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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「離愁」(1973)ジャン・ルイ・トランティニャン&ロミー・シュナイダー主演。

 
離愁」(原題:Le Train ”列車”, フランス、イタリア、1973)を見た。
ロミー・シュナイダーの未見作品の”追っかけ”で先日見た「追想」に続く第2弾。
似たようなタイトル(「悲愁」など)も多く紛らわしい。
 
一言で言えば、第二次世界大戦中のフランスを舞台に、妻子ある中年男(ジャン・ルイ・トランティニャン)とドイツ生まれのユダヤ女(ロミー・シュナイダー)の愛と別れを描いた作品ということだが、「映画はラスト・シーンに集約される」を地で行くような作品で、ラストに切なさと堰を切ったような主人公二人の想いが怒涛のごとく待ち構えていた。音楽も素晴らしい。
 
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製作・監督は「個人生活」のピエール・グラニエ・ドフェール。脚本はドフェールとパスカル・ジャルダン、原作はジョルジュ・シムノン。音楽はフィリップ・サルド。出演はロミー・シュナイダージャン・ルイ・トランティニャン、ニク・アリギ、レジーヌ、フランコ・マツィエリ、モーリス・ビローなど。
 
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1940年、ドイツ軍はノルウェーデンマークに侵入し、5月にはフランスにも侵入してきた。ジュリアン(ジャン・ルイ・トランティニャン)は北部フランスのある村でラジオの修理屋を営んでいたが、事態が切迫するにつれ、いよいよ住みなれた故郷を去らねばならぬ時が来たことを知った。
 
この村に住んで40年以上、きわめて単調で退屈な日々といってよかったがふと自分が住みなれた村を去るとき、自分の人生に一大転機がおとずれるのではないかと思った。


やがて村人たちが列車で村を立ち退く日がきた。幼い娘と妊娠中の妻モニーク(ニク・アリギ)を客車に乗せ、自分は家畜車に乗らなければならなかった。
 
その日は、フランスでも50年に一度という絶好の春日和だった。列車は美しいフランスの田園を走る。駅に停まると待ち構えていた避難民が押しかけてきたので、たちまちすし詰めとなりその間、ドイツ軍の攻撃は日増しに激しさを加え、避難民の不安は日毎に募っていった。
 
やがて、名も知れぬ駅に列車が停車したとき、ジュリアンは、列車に乗り込もうとして小走りにかけて来た若い女アンナ(ロミー・シュナイダー)を見つけ、自分が乗っている家畜車に乗せてやった。
 
アンナはドイツ生まれのユダヤ人だった。二人は自由に身動きできない貨車の中で、互いに寄り添うようにしながら旅を続けたが、殆んど口をきかなかった。
 
しかし、二人の心は次第にたかまり、求めあった。ジュリアンは、それが不倫の恋と知りつつ、愛情は深まるばかりだった。アンナも、ドイツ軍に追われ続けた辛い過去を、ジュリアンを知ることでしばし忘れることが出来た。
 

 
その頃、ジュリアンの妻子が乗っていた客軍は切り離され、行方が知れなかった。二人の乗った客車はやがて終着駅に到着した。そこで、妻が病院で男の子を生んだことを知ったジュリアンは病院に駆けつけ、その間、アンナは姿を消した。
 
それから3年、ジュリアンは元の平凡な生活に戻った。そんなある日、彼はナチの秘密警察から呼び出しを受け、そこで、レジスタンスの一員として捕えられたアンナと再会した。
 
係員は、彼女との関係を追求する。シラを切れば身の安全を期することは出来たが、ジュリアンはアンナに近より、抱きしめた(MovieWalker)。
 
 
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ナチス・ドイツ軍がベルギーに侵攻しようとしていた1940年、戦局が悪化し、ラジオでは「通常の番組は中止」というアナウンスが聞かれた。モノクロ画面での戦車への空爆などのシーンなどは実写フィルムの様子。カラーとモノクロの映像が交互に登場する。
 
ドイツ軍の足音が迫る状況の中で、ジュリアンの幼い娘は、「ドイツ人は子供の手を切るの?」と不安げな事を言うと、「迷信だ」と言って聞かせるジュリアン。ジュリアンの妻は、お腹が大きく、臨月を迎えていた。「街中が逃げ出している」という状況で、疎開のための列車(蒸気機関車)は、どの車両もギュウギュウ詰めだった。
 
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ジュリアンとアンナは、同じ車両に乗っていたが、最初はお互いの横顔をちらちらと見ていたが、徐々に会話を交わし、ジュリアンはアンナのことが気がかりになっていく。
 
抑制しようとしてもアンナの魅力に引き込まれてゆくジュリアン。
一方、ユダヤ人であるアンナは、ナチスに追われ続けた辛い過去を、ジュリアンを知ることでしばし忘れることができた。 二人の心は次第にたかまり求めあい、ジュリアンは、不倫の恋と知りつつアンナに対する愛が深まる。

停車した駅で体調を気遣い様子を見に来る夫・ジュリアンの態度が変化していることに気付く妻。
 
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映画の原題が「列車」というだけあって、1時間半のうち1時間以上は列車のシーン。
戦争の恐ろしさが描かれているが、列車の中で疎開者たちが笑っているシーンに、ナチス・ドイツヒトラーたちの笑い声が被さり、列車は空からの機銃掃射を浴びるシーンが恐怖を煽る。
 
次の駅で、アンナが、母親を亡くした赤ん坊を抱いていると、赤十字の修道女が「お母さんですか。赤ん坊の名前は?」と聞いてくるが、「名前は知らない」と赤ん坊を引き渡す。親の顔も名前もわからず引き取られた赤ん坊は、どのような運命をたどるのか。
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この映画はラストシーンの緊迫感&緊張感がすごい。
ジュリアンの前から突然姿を消して3年ぶりにナチスに捕えられたアンナが、ジュリアンの妻としての身分証明書を持っており、そのアンナに見覚えがあるかと本人を目の前に呼んでくるというのである。
 
ふたりの対面の緊張感。
果たしてジュリアンは・・・。
 
ラストシーンの雰囲気はこちらで↓(動画でないところもいい?)
 
「離愁」は未見の人にはおすすめ。
 
☆☆☆
 
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