fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」6作品公開(未公開作品も)

  

没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が8/5(金)~8/25(木)まで渋谷・Bunkamuraル・シネマで開催されるが、上映6作品が決まった。スケジュールは後日発表。上映作品には、日本初公開となる「マックスとリリー」も含まれている。

マックスとリリー」 (フランス/1971年/112分/カラー/デジタル/日本語字幕付)
監督:クロード・ソーテ
出演:ロミー・シュナイダーミシェル・ピコリ、ジョルジュ・ウィルソン、フィリップ・レオタール、ボビー・ラポワント、フランソワ・ペリエ

裕福な家庭の出身で、金銭的心配からは解放されていが孤独な男マックス(ミシェル・ピコリ)、彼は悪事を働く者たちを逮捕するという執念をひたすら燃やしていた。

予審判事だったマックスは、証拠不十分で容疑者を釈放せざるを得なかったという悔恨から辞職、刑事に転職するも、ふたたび銀行強盗を取り逃がしてしまう。

この新たな失態を前に忌々しい思いでいるその時、兵役時代の旧友アベルにばったり出くわす。アベルは「くず鉄業者」を名乗りながら、ナンテールでチンピラ仲間たちと車や廃品などをくすねて、生計を立てている。マックスは銀行の支配人であると偽り、アベルの恋人である美しい娼婦リリー(ロミー・シュナイダー)に近づき、アベル達が銀行強盗を謀るよう巧妙な罠をしかけていく。しかしマックスとリリーの間には徐々に親密な気持ちが生まれ始めていた…。日本では未公開で「はめる 狙われた獲物」というタイトルでビデオ発売のみされている。今回はデジタルリマスター版にて初上映となる。

・・・

ロミー・シュナイダーは「サン・スーシの女」(1982)を遺作に、1982年に43歳の若さでこの世を去った。今年で没後40周年を迎える。ロミーの死後、マリリン・モンローカトリーヌ・ドヌーヴを抑えて「今世紀最高の女優」(仏CSA調べ)に選ばれるなど、ロミーの無比な佇まいと鮮烈な印象は色あせることなく艶やかに輝いている。

 

【6作品】

太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版(1969)
監督:ジャック・ドレー
出演:ロミー・シュナイダーアラン・ドロンモーリス・ロネジェーン・バーキン
南仏サントロペでバカンスを過ごしていたジャン・ポールとマリアンヌだが、マリアンヌが招待したハリーと娘ペネロープがやってきてから雰囲気は一変した。ハリーはマリアンヌの元恋人で、ジャン・ポールはハリーに劣等感を抱えていたのだ……。4人の男女の思惑が官能的かつ不穏に交錯し合う、太陽が眩いサントロペの別荘を舞台にした心理サスペンス。「太陽がいっぱい」の主演俳優ふたりが再共演した。

夕なぎ(1972)
監督:クロード・ソーテ
出演:ロミー・シュナイダーイヴ・モンタン、サミー・フレイ
画家の夫と別れ、ひとり娘と家を出たロザリーは、今は自動車解体業者のセザールと同棲中。そんなある日、ロザリーはかつての恋人ダヴィッドと出会う。全く異なるタイプのふたりの男性に愛される女性ロザリーをロミーが知的な魅力と共にドライに演じる大人のラブストーリー。イヴ・サンローランの衣装も見どころの一つ。

離愁 4Kデジタルリマスター版(1973)
監督:ピエール・グラニエ=ドフェール
出演:ロミー・シュナイダージャン=ルイ・トランティニャンアンヌ・ヴィアゼムスキー
1940年、ラジオの修理屋を営む平凡な男ジュリアンは、ドイツ軍の侵攻のため妻子とともに住み慣れた村を出なければならなかった。妊娠中の妻と子供は客室に乗せ、自分は家畜車で移動するジュリアン。ある駅にて、彼は列車に乗り込もうとする若い女性アンナと出会う。最初は言葉も交わさなかったふたりだが、次第に求め合うようになってゆき……。終始シンプルな黒いワンピースにひっつめた髪といういでたちながら、画面に存在感を漲らせるロミーの感動的な表情と、そのラストシーンは忘れ難い。

