遺作となった「男と女 人生最良の日々」(2019)
フランスの俳優ジャン=ルイ・トランティニャンが、6月17日(現地時間)、老衰のため死去。91歳だった。AFPが伝え、Yahooニュースなどが取り上げている。
妻のマリアーヌ・ホープフナー・トランティニャンが「老衰のため、今朝、愛する人々に囲まれた自宅で安らかに亡くなった」と代理人に声明を送った。
1930年生まれ、仏ピオラン出身。大学で法律を専攻していたが、20歳の時に演技に興味を持ち、「If All the Guys in the World...(原題)」(1955)で映画デビュー。
ロジェ・バディム監督作「素直な悪女」(1956)でブリジット・バルドーと共演し交際し話題を集めた。その後、クロード・ルルーシュ監督作「男と女」(1966)が決定打となって人気俳優の仲間入り。
クロード・ルルーシュ監督のほか、ミヒャエル・ハネケ、エリック・ロメール、フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール、アラン・ロブ=グリエ、ベルナルド・ベルトルッチ、エンキ・ビラル、パトリス・シェローら玄人好みの映像作家的な監督らと多数組み、代表作を残した。
中でもコンスタンタン・コスタ=ガブラス監督の「Z」(1969)では正義感あふれる予審判事を演じカンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞。
以降、ベルナルド・ベルトルッチ監督作「暗殺の森」(1970)、ルルーシュ監督の「流れ者」(1970)、フィリップ・ラブロ監督の「刑事キャレラ/10+1の追撃」(1971)、ルネ・クレマン監督の「狼は天使の匂い」(1972)、ピエール・グラニエ=ドフェール監督の「離愁」(1973)、ジャック・ドレー監督の「フリック・ストーリー」(1975)、フランソワ・トリュフォー監督の「日曜日が待ち遠しい!」(1983)、「男と女II」(1986)などに出演。
「暗殺の森」
「離愁」
近年ではミヒャエル・ハネケ監督の「愛、アムール」(2012)「ハッピーエンド」(2017)と2作品に出演し、元気なところを見せていた。「愛、アムール」は、第65回カンヌ映画祭パルムドールを受賞。
2019年のクロード・ルルーシュ監督の「男と女 人生最良の日々」が遺作となった。この映画は、「男と女」(1966)の続編として、「男と女」の印象的な場面を回想のように使いながら二人の52年後を描いている。監督のクロード・ルルーシュ、主演のアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャン、音楽のフランシス・レイなど、当時のスタッフとキャストが再結集した。
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1970年当時「流れ者」のサントラレコードを購入して、パイオニアのステレオシステムでよく聴いていた。「Z」の沈着冷静な予審判事役が印象に残り、トランティニャンのファンになった。
「Z」では 軍幹部を次々に告訴。「記者を避けたいならあちらからどうぞ」
トランティニャンは1930年生まれで、同い年には、クリント・イーストウッドがいるが、同年代の俳優、女優がほとんどいなくなったのは寂しい限り。いつかはこの日が来ると思ってはいたが、老衰で91歳ということで、安らかな最後だったというので、天寿を全うしたといえるのかもしれない。
ご冥福をお祈りいたします。
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