初公開時のポスター
デジタル・リマスター版のポスター
「暗殺の森」(原題:Il conformista=「同調者あるいは体制順応者」の意、1970、日本公開1972年9月)はかつて一度テレビで見ていたが、デジタルリマスター版が恵比寿ガーデンシネマで限定上映されていたので見た。
監督は後にアカデミー賞で作品賞・監督賞などノミネートされた9部門すべてで受賞した「ラストエンペラー」のベルナルド・ベルトルッチで「暗殺の森」は脚本・監督としてのデビュー作となる。
ドミニク・サンダは、この作品の後に撮った「悲しみの青春」(1971)が先に日本で公開されていたが「暗殺の森」で一気に有名になった。イタリア文学の巨人アルベルト・モラヴィアの「孤独な青年」をもとにつくった傑作。
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1930年代後半のローマ。
若い哲学講師のマルチェロ(ジャン・ルイ・トランティニャン)は少年の頃、彼を犯そうとした男を射殺した罪悪感に今もさいなまれていた。その苦しみから解放されるためファシズムを選択した彼に、パリ亡命中の恩師である教授を調査するよう密命が下る。
イタリアの2人の女優、妖艶なステファニア・サンドレッリと美貌のドミニク・サンダがみどころ。
「男と女」「Z」「流れ者」のジャン=ルイ・トランティニャンが孤独でクールな殺し屋を演じている。
デジタル・リマスターの高画質による鮮明でクリアな映像美が素晴らしい。
とくに雪の森での暗殺シーンなど映画史に残る美しさが、今見てもまったく色あせていない。1970年代のヨーロッパの映画が、デジタル・リマスター版として、再び見られるのはうれしい限り。
予告編
音楽を担当しているのは、ジョルジュ・ドルリュー。
主な出演者:
・マルチェロ・クレリチ:ジャン=ルイ・トランティニャン
・ジュリア:ステファニア・サンドレッリ: マルチェロの妻。
・アンナ・クアドリ:ドミニク・サンダ: クアドリ教授夫人。
・ルカ・クアドリ教授 :エンツォ・タラシオ: フランスに政治亡命した男。
・マンガニエーロ: ガストーネ・モスキン: 特務情報員。マルチェロの護衛兼監視役。
・パスクアリーノ(リーノ)・セミラマ: ピエール・クレマンティ
・ジュリアの母 : イヴォンヌ・サンソン
製作国:イタリア、フランス、ドイツ
上映時間:125分
☆☆☆