いよいよ恒例の賞レースが始まった。アカデミー賞前哨戦のひとつとして注目される、米「ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞」が12月3日(現地時間)に発表され、作品賞に巨匠マーティン・スコセッシ巨匠のNetflix映画「アイリッシュマン」(↑写真)が輝いた。
■作品賞:「アイリッシュマン」
マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロが9度目のタッグを組んだ。第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生を、ひとりの殺し屋の目を通して描いた実録もの。デ・ニーロが演じたのは伝説的マフィアのラッセル・バッファリーノに仕えた実在の殺し屋フランク・“アイリッシュマン”・シーラン。1975年に失踪した全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファをはじめ、多くの殺人事件に関与したとされる。ジミー・ホッファ役のアル・パチーノ、ラッセル・バッファリーノ役のジョー・ペシが豪華共演。3時間超の巨編を執筆した脚本家スティーブン・ザイリアンは脚色賞を受賞。
■監督賞:クエンティン・タランティーノ(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという2大スターが初共演。落ち目の俳優とそのスタントマンの友情と絆を軸に、1969年ハリウッド黄金時代の光と闇を描いた。
■外国語映画賞:「パラサイト 半地下の家族」
第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画史上初となるパルムドールに輝いたポン・ジュノ監督作品。一家全員失業中で、“半地下”住宅で暮らす貧しいキム家の長男が、裕福な一家の娘の家庭教師になったことから悲喜劇が展開。韓国では動員1000万人突破、フランスでは160万人を超え、全米では今年公開された外国映画の興行収入第1位を記録。
主な受賞結果は以下の通り。
▽作品賞 「アイリッシュマン」
▽監督賞 クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
▽主演男優賞 アダム・サンドラー「Uncut Gems」
▽主演女優賞 レニー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」
▽助演男優賞 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
▽脚本賞 ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ、ロナルド・ブロンスタイン「Uncut Gems」
▽脚色賞 スティーブン・ザイリアン「アイリッシュマン」
▽ブレイクスルー演技賞 ポール・ウォルター・ハウザー「リチャード・ジュエル」
▽新人監督賞 メリーナ・マツーカス「Queen & Slim」
▽アニメーション映画賞 「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」
▽ドキュメンタリー映画賞 「Maiden」
▽アンサンブル演技賞 「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
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久しぶりにレニー・ゼルウィガー(「ブリジット・ジョーンズの日記」「シカゴ」)の名前が見える。ミュージカル女優ジュディ・ガーランドを演じる。映画のタイトルもそのものずばり「ジュディ 虹の彼方に」。これは期待したい。
「アイリッシュマン」は年末から来年にかけての賞レースの1角を担いそうだ。
記事:
Netflix配信映画「アイリッシュマン」(原題:The Irishman、2019)を見る。 - fpdの映画スクラップ貼