
「復讐のセクレタリー」(原題: La volante/英題:The Assistant, 2015、劇場未公開)を見る。フランス・ベルギー・ルクセンブルク合作。
息子を交通事故で失ったあの日からすべてが狂い始めた、という衝撃のサスペンススリラー。監督は「17歳の夏」のクリストフ・アリ&ニコラ・ボニラウリ。
主演はナタリー・バイで「ポルノグラフィックな関係」(1999)ではベネチア映画祭のボルピ杯(最優秀女優賞)を受賞。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002)などのアメリカ映画にも数多く出演。近年の出演作に「わたしはロランス」(2012)がある。共演は「焼け石に水」「皇帝と公爵」などのマリック・ジディ、「17歳」「ゴダールのマリア」などのヨハン・レイセンほか。
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陣痛の始まった妻を産科病棟へ車で急ぐ道中、トーマス(マリック・ジディ)は若い男をひき殺してしまう。死んだ男セバスチャンの母・マリー=フランス(ナタリー・バイ)は、息子セバスチャンの死を嘆き悲んだ。
9年後、マリー=フランスは素性を隠してトーマスに近づき、同じ会社で彼の秘書となり、公私に渡りトーマスの身の回りの世話を完璧にこなしていく。
次第に打ち解けていく二人だったが、ある日から次々とトーマスの一族が謎の死を遂げ始める。
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タイトルが中身を表しているように復讐する秘書の話。
自分の息子を車ではねて死なせた男トーマスに復讐するために、男の勤務する会社に正社員でなく非正規社員として男の秘書の仕事を得るところから復讐劇が始まる。
交通事故で息子を失った日に、あろうことか、事故を起こしたトーマスの妻が子供を産む、という女(マリー)にとっては、なんという皮肉。
マリーは、表面上は愛想もよく仕事も完ぺきにこなし、契約切れの後、勤務先の社長から自分の秘書にどうかと誘われるが、見え透いた口説き文句とみて断るマリー。

秘書の契約切れで「お別れ」のあいさつをするマリー。
そして、マリーは、なんとトーマスの父親マリック(ヨハン・レイセン)の気を引き、マリックと結婚式を挙げてしまう。トーマスの息子レオを亡くなった息子のように接していく。



一方で、息子を殺されたマリアのすさまじさはここから。書店に勤めるトーマスの妻を店の閉店間際に訪問して、ナイフで刺し、トーマスの父であり、今は夫であるマリックも薬で毒殺。
マリーがレオに与えた、セバスチャンのブローチをトーマスが発見し、トーマスはすべてを知ることとなる。「復讐のためか」と叫ぶトーマス。マリーとトーマスのナイフによる壮絶な争いが展開されるのだった。
女の復讐は怖い。それに執念深いという映画だった。ナタリー・バイの円熟した女性の魅力にコロッと行く会社社長や、孫もいる年配者が親子ほども違う女性と結婚したりと、おフランス事情も垣間見えた。
ナタリー・バイを見る映画。
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