fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「すずめの戸締まり」(新海誠監督、2022)を見る。扉の向こうは…。

新海誠監督の「すずめの戸締まり」(2022)を見る。第46回日本アカデミー賞ではアニメーション作品賞を受賞し、第96回アカデミー賞長編アニメ映画賞の出品作となった。

日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女・岩戸鈴芽(すずめ)の解放と成長を描く物語。日本の神話とかギリシャ神話にヒントを得ているとか言われるが正直よくわからない(笑)。

特に年齢が17歳の主人公は、大人と子供の境界線に置かれているティーンエイジャーであり、旅を通して、心の問題などを乗り越え、再出発するというヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)の要素もあるといわれる。

また、後ろ戸に案内するダイジン(大尽)は、時折、悪意のようなものを垣間見せる。終盤では岩戸鈴芽(すずめ)と叔母の岩戸環(たまき)の心に溜(た)まっていた澱(よど)み、具体的には、震災で母親を喪った鈴芽と、彼女を育てるために人生を犠牲にしたという環の感情を爆発させるのだ。ただ本音でぶつかり合うことで理解も深まっていった。

旅路を通して、鈴芽が様々な人々と触れ合うことで、そのようなドロドロとした澱(よど)みを心に抱えていても良いという結論を出してくれていると考えられる。

劇中、ドライブ中に流れる音楽は1970年代中心の曲で懐かしい。「ルージュの伝言」(荒井由実(現:松任谷由実)の1975年のシングル)「夢の中へ」(井上陽水の1973年のシングル)など。

また、環と鈴芽がケンカをした後は、そのものズバリ「けんかをやめて」(河合奈保子の1982年のシングル)を流したため「うるさいっちゃ」と環に怒られていた(笑)。

方言に関して、九州弁(宮崎弁)などが使われている中、すずめの叔母が「なして?」(「どうして?」の東北弁)などと話していたのは伏線で、東日本大震災を経験した東北人だった。

<あらすじ>
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・岩戸鈴芽(いわとすずめ、原菜乃華)は自転車で登校中に長髪の美しい青年・宗像草太(むなかたそうた、松村北斗)とすれ違う。

青年は「廃墟のようなところにある扉を探してるが知っているか」と鈴芽に聞いてきた。
場所を教えて学校に行こうとしたが、場所が違っていないか心配になり、草太の後を追って迷い込んだ山中の廃墟に向かった。

草太を追っていった先にあったのは、廃墟に取り残された白い扉だった。扉に手を伸ばして、向こう側を覗いてみたら、“すべての時間が溶け合ったような”空が広がっていた。
すずめが何度も夢に見てきた景色で、それは死者が行くという常世(とくよ=死後の世界)の世界だった。

すずめがその扉の前に刺さっていた「石」を抜くと、石は猫の姿になって逃げていった。しかしその石は地震の元凶である「ミミズ」を抑えていたのだ。

地震を止めるためにはもう一度要石(かなめいし)を刺す必要があった。しかし、もともと要石であった猫「ダイジン」は、閉じ師である草太の魂を椅子に閉じ込め、船に乗って逃げ出してしまう。

その椅子はすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子だった…。
すずめと草太(が乗り移った椅子)は、ダイジンを追いかけて船で愛媛県の西にある八幡港に到着。ダイジンは白いひげが昔の大臣みたいだとSNSで人気になり、すずめたちはその足跡を追う。

途中、すずめと同い年の女子高生・海部千果(花瀬琴音)と仲良くなり、宿に泊めてもらえることになった。しかしここでも扉が開いていた。

赤黒い煙を頼りに山奥に進むと、廃墟になった学校の玄関口からミミズが噴き出していた。椅子の姿になった草太に代わって、鈴芽が鍵を差し込んで後ろ戸を閉じる。

その後、テレビで明石海峡大橋を歩くダイジンの姿を発見したすずめたちは、千果と別れてダイジンがいると思われる神戸を目指した。

すずめがヒッチハイクをしていると、松山から神戸へ帰る途中の二ノ宮ルミ(伊藤沙莉)さんという女性が車に乗せてくれた。

こうして、関西から、東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。

・・・
椅子になってから、徐々に意識がある時間が短くなっていた草太は、自分が要石(かなめいし)になる運命だったことを悟る。椅子の姿に変えられた時、要石の役割も引き継いでいたのだ。

要石(かなめいし)とか、脚が3本の黄色い椅子、猫のダイジン、常世(とこよ=死後の世界)、大きなミミズなどが様々なメタファーになっていることを理解しないとわかりにくい。椅子はスズメが小さいころ母が作ってくれた椅子であり、椅子を通して、母の記憶をたどっていた。

<キャスト>
岩戸鈴芽(すずめ):原菜乃華
宗像草太:松村北斗
岩戸環(たまき):深津絵里
岡部稔:染谷将太
二ノ宮ルミ:伊藤沙莉
海部千果:花瀬琴音
岩戸椿芽:花澤香菜
芹澤朋也:神木隆之介
宗像羊朗:松本白鸚

■「にほんブログ村」にポチッと!。

https://movie.blogmura.com/ranking/in   

https://movie.blogmura.com/moviereview/ranking/in