「トランス・ワールド」(原題:Enter Nowhere, 2011)を見る。原題の「Enter Nowhere」は「どこにも行けない」といったニュアンス。
舞台となる謎の森と小屋のことを言う。邦題のトランス・ワールドは、内容的に登場人物の異なる”異次元の世界”を描いていることから宣伝担当が付けた苦肉のタイトルか。
予備知識なしで見る映画。(と言いながら、一部ネタバレあり…これから見る人はスルーして下さい。)
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冒頭、男女二人組の強盗が店の主人に銃を突きつけて金を奪おうとする。女が金庫を開けるように言うと、店主は気に入らないと思うよと意味深なことをいう。発砲音が鳴る。
場面は変わり、車が故障したため、森の中を彷徨う女性サマンサ(キャサリン・ウォーターストーン)。偶然古い1軒の小屋を見つけ、中に入る。殺風景で、古い無線機があるだけ。
そこにはサマンサよりも2,3日早くに同じように避難していた男性トム(スコット・イーストウッド)が戻ってくる。隠れたサマンサの前を斧を持ったトムが行き来するので、息を凝らしたサマンサは恐怖におびえる。
ほどなくしてジョディ(サラ・パクストン)という派手なメイクの女が現れる。
物語の冒頭で強盗を働いた女だった。
3人は森の中を歩き町へ出る道を探すが、どの方角に進んでも何故か同じ小屋に戻ってしまう。
そして、3人は現在いる場所と年代に対する認識がそれぞれ異なることに気付く。
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【超ネタバレ:要注意】
3人が、今いる場所は、ニューハンプシャー、ウイスコンシン、サウスダコタだとそれぞれ違う場所として認識している。しかも、カレンダー(日付)もまったく違う時代と認識していた…。
そして、決して会ってはならない?3人は、血筋的につながっていた…というストーリー。1930年代、1960年代、2010年代を生きていた人物だった。
【この映画のおもしろさ】
“時間的相違”をバラしていくタイミングなどに集約されている。3人がそれぞれの過去と自らの肉親の話が交差してくるのが中盤。
トムの母親は、確か犯罪を犯して死刑になった。強盗犯のジョディ。
ジョディの母は、出産によって死亡した。サマンサが今身ごもっているのがジョディ。
サマンサの父は、大戦で死んだ。外で銃をぶっ放しているドイツ兵こそがサマンサの父親だ。こうして、ばらばらにいた人物が、次々と繋がっていく。
出演陣は地味。トムを演じるスコット・イーストウッドは、名優にして名監督クリント・イーストウッドの息子で、目元など1970年ごろのクリントにそっくり。
美人妻サマンサを演じるのはキャサリン・ウォーターストーン。見たことがあると思ったら、ジョージ・クルーニー主演の「フィクサー」(2007)でデビューした女優で、その後「スティーブ・ジョブズ」などに出演。
乱舞な物言いでツンデレな強盗ジョディを演じるのはサラ・パクストン。「愛しのアクアマリン」「シャーク・ナイト」などに出演。
アマゾンプライムで人気の映画の1本ということで見た。配信中。
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