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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「パリのめぐり逢い」(原題:仏: Vivre pour vivre、1967)を再見。音楽フランシス・レイ。

パリのめぐり逢い」(原題:仏: Vivre pour vivre、1967)を再見した。かつて知人から私家版DVDをもらって放置状態だったが、全編を改めて見た。日本では今のところDVD化されていない。

監督クロード・ルルーシュ、音楽フランシス・レイのコンビで「男と女」(1966)に続く作品。音楽だけがあまりにも有名で、内容はすっかり忘れていたが、1960年代後半の泥沼化するベトナム戦争毛沢東による中国の文化大革命(通称「文革」、1966年~1976年)などの世相を色濃く反映している。

 

パリのめぐり逢い」はアカデミー賞外国語映画賞(現・国際長編映画賞)ノミネートの5作品の1本だった。受賞したのは「厳重に監視された列車」(チェコスロバキア)。ほかには「恋は魔術師」(原題:El Amor Brujo)(スペイン)「ジプシーの唄をきいた」(ユーゴスラビア)「智恵子抄」(日本)と「パリのめぐり逢い」(フランス)だった。

この年の第40回「アカデミー賞」(1968年)の作品賞候補は名作ぞろいだった。「俺たちに明日はない」「ドリトル先生不思議な旅」「卒業」「招かれざる客」「夜の大捜査線」。オスカーは「夜の大捜査線」だった。

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「パリのめぐり逢い」の内容は、フランス人ジャーナリストのイブ・モンタン(ロベール)が、アニー・ジラルド(カトリーヌ)という美人妻がいるのに、アメリカ人大学生のキャンディス・バーゲン(キャンディス)とアバンチュールを楽しむが、やがてキャンディス・バーゲンは帰国し、アニー・ジラルドには相手にされなくなり、イブ・モンタンはようやく愚かな自分に気づくという展開で、ほとんど台詞はなく、映像と音楽で綴られる作品。

「私たちのドラマはウソで終わったのよ」というアニー・ジラルドの終盤のセリフがあるが、最後にどんでん返しが待っていた。

 

イヴ・モンタンが妻と若い愛人との二股で、あわや三角関係の火花かと思われたが、すべてをお見通しのような目で見つめるアニー・ジラルドの大人の対応が見どころだった。

アムステルダムに二人で旅行に出かけて、2日間だけパリに出かけると偽って、パリに行かずにアムステレダムで旅行中の若い女子大学生と逢瀬を重ねていたモンタンに、パリに戻る列車でアニー・ジラルドから「何か言いたいことがあるでしょ」と問いただされて、すべて白状してしまうモンタンの哀れなることよ。

アニー・ジラルドにも新しい恋人ができて、モンタンも仕事に集中、ベトナムに取材に赴くが、現地で捕虜になるなどの映像がテレビから流れる。

解放されて帰国するモンタンだったが、友人として出迎えたアニー・ジラルド。すでに遠い人となっていたジラルドと別れるが、そのあと自分の車の窓ガラスの雪を振り払うと、その助手席にはジラルドがいた。結局、元のさやに? 雨降って地固まるか…(笑)。
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<ストーリー>
フランスのTV界でもトップクラスのニュース・リポーター、ロベール・コロンブ(イヴ・モンタン)は、妻のカトリーヌ(アニー・ジラルド)との間が、決して不満があるわけではないが、単調な日常生活の繰返しに耐えられず、時には恋のアバンチュールを楽しんでいた。

そんなある日、彼はキャンディス(キャンディス・バーゲン)というファッション・モデルをしながらソルボンヌ大学に通う娘と出会い、そのみずみずしい知性的美しさに強くひかれた。

TV局からの電話で、アフリカへ取材に出かけることになったロベールはキャンディスに同行を誘うと彼女はすぐに同意した。

ケニア砂漠での二週間は、二人の間をさらに深く結びつけ、野生の猛獣撮影が成功した夜、二人は初めてベッドを共にした。パリに帰ったロベールは、カトリーヌの発案で、アムステルダムへ休暇旅行に発った。

久しぶりで夫婦は語りあい愛しあった。そしてある日、ロベールはアムステルダムまで彼を追ってきたキャンディスの姿を見た。

彼は二日だけ仕事でパリに帰ると妻に告げてキャンディスの待つホテルに向った。しかし、帰ってきたロベールを見て、カトリーヌはすべてを察し、パリへ帰る途中のブラッセル駅で一人降りてしまった。

パリへ帰ったロベールは、キャンディスと一緒の生活をはじめた。しかし、その生活はなぜか空ろで虚しかった。ベトナムへの取材旅行をきっかけにロベールはキャンディスとの別離を決意し、その旨を伝え出発した。

日が流れた。新聞に「ロベール 南ベトナムで行方不明」の活字が躍る。ベトコンの捕虜になり解放されたロベールは、カトリーヌを探してアルプスの近くの町へ走った。

カトリーヌはロベールを友達として暖かく迎えてはくれたが、その時ロベールは、彼女はすでに自分の妻としては遠い人であることに気づき、静かにわかれを告げて外に出た。

だが、雪におおわれた車のフロント・ガラスをはらい落した時、彼は再びその中に妻の笑顔をみたのだった。

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映画はまさに時代を映す鏡(fpdの持論。笑)。舞台がパリ、アフリカ、アムステルダムと次々と移り それと共に変わっていく登場人物の感情が自然に描かれている。タイトルに「パリの…」とあるが、パリの描写は少ない。アムステルダム、アフリカなどのシーンが多い。     

イヴ・モンタンがこの映画の時は46歳、キャンディス・バーゲンは21歳。役柄では41歳と22歳という設定。モンタンの41歳という設定はどう見ても還暦のように見えるが、年齢が親子ほども違う大学生(大人びた落ち着きがあるとはいえ)と浮気。

実生活でもモンタンの浮気がスキャンダルになったことが何度もあったのは有名。マリリン・モンロー(「恋をしましょう」(1960)で共演)の時は、妻のシニョール・シニョレが自殺未遂を起こしているというからただ事ではない。モテ男というかプレイボーイでもあったようだ。「Z」(1969)では硬派な革新派の政治家も(笑)。

「砲艦サンパブロ」のキャンディス・バーゲンの人気がこのころから沸騰。「スクリーン」などの映画雑誌の表紙を飾るようになった。まさにクール・ビューティー

お気に入り映画「…YOU…」(原題:Getting Straight、1970)をはじめ「ソルジャー・ブルー」(1971)「愛の狩人」(原題:Carnal Knowledge、1971)「さらば荒野」(原題:The Hunting Party、1971)「愛はひとり」(1974)「新・おしゃれ泥棒」(1975)「弾丸を噛め」(1975)など立て続けに見た。

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