華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版(1980)
監督:フランシス・ジロー
出演:ロミー・シュナイダージャン=ルイ・トランティニャンジャン=クロード・ブリアリ、マリー=フランス・ピジェ、ダニエル・オートゥイユ
フランスの金融界を揺るがせた実在の女性、マルト・アノーの生涯をベースに、第一次大戦後、貧しい帽子売りから金融界に進出、フランス初の女銀行家となった女性の姿を描く。ゴダールロメールトリュフォーらの作品に多数出演した名優、ジャン=クロード・ブリアリや同じくヌーヴェル・ヴァーグの作品に欠かせないマリー=フランス・ピジェ、『離愁』でもロミーと共演したジャン=ルイ・トランティニャンと豪華な俳優陣が顔を揃え、モリコーネの音楽が映画を彩る。

 

マックスとリリー(1971) ※日本劇場初公開。

ミシェル・ピコリ追悼企画で2020年公開予定(別劇場)があったが、技術上の問題で中止になったいきさつがある。ミシェル・ピコリロミー・シュナイダーの名演から目が離せない。

 

サン・スーシの女(1982)
監督: ジャック・ルーフィオ
出演:ロミー・シュナイダーミシェル・ピコリ、ウェンデリン・ウェルナー、ヘルムート・グリーム
人権擁護委員会の代表であるマックスはパラグアイ大使との会見席上、彼の本名を確認すると打ち殺してしまう。マックスは留置所に面会にきた妻にいきさつを語り始める…。ナチスへの憎悪と、父を殺された自分を育ててくれた義母への愛情、辛苦の体験を現代と交錯させて描く。本作の撮影は、ロミーが息子ダヴィットを不慮の事故で亡くした3ヶ月後に始められ、また彼女の遺作になった。実の息子と同い年ぐらいの少年時代のマックス(ウェンデリン・ウェルナー)を見つめるロミーの悲痛ながらも美しい表情をカメラはとらえている。



*4Kデジタルリマスター版の作品は、同館では2K上映。

ロミー・シュナイダー(Romy Schneider)】

1938年、オーストリアのウィーンで名門俳優一家の元に生まれる。本名ロ一ゼマリー・マグダレーナ・アルバッハ。6歳のとき両親が離婚、不遇の幼少時代を過ごす。

頭脳明晰で独立心旺盛だった彼女は14歳で女優になることを決意。1955年の西ドイツ映画「プリンセス・シシー」の后妃エリザベート役によって欧州中で愛されるスターとなる。

その後「恋ひとすじに」(1958)で共演したアラン・ドロンと19歳にして恋に落ち婚約。ルキノ・ヴィスコンティ演出の舞台やオムニバス「ボッカチオ‘70」(1962)の一編「仕事中」、オーソン・ウェルズ監督の「審判」(1962)、またゴールデングローブ(GG)賞主演女優賞候補となったオットー・プレミンジャー監督の「枢機卿」(1963)など精力的に活動するも、4年後にドロンと破局

失意の中、1966年にドイツの舞台演出家と結婚、一児をもうける。2年ほど育児のため映画界から離れていたが、1968年にドロン共演の「太陽が知っている」がヒットを記録、見事なカムバックを遂げる。

以降は再びエリザベートを演じた「ルートヴィヒ」(1972)、イヴ・モンタンと共演した「タなぎ」(1972)、フランス全上で大反響を巻き起こした「追想」(1975)と多くの傑作、話題作に出演、「世界最高峰の女優」として名を馳せる。

一方で度重なる色恋沙汰、破産、さらには元夫や息子の死など常にスキャンダルやゴシップがつきまとい、遺作となった「サン・スーシの女」(1982)撮影の頃には心身ともに激しく疲弊していたという。

1982年、パリで逝去。次作で共演が予定されていたドロンの手配で大々的に葬儀が行われたが、ドロン自身は騒動を避けるため参列しなかった。

 

■「にほんブログ村」にポチッと押しましょう。

https://movie.blogmura.com/ranking/in   

https://movie.blogmura.com/moviereview/ranking/in