「パピヨン」(原題:Papillon、1973)がリメイクされて今月21日に公開されるというので、オリジナルを再見した。劇場初公開は1974年3月で、たしかテアトル東京で見た。
当時は、主人公のパピヨンが、独房で「なんでも食べてやる」とゴキブリも食べてしまったり、収容所では、二度逃亡を図るとこうなるぞと”ギロチン刑”をみせしめのために囚人に見せるなどキツ~いシーンが印象的だった。
ラストシーンの大海原(おおうなばら)に即席の布のずた袋でつくった浮き輪を下から支えている水夫と思しき緊急救助スタッフの全身の姿が見えてしまうのは、後から知って今回確認したが、気になるといえば気になる。
監督は「猿の惑星」であっと言わせ「パットン大戦車軍団」ではなんとアカデミー賞作品賞、監督賞など7部門をさらったフランクリン・J・シャフナー。音楽は「猿」「パットン」でもコンビを組み「砲艦サンパブロ」「トラ・トラ・トラ!」などで知られるジェリー・ゴールドスミス。主演はスティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンという当時の2大スターの共演。
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(簡単なストーリー)
ケチな金庫破りで捕まった男(スティーブ・マックィーン)。
しかし、それには看守を買収した上、ボートや食料を入手するための多額の資金が必要だった。そこでパピヨンは同じ服役囚のドガ(ダスティン・ホフマン)という男に目を付ける。ドガは国債偽造で逮捕された男で、今もその腕が噂される偽札作りの天才だった。当初パピヨンはドガと取引することで逃亡費用を稼ごうとするが、やがて二人は奇妙な絆で結ばれてゆく・・・。
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”マックィーンは独房がお好き?”
「大脱走」でも懲りずに脱獄を試みるが、結局捕まって独房に戻って、壁に向かってボールを投げる。「パピヨン」でも、独房にいるときに、ココナッツの差し入れが発覚して「誰からもらったか」所長から厳しく問われるが、ボケたフリをして口を割らない。
一旦、脱獄に成功するがまた、舞い戻ってきて、さらに過酷な5年の刑期を終える。頭は真っ白になる。ドガを最後まで裏切ることはなかった。
刑務所には「Silence(沈黙)」と壁にかかれ、独房には、四角の窓が2つあり、時々、看守から開けられる。下の窓は、動物でも遠慮するような、食べ物とは言えない、ゴキブリも混じった食料の受け渡しが行われ、上の窓はそこから首まで表に出せるようになっていて、散髪をしたりする。
印象に残るシーン。
独房の隙間からパピヨンがとなりを見ると、疲れきったような老人の顔。
その男が「俺の顔はどう見える。自分では元気だと思っているが」というので「元気そうだ」と答えるパピヨン。
しばらく時が経過して、首を出すと隣には、以前の老人の顔は見えない(獄死したのだ)。そして、またしばらくして、パピヨンが顔を出すが、パピヨンの顔はかつて隣にいた老人のように憔悴しきった顔だった。パピヨンが、となりの新米らしき男に、今度は「俺はどのように見えるか」と聞くのだ。
所長がやってきて、パピヨンに「誰が(ココナッツを)渡したか言え」というと「前は覚えていたが、完全に忘れた、検事さん」と所長にいうのだ。所長は、「もうじき死ぬな」と部下にささやく。
この映画の撮影時、スティーブ・マックィーン(1930年3月24日 - 1980年11月7日)は、43歳。その後、わずか50歳で生涯を閉じたが、最も脂がのった時代だったかもしれない。一方、ダスティン・ホフマン(1937年8月8日 –)は36歳。ホフマンは今も現役。
マックィーンはクリント・イーストウッド(1930年生まれ)と同い年。
マックィーンは、来年没後40年を迎え、現役時代をリアルタイムで知っている世代も少なくなってきた。
1960年代~1980年代の映画をリアルタイムで見てきた世代にとっては、あの頃の映画が最も充実していたなと思うのは、シニアの証拠か?(笑)。
■「パピヨン」のリメイク作品:
実は2年前の2017年9月7日、第42回トロント国際映画祭でプレミア上映された。
2018年5月22日、オフィシャル・トレイラーが公開され、全米公開は2018年8月24日だった。日本での公開は今月21日。
パピヨンはマックィーンに似ている?
新作でパピヨンを演じるのは「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナムで、ダスティン・ホフマンが演じたドガは「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックが演じている。俳優の演技は素晴らしいとしながらも、評論家の評価はイマイチだったようだ。
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■音楽(ラストシーン):https://blogs.yahoo.co.jp/fpdxw092/57799471.html