裏でたむろをする若者の集団。

<主な登場人物>
■ヨウコ・ニシ・フリーマン/小池栄子アメリカ国籍の女医。生まれは東京。14歳で母と二人で渡米し、医大に合格し、26歳で医師免許を取得し、11年間軍医として働いていた。
■高峰享/仲野太賀…啓三(生瀬勝久)の息子。啓介(柄本明)の甥。父譲りの金儲け主義者で、叔父の啓介の跡を継いで、美容整形クリニックとしてリニューアルオープンする、という夢を抱いている。

■高峰啓介/柄本明…創業100年の聖まごころ病院・3代目院長。名医だった創業者の祖父、2代目である父親からまごころ病院の運営を引き継いでいる。腕のいい元外科医で、ホームレスから犯罪者まで分け隔てなく治療することで歌舞伎町の“赤ひげ先生”と称されていた。しかし、近年は病院の老朽化、医療費の未払いが相次ぎ、多額の借金などさまざまな問題を抱えることに…。今はアルコール依存症となり現場を退き、病院を手放すか否かの瀬戸際に立たされている。
■南舞/橋本愛NPO法人「Not Alone」新宿エリア代表。ピュアな心の持ち主で困っている人がいると放ってはおけない。貧しい命も富める命も皆平等。人権は保障すべきだという強い信念がある。その強い思いの裏側には何か秘めるものを抱えている。
■高峰はずき/平岩紙…聖まごころ病院に勤めるソーシャルワーカー生活相談員)。聖まごころ病院の3代目院長・高峰啓介(柄本明)の娘。外科医を志したものの、5浪の末、医大受験を諦めて、現在はソーシャルワーカーとして働いている。
■横山勝幸/岡部たかし…院内の内科・小児科医。「助けられる命は、すべて助ける」という啓介(柄本明)の考えには賛同し、彼に恩義を感じている。しかし、今は医者としてのプライドや向上心がすっかり薄れ、妻子持ちにもかかわらず、パパ活を夢見ている。
■田島琢己/馬場徹…院内の泌尿器科・性病科医師。専門はED治療であるが、歌舞伎町にはびこる性病や性に関する相談全般を一手に引き受けている。
■堀井しのぶ/塚地武雅…院内の看護師長。その振る舞いや言動にチャーミングさを兼ね備えている。病院に運び込まれてくるDV被害者、トー横キッズなど“ワケあり”患者たちに対しても物怖じすることのないフランクな性格。その上語学がなぜか堪能。聖まごころ病院のムードメーカー。スタッフたちからは「性別は?」と陰でささやかれてかれている。

■白木愛/高畑淳子…病院の“金庫番”兼経理担当を務める。病院の収入のためなら、どんな患者も積極的に受け入れる。長い歴史を誇る聖まごころ病院の内情にもやたらと詳しい情報通。
■高峰啓三/生瀬勝久…院長の啓介(柄本明)の弟。外部で不動産コンサルタントとして働いて成功しており、高峰家唯一の金持ちとなり、兄の啓介を見下している。
■若井あかね/中井千聖…「貧しい命も富める命も皆平等」「人権は保障されるべきだ」という強い信念を持って活動するNPO法人「Not Alone」の新宿エリア代表・南舞(橋本愛)と共に働くスタッフ。
■村木千佳/石川萌香…病院の看護師長・堀井(塚地武雅)とともに働く看護師。
■吉野勇介/萩原護…院内において、村木(石川萌香)の同僚である看護師。
■岡本勇太/濱田岳…歌舞伎町の住民に舐められる交番勤務の巡査。
■リツコ・ニシ・フリーマン/余貴美子…元アメリカ軍医のヨウコ・ニシ・フリーマン(小池栄子)の実の母。シングルマザーのリツコはジャズシンガーとして暮らしており、夢はニューヨークのクラブでステージに立つこと。

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