1971年に劇場でみたが、前年に同じキャンディス・バーゲン主演の「・・・You・・・」(原題:Getting Straight、1970)の音楽とC.バーゲンの美しさがあまりにも素晴らしかったので「ソルジャー・ブルー」もC.バーゲン主演というだけで見た。”ソルジャー・ブルー”と呼ばれる白人の騎兵隊による先住民(映画ではインディアンのシャイアン族)虐殺などが強烈だった。
モアひゃん(moreさん)が、「ソルジャー・ブルー」のブルーレイのHDリマスター版を購入して見たというので、通常画質だったが、急遽もう一度見ることにした。
「ソルジャー・ブルー」をリアルタイムで見ている人は少ないかも知れない。
10年前(2006年)の記事:http://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/39704452.html
「ソルジャー・ブルー」は、同じ頃公開されたダスティン・ホフマン主演の「小さな巨人」(原題:Little Big Man、1971)と並んで、それまでの西部劇で描かれてきた「インディアン=悪者」という構図の流れを変えた映画だと言われた。それまでは、先住民の側から映画が描かれることはほとんどなかったように思われる。
その意味では、1990年のケヴィン・コスナー主演・監督の「ダンス・ウィズ・ウルブス」は、スー族インディアンを中心に描いて、先住民族インディアンも、自分たちの言葉を話し、考え行動していることを示し、アカデミー賞作品賞まで受賞している。
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「ソルジャーブルー」とは騎兵隊の制服が青いことからそう呼ばれる。
映画の冒頭は凄まじい奇兵隊と原住民(インディアンのシャイアン族)との戦いが描かれる。騎兵隊がインディアンの襲撃を受け、全滅する。
生き残ったのはインディアンと一緒に生活してたことがある女性と、インディアンに父親を殺された若い兵隊の2人だけ。インディアンに対する偏見と憎悪に満ちた兵隊と、インディアンを好意的に捉えている女性の2人の会話のやりとりで進んでいく。
やがて、青年は女性に心惹かれていき、インディアンにも理解の感情が芽生えはじめていく・・・。
映画の後半からラストにかけては、そのサンドクリークの大虐殺のシーンが描かれる。白人アングロサクソン人種による容赦ない殺戮シーンは、目を覆いたくなる。
アメリカ国旗とともに白旗を掲げて降伏するインディアンに対して、容赦なく砲爆撃を開始する騎兵隊。話し合いにも応じない問答無用の差別と攻撃。騎兵隊はインディアン集落に突入し、生活しているテントを焼き払い、女も子供も皆殺しにするのだ。
逃げ出てきた子供の首をはねるシーンや、女の衣類を剥ぎ取り強姦し、その腹をナイフで切り裂くという残虐非道な行為を行うのだ。
こう書くと、残酷映画の塊のようだが、映画の大部分は牧歌的なゆったりした主人公ふたりの、言ってみれば珍道中のような会話や、心を通わせていくラブストーリーの要素もあって、おもしろい。
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アメリカ・インディアン(現在ではネイティブ・アメリカンという)は、大地に根ざして生きるための独自文化を持った人びと。騎兵隊はそうした罪も無い人びとを悪辣非道にも虐殺する悪の権化。インディアンにライフル銃を売って商売をしている白人もいた。
「ソルジャーブルー」の映画のポスターもインパクトがあった。
全裸で後ろ手に縛られ、正座をさせられている、インディアン娘の後ろ姿だが、ポスターの下の背景には、サーベルを構えて突撃する騎兵隊が描かれている。
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映画は、残酷なシーンが多いが、避けるのではなく見るべき映画の1本かもしれない。
パフィ・セントメリーが歌う主題曲は、同じセントメリーが歌う「いちご白書」とともに印象深い。
主題曲
「ソルジャー・ブルー」(原題:Soldier Blue、1970)
製作:ハロルド・ロープ、ガブリエル・カツカ
製作総指揮:ジョセフ・E・レヴィン(「卒業」「冬のライオン」)
原作:セオドア・V・オルセン
脚本:ジョン・ゲイ
撮影:ロバート・ハウザー
112分/アメリカ
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