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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

女優・岩下志麻(日本映画をけん引してきた大女優:NHK BS出演。


 
NHK BSで「The Star」(ザ・スター)という番組があり、初めて見た。今回のスターは、日本の現代のトップクラスの女優、岩下志麻だった。
役作りの徹底ぶりは、半端ではない様子だ。
 
たっぷりと番組を見て感じたことは、話し方も安定していて、まったく嫌味がなく自然体で、動じないというところがすごい。映画では、たとえば盲目の役を演じたはなれ瞽女(ごぜ)おりん」を演じたときは、三味線や暗闇での生活に慣れるために半年間以上を費やしたという。
 
夫である篠田正浩監督は、妻・岩下を「戦友」と呼ぶが、盲目の役をだれに演じさせるか悩んだが、女優は目力が勝負という中で、あえて盲目の役は、ほかの女優は引き受けないだろうと、岩下を指名した。
 
役作りについて「篠田は、一切言わないので、自分で役を作った」(岩下)といい、練習するところは、篠田に見せずに、陰で役作りに励み、見せたという。監督から「ああ、こういう役作りで来たか」というのを見てもらうのが楽しみだったという。
 
名監督に名女優あり。
小津安二郎監督には、原節子
木下惠介監督には、高峰秀子
そして、篠田正浩監督には、岩下志麻
 
1941年1月3日生まれで、今年70歳を迎えたが、年齢を感じさせない。
実に若い。
 
番組で健康の秘訣を聞かれて、毎日欠かさないのが、朝の5分間のストレッチと、窓を開けての外気を吸っての深呼吸という。ストレッチは、肩立ちといって、逆立ちの一種。太極拳も7-8年続けているという。
 

「鑓の権三(やりのごんぞう)」という映画で共演した郷ひろみもゲスト出演していたが、郷は一日置きに午前中は「加圧」などのトレーニングを行っているという。郷にしても、岩下にしても、トレーニングは健康・若さのためというよりも「気持ちよくいられる」ことで、それぞれの仕事の活力となっているようだ。
 
岩下志麻の代表作は、「鬼龍院花子の生涯」「極道の妻(おんな)たち」「鬼畜」「五瓣の椿」「疑惑」などたくさんあるが、この1本ということで選べば、劇場でみた心中天網島(しんじゅうてんのあみしま)」(1969)だ。この映画はすごい。一人二役を演じた。
 
松竹から独立し、篠田監督とともに新スタートとなった独立第1作で、今後を占う重要な作品だった。共演した中村吉右衛門は、「いくらなんでも、監督の奥さんとの濡れ場で・・・」とやや控え気味だったというが、監督からは「構わないから、もっとやれ」だったという(笑)。
 
監督もヒットを願った。製作費わずか1,000万円。資金は親戚などから調達した。撮影時間もわずかに2週間。出演した中村吉右衛門は、監督と岩下の意気込みに圧倒されつつも名演を見せ、映画は大ヒットとなった。
結果、この映画は1969年度のキネマ旬報1位を見事獲得。

 
映画では、1作終わると、自分を真っ白にするのだという。そして、次に備える。その間の「オフタイム」があるが、趣味としては「陶芸」がある。
 
このほか、熱烈な「阪神ファン」である。阪神の高知のキャンプ試合を見学。大ファンという阪神の4番、新井選手と対面、2ショット写真ではしゃぐ一面も。新井選手から、記念のバットをもらって喜んでいた。今年は、岩下姐さん効果で、セリーグ阪神優勝は間違いなさそうだ(宿敵の落合・中日をぶちかましてだ。そうですね、ポニーさん)。fpdは、ONのころは巨人ファンだったが、いまは、どこのファンでもないが(落合は憎たらしいので、負けろ!と思う。爆)。
 
岩下志麻は、映画の前に、NHKテレビドラマバス通り裏」(1958~1963)に出演している。このテレビ番組が、記憶にある番組では一番古い。出演している中では、十朱幸代が印象にあるが、岩下はまったく知らなかった。十朱は、その父親が十朱久雄で、TVでみていた。

 
岩下志麻は、松竹には1960年から1976まで16年間在籍し、その屋台骨を支えた。1960年の映画「秋日和」の数シーンで岩下を起用した小津安二郎監督は、岩下の女優としての素質を見抜き「10年に1人の逸材だから大切に育てるように」と松竹の幹部達に語ったという。
 
韓流映画のイ・ビョンホンのファンであり、携帯の写真は、数種類のビョンホンの写真が。
 
「役の心を共有し、役の魂を自分の中に入れて、”仮の人生を歩む”」(岩下)という。
 
清純派でスタートした岩下志麻だったが、自身でも語っていたが、「二面性・悪」の部分を出していきたい、と語っていた。
 
おっとりした性格と言うが、映画の中での、鬼気迫る演技は、凄いものがある。清純派を貫いて成功している吉永小百合、悪女も演じて異彩を放つ岩下志麻
 
日本映画界には、少なくとも大女優が二人はいる(笑)。