「新宿スワン」(2015)は、アジア最大の歓楽街、新宿歌舞伎町で奔走する水商売のスカウトマンたちの姿を描いた、和久井健の同名コミックを園子温監督が綾野剛を主演に迎えて映画化。新宿の裏社会(闇社会)に生きるスカウトマンの生態、抗争、裏切り、のし上がり、仲間などを描いている。
スカウト会社の幹部に拾われ、スカウトマンとしてのしあがっていく主人公・龍彦(綾野剛)と、ライバル会社のスカウトマン・南秀吉(山田孝之)や風俗嬢たちのドラマが繰り広げられる。だれ一人、よそ者扱いされない…それが新宿だ、という言葉があったが、それだけに、怖さもある。
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東京・新宿区歌舞伎町。
約600メートル四方の中に4000店以上の飲食店や風俗店が軒を連ねるこの地は、アジア最大の歓楽街である。あてもなく歌舞伎町をさすらっていた白鳥龍彦(綾野剛)は、スカウトの世界に足を踏み入れる。男女の様々な思惑が絡み合う裏社会で、力と力がぶつかり合う生き残りを賭けた争いが繰り広げられていく・・・(Movie
Walker)。
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眠らない町といわれる新宿歌舞伎町。
そんな中、バーストの山城社長(豊原功補)は、ハーレム社のナンバー2で実権を握っている葉山(金子ノブアキ)に働きかけ、ハーレムをバーストの傘下に吸収しようとしていた。ハーレムの松方社長(安田顕)は、怒りが爆発するがすでに時遅しの状態だった。
2つのグループが合併するが数名の幹部以外は、上下関係はなしで、スカウトで実績を上げたものは、役職が上がるというシステムにして、スタッフにはっぱをかけるのだった。
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2つのスカウト会社のうち、吸収される側のハーレム社が、バースト社に飲み込まれた形にして、ハーレムでは、最終的に「バーストをそっくりいただくんだ」というハーレムを仕切る葉山は考えていたのだ。
スカウトマンが、あの手この手で、歩いている若い女たちに声掛けするが、真虎によれば、事前に”オブザベーション”(観察)をするのだという。自身が拾ったスカウトマン龍彦に、ビルの窓から双眼鏡を使って、歩いている女の様子を見て、瞬時にどんな境遇の女なのか判断できるという。
水商売、風俗で働きたいと思っている女に目をつけろというわけだ。田舎から出てきたばかりで、とりあえずまとまったお金(稼ぎ)がほしいとか、旦那の働きが悪く、小さい子供を抱えて収入がほしい女などだ。もちろん、若さと見た目が重視される(笑)。
ハーストのスカウトマンの中には、殺し以外は何でもやるという”狂犬”と呼ばれる関
(深水元基)や、資金を潤沢に持っているらしい南秀吉(山田孝之)は、素性がわからなかったが、探偵調査の結果、かつて傷害事件を起こし、名前を変えて、クスリ(覚せい剤)の密売に関わっていることなどがわかってくる。
龍彦がスカウトしたアゲハ(沢尻エリカ)は、借金を肩代わりしてもらった代わりに、睡眠時間、自由時間が少なく、一日15人とか、多い時で20人も客の相手をするほどで、ついに覚せい剤に手を出して、”しゃぶ漬け”状態になってしまう。龍彦は、風俗嬢のすべての女性が幸せになってほしいという、人のいい、やさしい性格もある。
綾野剛も伊勢谷友介も金髪で熱演。沢尻エリカも「ヘルタースケルター」などの映画で吹っ切れたのか、この映画では、覚せい剤に染まっていき、もうろうとしてしまう姿が描かれる。吉田鋼太郎、安田顕といった個性派俳優も見ごたえがった。
主な出演者:
白鳥龍彦 - 綾野剛
南秀吉 - 山田孝之
アゲハ - 沢尻エリカ
葉山豊 - 金子ノブアキ
関玄介 - 深水元基
時政 - 村上淳
洋介 - 久保田悠来
栄子 - 真野恵里菜
梨子 - 丸高愛実
毒山 - 一ノ瀬ワタル
アキオ - 長田成哉
松方社長 - 安田顕
涼子 - 山田優
山城神 - 豊原功補
天野修善 - 吉田鋼太郎
真虎 - 伊勢谷友介
予告編
「新宿スワン2」も公開される予定。
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