エミー賞の歴史を塗り替える出来事が起こった。
アメリカの優れたテレビ番組などに贈られるエミー賞の授賞式で、俳優の真田広之がプロデュースと主演を務めたドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」がドラマ部門の作品賞を受賞した。
真田広之自身が主演男優賞を受賞したほか、アンナ・サワイが主演女優賞、フレッド・トーイ監督が監督賞。すでに受賞が決定していた撮影賞や編集賞などと合わせて、ひとつのシーズンの作品としてあわせて18の賞を受賞しエミー賞で最多の受賞記録を打ちたてた。
■真田広之のドラマ部門の作品賞の受賞スピーチ:
「時代劇を継承して支えてきてくださったすべての方々、監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱と夢は海を渡り国境を越えました」と述べた。
■真田広之のドラマ部門の主演男優賞のスピーチ:
英語で一緒に作品を作った人たちに感謝の気持ちを伝えたうえで「この作品は東洋が西洋と出会う夢のプロジェクトで、敬意が込められています。人々が一緒に取り組むことで奇跡を起こせることを教えてくれました」と述べた。
■アンナ・サワイの主演女優賞のスピーチ(英語):
「名前が呼ばれる前から泣いていました。きょうは混乱しています。私を信じ、このような大役を任せてくれてありがとうございました」と述べた。この作品をプロデュースした真田広之を「ヒロ」と呼び「ヒロに率いられたキャストとクルー、全員に感謝を申し上げます。彼は私のような人たちに扉を開いてくれました」と述べた。
真田広之はジャパンアクションクラブの出身で、1970年代から80年代は「戦国自衛隊」や「里見八犬伝」などの作品に出演し、アクションもできる二枚目俳優として人気を集めた。
その後、1990年代にかけては映画「麻雀放浪記」や「病院へ行こう」、テレビドラマ「高校教師」など、コメディーから恋愛ドラマまで幅広い役柄をこなし、演技力も高く評価された。
トム・クルーズや渡辺謙と共演したハリウッド映画「ラストサムライ」(2003)への出演以降は活動拠点をロサンゼルスに移した。
その後も「47RONIN」や「ブレット・トレイン」などハリウッドのアクション映画に武士やヤクザなど日本人の役で次々と出演、日本を代表する国際派俳優として活躍。
「SHOGUN 将軍」は、ハリウッド作品では真田が初めて主演とプロデュースを務めるドラマ。日本から見てもおかしくない「本物の日本」を描きたいという思いから演技の所作や小道具、衣装などを監修、リアリティーのある時代劇とアクションシーンが高く評価されている。
「SHOGUN 将軍」は、1975年に発表され世界的にヒットした、戦国時代の日本が舞台の小説が原作の作品。1980年には三船敏郎主演でドラマ・シリーズ化された。
真田広之演じる徳川家康をモデルとした架空の武将が、日本に漂着してきたイギリス人航海士と関わることで、戦乱の窮地をくぐり抜け、天下統一を目指す物語を10回のドラマシリーズで描いていてせりふの大半が日本語というアメリカでは異色の作品。
リアリティーのある演出や迫力あるアクションが随所に盛り込まれ、激動の戦国時代の物語を壮大なスケールで描いている。
アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は「この受賞は、外国語のシリーズ番組にとって大きな飛躍を意味する。アメリカのネットワークによって制作され、アメリカ国内のストリーミングサービスで配信されたにもかかわらず、このドラマのせりふのおよそ70%は日本語だった。韓国の「イカゲーム」のような外国語のシリーズはこれまで何度かエミー賞を受賞してきたが、ドラマ部門の作品賞のようなトップの賞を脅かすようなことはなかった」と指摘している。
真田広之が、往年の”世界のミフネ”のような風格すら感じられる。ハリウッドスター・クラスの日本人俳優も三船敏郎に続いて、千葉真一(サニーチバ)、役所広司、渡辺謙、真田広之、浅野忠信など活躍する俳優が増えてきた。
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