「ジュディ 虹の彼方に」(原題:Judy、2019)を見る。ジュディを演じるレネー・ゼルウィガーの圧倒的な名演が光った。
名作ミュージカル映画「オズの魔法使」(1939)から30年後、ジュディ・ガーランドは子供たちとの生活を守るためにロンドンでのステージに臨む。ラストで、ガーランドがロンドン公演を行った姿が描かれるが、公演の6ヶ月後に47歳の生涯を閉じた。
天性の歌声をもつ少女は大スターの座と引き換えに映画スタジオに私生活を支配されて普通の生活を失い、不眠症や、薬物やアルコールへの依存に苦しむようになる姿が描かれる。日本公開は2020年3月6日。
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ジュディ・ガーランド(レネ・ゼルウィガー)は「オズの魔法使」(1939)でハリウッドのスターダムへと駆け上がったが、次第に薬物依存や神経症に苦しめられるようになり、そのことがキャリアにも暗い影を落とすようになった。
1960年代後半には家賃の工面にも難儀するほどの苦境に陥っていた。
1968年、ジュディはロンドンで5週間にも及ぶ連続ライブを敢行することになった。当初、精神的にボロボロになっていたジュディは舞台に立つことすら危ぶまれていたが、必死の思いで何とか一日目をやり通すことができた。
舞台に上がった瞬間、ジュディは往時の輝きを取り戻して圧巻のパフォーマンスを披露した。
本作は最晩年のジュディに焦点を当て、彼女の知られざる苦悩、子供たちへの深い愛情、ミッキー・ディーンズ(フィン・ウィットロック、ジュディの5番目かつ最後の夫)との恋を描き出していく。
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ジュディを演じるレネー・ゼルウィガーは「ブリジット・ジョーンズの日記」では体重を増やすなどの役作りでポッチャリしたイメージだったが、今作では、そんなイメージとはガラリと変わってやせすぎのようなほっそりしたスタイルで、まるで別人のようなルックス。自身で歌も歌い、圧巻の演技を見せ、第92回アカデミー賞主演女優賞受賞を受賞。女優の凄さをまざまざと見せつけられた。
タイトルにある「虹の彼方に」(「オズの魔法使」のテーマ曲)を最後に歌うシーンは、ハイライトシーンとなった。
【主な出演者】
十代のジュディ: ダーシー・ショウ
■ロザリン・ワイルダー: ジェシー・バックリー:ロンドン公演でのジュディのアシスタント。
■ミッキー・ディーンズ: フィン・ウィットロック:ジュディの新しい恋の相手。5番目の夫に。
■シドニー・ラフト: ルーファス・シーウェル:ジュディの3番目の夫。
■バーナード・デルフォント: マイケル・ガンボン:コンサートの興行主。
■ルイス・B・メイヤー: リチャード・コーデリー: 映画スタジオの責任者。
■ローナ・ラフト: ベラ・ラムジー:ジュディとシドニーの娘。
■バート: ロイス・ピアソン:バンドリーダー。ピアノ弾き。
■ダン: アンディ・ナイマン:ジュディの長年のファン。
■ベン: フィル・ダンスター
■スタン: ダニエル・セルケイラ :ジュディの長年のファン。ダンの同性のパートナー。
■アスキス: アーサー・マクベイン
■ロニー・ドネガン): ジョン・ダグリーシュ(:ジュディの代役の歌手。
■ライザ・ミネリ: ジェマ・リア=デヴェロー:ジュディと2番目の夫の娘。
■ノエル: デヴィッド・ルービン
■ジョーイ・ラフト: ルウィン・ロイド:ジュディとシドニーの息子。ローナの弟。
■マーガレット・ハミルトン: フェネラ・ウールガー:映画「オズの魔法使」の西の魔女役の女優。
■ミッキー・ルーニー: ガス・バリー:ジュディとコンビを組んだ人気俳優。
【ジュディ・ガーランド(1922~69)】
20世紀を代表する天才エンタテイナー。
「オズの魔法使」(1939年)の少女ドロシー役でブレイクし、17歳にしてスターの仲間入りを果たす。他の追随を許さない圧倒的な演技力と歌声で、ハリウッド黄金期を代表するトップスターとして頂点を極める。しかし一方で、少女時代から受けていた映画スタジオによる薬物コントロールが原因で不眠や神経症に悩まされたり、5人の男性と結婚と離婚を繰り返すなど、波乱に満ちた生涯を送る。1969年、薬物の過剰摂取により、47歳で急逝。
「オズの魔法使」で彼女が歌い、スタンダードとなった名曲〈オーバー・ザ・レインボー/虹の彼方に〉は、終生のテーマソングとなった。アメリカやイギリスでは今なお絶大な支持を集め、CDやDVD、伝記本が頻繁に発売されている。
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