天下の二枚目俳優として圧倒的な人気を誇ったアラン・ドロンが8月18日、家族に見守られ88歳で生涯を閉じた。
フランスやフランスの俳優など日本にはそれほど馴染みのなかった時代に「太陽がいっぱい」(1960)ですい星のごとく現れ、24歳にして大スターとなったアラン・ドロン。フランスの俳優=アラン・ドロンというイメージの時代が長く続いた。
1960年代から70年代初頭にかけて「スクリーン」誌など日本の映画雑誌では、男優はアラン・ドロン、女優はオードリー・ヘプバーンというのが人気ランキングのツートップだった。
いまでいうイケメン俳優の元祖ともいうべき存在で「美男俳優」「二枚目スター」「美男子」の代名詞として知られた20世紀を代表するフランスの名優が旅立った。
映画出演が減っていても、1977年には、この年にデビューした榊原郁恵が「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」という曲を歌いドロンが歌詞の一部に使われた。
「笑点」の大喜利で三遊亭小遊三のネタ「いないいな~い、アラン・ドロン!」でも有名で、このネタがきっかけで知ったという世代も多い。
日本の俳優でも、ドロンの名前は引用されることがあり、谷隼人、田村正和、草刈正雄などは日本の二枚目俳優がたびたび「和製アラン・ドロン」と形容された。和製ドロンといわれてもなぁ~(笑)。
ドロン人気の決定打は1960年に公開された映画「太陽がいっぱい」。その後も「サムライ」「冒険者たち」「さらば友よ」「ジェフ」「太陽は知っている」「スコルピオ」「シシリアン」など多くの映画に出演。
1971年には「レッド・サン」で故三船敏郎と共演。1970年初頭「ダーバン」のCMでも超絶人気を得た。2017年に引退を表明した。
2023年にアラン・ドロンの初の伝記がフランスで発売された。デニツァ・バンチェヴァ著「Alain Delon, amours et mémoires(アラン・ドロンの愛と思い出)」というタイトルで、記憶に残る数々の名シーンを通じてこの偉大な俳優の歩みをたどり、その真髄に迫ったとして話題を読んだ。
この本にはアラン・ドロン本人も前文を寄せ、個人所有の資料も提供するなど全面的に協力しているという。数々の独自取材(ブリジット・バルドー、ナタリー・ベイ、ジェーン・バーキン、ソフィア・ローレン等)を盛りこみながら作品から家族、恋愛関係までアラン・ドロン伝説について丸ごと語った本といわれる。
ドロンは共演者などが相次いで亡くなる中、生前「私が亡くなったら見出しには”サムライ、逝く”としてくれ」とマスコミに語っていたとか。
急な訃報だったので、ついにその時が来たかという思いはあるが、フランスのサムライが亡くなったという実感はまだ湧いてこない…。
(つづく)
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