「とらわれて夏」（原題：Labor Day、2013）を見る。監督は「JUNO ジュノ」「マイレージ、マイライフ」のジェイソン・ライトマン。
脱獄囚と心通わせた母子家庭の意外な展開を描くサスペンス・ラブストーリー。原題の「Labor Day」は、アメリカ合衆国の祝日の一つ「労働者の日」で9月第1月曜日。この時期に、母親と暮らす少年が、脱獄犯と出会ったことで生涯忘れ得ぬ5日間を体験をする様を描いた感動ドラマ。
出演は「愛を読むひと」のケイト・ウィンスレット、「トゥルー・グリット」のジョシュ・ブローリン、「スパイダーマン」シリーズのトビー・マグワイア、J・K・シモンズ、「アイアンマン」シリーズのクラーク・グレッグなど。
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スト‐リー：
1987年の夏。アメリカ東部の田舎町でシングルマザーのアデル（ケイト・ウィンスレット）は息子ヘンリー（ガトリン・グリフィス）とつつましく暮らしている。
夫に去られてから鬱病となり精神を病んで、外出もままならぬアデルを、13歳ながら支えようとするヘンリーは月に一度の買い物に今日も母を連れ出してやった。
ところが二人はそのショッピングセンターで怪我を負った脱獄囚フランク（ジョシュ・ブローリン）に脅かされて自宅へ行き、そのまま軟禁されてしまう。
決して危害を加えないと約束した彼は家や車を修理したり、玄関わきの石に色を付けたり、パイを焼いてくれたり（いかにもアメリカ的）、ヘンリーにボールの握り方をはじめ野球を教えたり、なんでも起用にこなす。
フランクはどうやら凶悪犯ではなく、弾みで人を殺めたようだ。「夕方まで匿ってくれ。迷惑はかけない。すぐに出ていく」というフランク。
こわもてだが実直なフランクに、アデルとヘンリーは、次第に心を許し、傷が治るまで家に居るように伝える。次第に警察の影がちらつきはじめ、隠していたフランクの存在が漏れはじめる。
やがて、ヘンリーは彼を父のように慕い、アデルも自分の心の空洞を埋めてくれる存在として心ひかれていく。
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息子ヘンリーの視点で物語が描かれる。大人になったヘンリー（トビー・マグワイア）の回想という形で物語が進み、ナレーションもヘンリー。
脱獄囚が捕まった時に、匿っていたとしたら自身にも共犯の罪がかかるというリスクがあるのに、なんと不用意な、と思う。警官が目の前に現れているのにやり過ごしていたのは、息子の安全が確保され、自身もフランクに心惹かれていたから。
家の中を片付けて、逃亡犯と息子と3人でカナダに逃げよう…て、逃げおおせるはずがないのだが。警察隊に包囲された家のなかでフランクの取った行動は…。
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逃亡犯とカナダに逃げることにしたアデルとヘンリーは銀行で預金のほとんどを引き出そうとするシーンなどはハラハラとさせる。テラー（窓口）では、大金の引き出しということで上司の許可を取りに行く。
やがて責任者がやってきて「（全額を引き出すとは）何か問題でも？」と聞いてきた。この時の息子ヘンリーのセリフで救われた。
ヘンリーの同級生のませた女の子が語っていた「脱獄犯をかくまって”ボニーとクライド”（「俺たちに明日はない」の原題）のように逃げることを考えているの？」という言葉を引用したのだ。
「本当は全額引き下ろして、ボニーとクライドのように逃げようと思っているんです」が、銀行の窓口、責任者に受けて笑いを誘ったのだった。
ジェイソン・ライトマン監督の長編デビュー作は「サンキュー・スモーキング」、その後「JUNO/ジュノ」「マイレージ、マイライフ」「ゴーストバスターズ/アフターライフ」などがありすべて佳作で外れなし。現在46歳とこれからの作品に期待がかかる。
＜主な登場人物＞
■アデル・ウィーラー：ケイト・ウィンスレット
■フランク・チェンバース：ジョシュ・ブローリン
・（青年期のフランク・チェンバース）：トム・リピンスキー
■ヘンリー・ウィーラー：ガトリン・グリフィス
・（成人後のヘンリー・ウィーラー）/ナレーター：トビー・マグワイア
■マンディ：マイカ・モンロー
■ジェラルド：クラーク・グレッグ
■トレッドウェル巡査：ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク
■ジャーヴィス氏：J・K・シモンズ
■イヴリン：ブルック・スミス
■エレノア：ブリード・フレミング
■マージョリー：アレクシー・ギルモア
■リチャード：ルーカス・ヘッジズ
■バリー：マイカ・フォウラー
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