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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「死刑台のメロディ」(原題:Sacco e Vanzetti、1971)を再見(「エンニオ・モリコーネ特選」上映で)。

  

          右は先着順に配布されたポストカード

死刑台のメロディ」(原題:Sacco e Vanzetti、1971)を半世紀ぶりに劇場で再見(英語版)。特別料金一律1,600円(1本)。一日に劇場で2本見るのは、しばらくぶり。都内屈指のミニシアター「新宿武蔵野館」で19日から始まった「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」の1本。もう1本は、本邦初公開の「ラ・カリファ」(1970)。

 

1920年アメリカ合衆国マサチューセッツ州で実際にあったサッコ・ヴァンゼッティ事件を正面から描いた史実的社会派ドラマ。アメリカ史の汚点的冤罪事件として語られる事件をジュリアーノ・モンタルド監督が映画化。

イタリア移民のサッコとバンゼッティがいわれなき死刑を受けるまでを描いている。主題歌「勝利への讃歌」(エンニオ・モリコーネ作曲)を社会派の歌手であるジョーン・バエズが担当したことも話題となった。

監督はジュリアーノ・モンタルド、脚本はモンタルドとファブリツィオ・オノフリ、撮影はシルヴァーノ・イッポリティ、音楽は「わが青春のフロレンス」のエンニオ・モリコーネが各々担当。

テーマ曲の“サッコとバンゼッティのバラード”と“勝利の讃歌”を、ともにジョーン・バエズが歌っている。

出演は「仁義」のジャン・マリア・ヴォロンテ、「盗みのプロ部隊」のリカルド・クッチョーラ、「寒い国から帰ったスパイ」のシリル・キューサックロザンナフラテッロ(イタリアの映画賞「ナストロ・ダルジェント賞」新人賞受賞)、「姿なき殺人」のジェフリー・キーン、「ロミオとジュリエット」のミロ・オシーなど。

・・・
アメリカだけではなくヨーロッパの各地にまで抗議活動が広がったこの事件は、2人の死刑執行後の再調査の末、冤罪が確定した。

サッコとヴァンゼッティの解放を求める抗議者たちがアメリカ国内のみならず、イタリアやヨーロッパなど各地でデモを起こしていたことが伝わる当時の映像がスクリーンに投影されるシーンは圧巻。

それをサッコとヴァンゼッティの妻を含めた抗議者たちが涙目になりながらも食い入るように見つめるシーンも映し出される。

    裁判長の不当な発言に異を唱える表情のサッコとヴァンゼッティ

 

<ストーリー>
イタリア移民の労働問題が叫ばれていたアメリカ・ボストン。靴屋のサッコと魚行商人のヴァンゼッティは、赤狩りをまぬがれたが、密告者の通報で逮捕される。警察は彼らがイタリア人で護身用のピストルを持っていることを知ると逮捕するが、その理由は拳銃を携帯していたからではなく、製靴会社の現金強盗殺人犯としてだった。


二人はまったく身に覚えがないにも関わらず、次々と提示される証言や証拠は彼らが犯人である事を指し示していた。やがて裁判が開かれ二人には有罪の判決が下される…。

    銃を構えるしぐさをさせられるサッコとヴァンゼッティ(右)

実証見分では、銃を構える姿をさせられるが、その構えはぎこちなく、銃を撃ったこともないというヴァンゼッティの声は届かなかった。

・・・
1920年当時のアメリカの世相を反映している。イタリア移民への差別と、政治思想への取り締まりが過酷に描かれている。そして、身に覚えのない銀行強盗殺人という罪をかぶせられるのだった。

移民でアナーキストを自認しているヴァンゼッティとサッコは、はじめから有罪ありきの裁判に巻きこまれる。

ヴァンゼッティを演じるジャン・マリア・ヴォロンテが、死刑宣告を受けたあと、裁判官から「言いたいことはあるか」の後の熱のこもった訴えが胸を打つ。

証人たちを買収し、犯人をでっち上げた裁判および裁判長の名は忘れ去られても「サッコとヴァンゼッティの正義は永遠に語り継がれることになる」というものだった。

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主な登場人物:
■バルトロメオ・ヴァンゼッティ:ジャン・マリア・ヴォロンテ…魚の行商人。
■ニコラ・サッコ:リカルド・クッチョーラ…靴屋の職人。
フレデリック・カッツマン:シリル・キューザック…判事。    
■モーア:ミロ・オーシャ    
■タイヤー:ジェフリー・キーン
■トンプソン:ウィリアム・プリンス     
■ローザ・サッコ:ロザンナフラテッロ …ニコラの娘。   

歌手のジョーン・バエズは、夫と共に徴兵反対運動をし、3年もの刑を受けていた活動家でもあり、そんな事件を描いた本作「死刑台のメロディ」に賛同。主題歌「勝利への讃歌」と挿入歌「サッコとヴァンゼッティのバラード」の2曲を歌っている。

モリコーネの美しいメロディとともに、ジョーン・バエズが手掛けた歌詞もすばらしい。

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