「ラ・カリファ」(原題:La califfa、1970、イタリア/フランス)を見る。アルベルト・ベヴィラクア監督による社会派ドラマ。今回、”埋もれた”映画と言われながら未公開だった映画が、50数年の時を経て日本初公開。
都内では新宿武蔵野館で「エンニオ・モリコーネ特集」として「死刑台のメロディ」と「ラ・カリファ」の2作品が特別上映された。一律1,600円(1本)。客層は往年のロミー・ファンか、シニア層が多かった。
ロミー・シュナイダーが最も美しく輝いていた時の作品で、パワフルで体当たり演技を見せているのが見どころ。体当たり演技というのは脱ぎっぷりがいいということ。敵対する工場長と凛々しいロミー・シュナイダー演じるストライキの女性リーダーの禁断の恋を描く。
音楽はエンニオ・モリコーネ。出演は「恋ひとすじに」「太陽が知っている」のロミー・シュナイダー、「バーバレラ」のウーゴ・トニャッツィ、「捜査網せばまる」のマリーナ・ベルティ、マッシモ・ファネッリ、ロベルト・ビサッコら。
<ストーリー>
北イタリアはエミリア州のパルマ。労働争議の暴動で夫を殺されたイレーネ・コルシー二(ロミー・シュナイダー)は、”カリファ”の愛称を持つ魅惑の女闘士。殺害された夫の遺志を継いで闘争を続け、工場経営者ドベルド(ウーゴ・トニャッツィ)と何度も対立する。
しかし彼は他の資本家たちとは違う考えの持ち主であることがわかり、2人はやがて男と女として惹かれあっていく。ドベルドもイレーネに影響され、以前より労働者寄りの立場を強めていくが、それを快く思わない他の経営者の反感を買ってしまう。
そして互いの立場の違いを抱えながらもふたりは逢瀬を重ねるが、やがて悲劇が彼らを襲う…。
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ロミー・シュナイダーが反発から同志そして愛情に移り変わりゆく様を、心憎いほどに好演している。血の海と化した広場に呆然と立ち尽くすロミーの衝撃の冒頭シーンが印象的。
ラストも今度は、工場経営者ドベルドが暴漢に殺され、壁に投げつけられて血が流れるシーンで終わる。労働者と雇用主である工場経営者との関係が鋭く描かれている。
ロミー・シュナイダーというと、悲劇のヒロインというイメージが強い。一方で、凛とし佇まいで気高くもあり、ワイルドで強靭な意志の持ち主を体現する。繊細な中にも崩れそうな脆さが潜む。妖艶な容姿と仕草は目に焼きつくほど。
ロミー・シュナイダー・ファンには見逃せない1本。
■「新宿武蔵野館」の歴史:
「武蔵野館」は新宿の商店街有志の尽力により1920年6月30日に発足。地上3階建て、座席数600席ほどの映画館としてスタート。まもなく創業104年を迎える老舗。
1968年12月、武蔵野ビルを改装し、7階に500席(後に334席に減少)の映画館「新宿武蔵野館」として再オープン。
その後、2002年1月1日、7階の「新宿武蔵野館」を「新宿武蔵野館1」に、3階の「シネマ・カリテ1・2・3」を「新宿武蔵野館2・3・4」に改称。同時に3階ロビーなども改装。一部閉館などを経て、2012年1月、シアター1と2にデジタル上映設備、シアター3にブルーレイ上映設備を新設。
2016年1月30日から耐震性補強と改装のため、一時休館となり、同年11月5日、工事が終了しリニューアル・オープンし、現在の形になった。
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