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映画「緑色の部屋」(原題:La Chambre verte、1978、仏、フランソワ・トリュフォー監督)を見る。

緑色の部屋」(原題:La Chambre verte、1978、仏)は、レアな作品のひとつで、フランソワ・トリュフォー監督の「恋のエチュード」「アデルの恋の物語」と合わせた「ロウソクの三部作」と呼ばれた作品のひとつ。

この映画のカメラマンのネストール・アルメンドロスは「野性の少年」でもロウソクを使った撮影に挑戦している。

結婚後わずかの間に事故で死んでしまった若妻の肖像や遺品で飾られた“緑色の部屋”で生活する男の死者への愛情を描く。

監督のトリフォー自身が繊細すぎる孤独な男を自作自演する、悲痛な追想の愛の映画。共演は「アメリカの夜」のナタリー・バイ(のちの「ポルノグラフィックな関係」が秀逸。笑)ほか。

<ストーリー>
第1次世界大戦から10年後の1928年、フランス東部の小さな町。田舎町の新聞「グローブ」で死亡欄を担当するジュリアン・ダヴェンヌ(フランソワ・トリュフォー)は、若くして亡くした妻ジュリーを一日たりとも忘れたことはなかった。

 

ジュリアンは、友人ジェラール・マゼ(ジャン・ピエール・ムーラン)の夫人ジュヌヴィエーブの葬儀に出かけ、悲しみのあまり泣きうなだれる友人を心から慰めた。

ジュリアンはイタリアを旅行中に、若くして亡くした妻ジュリーへの愛情を忘れないために彼女の写真や遺品を飾った秘密の部屋「緑色の部屋」を作った。

40代になった今も独身を続け、家政婦(ジャーヌ・ローブル)と聾唖の少年ジョルジュ(パトリック・マレオン)と共にひっそりと暮らしていた。緑色の部屋には、ジュリーの肖像や遺品が置かれていた。

“グローブ”社の編集部に勤めていたがジュリアンには1人だけ許すことのできない人間がいた。それはポール・マシニーという政治家。かつてはジュリアンの親友だったが、非情にも彼はジュリアンを裏切ったのだった。

ある日ジュリアンは、妻ジュリーの実家であるヴァランス家の家具や調度品などが競売されることを知り出かけた。形見の指輪を探していると、セシリア・マンデル(ナタリー・バイ)という女性が協力してくれた。

後日、競売で指輪を買い戻すために家政婦を競売に参加させ買い取った。

セシリアもジュリアンと同じく死者を大切にする心を持っていた。死を崇める心、死者を大事にする気持ちがふたりを親しく結びつけ、ふたりは互いに強く心ひかれた。

ジュリアンは古い礼拝堂を買い取って、そこを「死者たちの祭壇」とし、心に残る死者たちをあつめてロウソクをともした。

  

ジュリアンはセシリアと共同で祭壇を管理することにしたが、ある日、セシリアの部屋に、生前は彼の宿敵であったポール・マシニーの写真を見つけた。

セシリアは彼の愛人だったのだ。ジュリアンは絶望のあまり部屋に閉じこもって、餓死するがままにまかせた。

セシリアは電話にも返事をしないジュリアンに手紙で思いを伝えた。ジュリアンは瀕死の体をステッキで支え礼拝堂までやって来て、ポール・マシニーのためにロウソクをともすようにと頼むとセシリアの前で息絶えた。

セシリアは涙を流しながら祭壇のロウソクの最後の一本に火をともした。そして名前を発した。ジュリアン・ダヴェンヌ…と。

・・・
かなりレアな作品で、私家版DVDで鑑賞。現在はフランソワ・トリュフォー Blu-rayセット(収録:「黒衣の花嫁」「アデルの恋の物語」「緑色の部屋」HDマスター版)が販売されている。

トリュフォーは自作への3度目の出演となるこの作品。「いかに死者を愛せるか」というテーマを打ち出し、その象徴である「死者たちの祭壇」の無数のロウソクの光について、トリュフォー監督は哲学者バシュラールの言葉「夢想を呼び起こすこの世にあるかぎりの物象のなかでも、炎は最大の映像要因のひとつである」を引いている。

ナタリー・バイをいかに美しく撮るかに終始しているようなトリュフォーの映画だった。

<キャスト>
■ジュリアン・ダヴェンヌ:フランソワ・トリュフォー…フランスの田舎の新聞社「グローヴ」編集部勤務。死亡欄を担当。新婚で若い妻ジュリーを亡くす。生きた人々より死者のほうが親しくなれると考えている。一部では変人扱いされ嫌われている。自宅の「緑色の部屋」には友人らの死者の写真や額が壁一面に貼られ、祭壇のようにロウソクが灯されている。


■セシリア・マンデル:ナタリー・バイ…美しい未亡人で、ジュリアンの宿敵だった政治家マシー二と愛人関係にあった。ジュリアンに共感し、告白の手紙を書くが、ジュリアンが目の前で亡くなる。

■ジェラール・マゼ:ジャン=ピエール・ムーラン…ジェラールの友人。ジュリアンと同様、妻ジュヌヴィエーブを亡くして悲嘆にくれる。
■家政婦:ジャーヌ・ローブル…ジュリアンの古くからの家政婦。オークションなどに代理で出席もする。

■ジョルジュ:パトリック・マレオン…聾唖の少年でジュリアンの甥。
■ベルナール・アンベール:ジャン・ダステ

 

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