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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「愛すれど哀しく」(1971)

1970年代はじめの頃は、イタリア映画やフランス映画の佳作が次々に公開されていた。いくつか思い出すタイトルだけあげてみる。
 
ドミニク・サンダの美貌に魅せられた「悲しみの青春」「暗殺の森」。
ソフィア・ローレンマルチェロ・マストロヤンニの名作「ひまわり」「結婚宣言」。
アラン・ドロンの「仁義」「帰らざる夜明け」「栗色のマッドレー」。
カトリーヌ・ドヌーブ主演の「哀しみのトリスターナ」。
ブリジット・バルドーの「ラムの大通り」。
 
そんな中、オッタビア・ピッコロ主演の2作品「わが青春のフロレンス」と「愛すれど哀しく」があった。ピッコロはドロンの「帰らざる夜明け」で見ていたが、「愛すれど哀しく」は未見だったが、今回初めて見た。
 
                     日本でも人気だったオッタビア・ピッコロ
・・・
映画の原題は「BUBU(ブブ)」で男の名前。
20世紀初頭のミラノを舞台に不運な薄幸女性の哀しみを描いている。
 
ミラノの純真な洗濯女ベルタ(オッタビア・ピッコロ)は、端正なパン職人のブブに恋をする。ブブの男らしさにとらわれ、老父の反対を押し切って誘われるままブブの元へ行くベルタ。
 
しかし、同棲を始めたものの、このブブという男がとんでもない男だった。
ブブは、仕事をしたくないと言って、パン職人を辞め、ベルタに街に出て客を取れ、つまり娼婦になるよう強要するのだ。
 
拒んでいたベルタだが、やがてブブを失いたくない一心から言うがまま娼婦となってしまう。実姉も娼婦で、疲れきって落ちぶれていたが、ああにはなりたくないと思っていたベルタだったが、親の病気の費用やらのために、街へ出た。
 
辛い生活の中で、日々の稼ぎをブブの元に持ち帰り、その笑顔を見ることだけがベルタの喜びとなっていた。「街が自分の居場所だ」と自らに言い聞かせ。
 
そんなある日、ベルタはピッコロという田舎から出てきたばかりの青年と知り合う。ピッコロの優しさと誠実さにベルタは淡い恋心を抱き、ピッコロもまたベルタへ好意を募らせるようになる。
 
だが、ベルタはその娼婦としての生活の中で性病(梅毒)を患い、またブブの激しい束縛のために、ピッコロと二人での生活を考えることができなくなっていた。
 
やがてベルタは病が悪化し、収容施設に入院する。
一方、収入源がなくなったブブは窃盗を行うようになり、ついに警官に追われて足を撃たれ、窃盗もできないようになっていた。
 
その顛末を聞いたベルタは、ブブが自分を連れ出しにくることを恐れ、同じく娼婦となっていた姉の元に駆け込む。
 
しかし、姉はすでにベルタと同じ病の末期症状を示しており、さらに姉のヒモのガストンはベルタへも売春を強要するのだった。絶望し、ベルタは街を放浪する。
 
最後に行き着いたのはピッコロの元だった。
ピッコロはベルタを受け入れ、二人は病を克服して希望に満ちた未来を夢見るが、その二人の元へマフィアの上役を連れたブブが迫っていた。
 
・・・
イタリアの貧しい暮らしを背景にしているが、生活のために、街角に立って、何もしないでヒモになっている男のために売春で稼ぐとは、あまりにも悲惨。当時の状況は、日本の戦後まもない時期に通じるところもあるのか(赤線地帯は、昭和33年頃までは合法的に存在した。)
 
音楽は、カルロ・ルスティケリ(「ブーベの恋人」)で、哀愁を帯びていた。
  
 ★★ (暗い映画で、救いもなく・・・)
GYAOで動画配信中)
 
 
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