fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「青い山脈」(1949)を見た。今井正監督、原節子主演。

f:id:fpd:20191008230332j:plain

青い山脈」(1949)を見た。今井正監督、原節子主演。キネマ旬報第2位。

女学校を舞台に、戦後も残る封建的な考え方に新風を起こすべく奮闘する英語教師(原節子)の姿を描く。「女が女らしくというのは男の人の都合にすぎなかった」と強く主張し、戦後、解放された新しい時代を生きるようとする姿を原節子が力強く堂々と演じている。

・・・

ある片田舎町の駅前。金物商・丸十商店の店先に一人の女学生が「母が手元に現金がないからこれを町へ持って行って学用品を買いなさいって…」と小さく海光女学校五年生・寺沢新子(杉葉子)と書かれたリュックの米をつき出した。

留守番の六助(池部良)はドイツ語の教科書を放り出して大儀のついでに御飯を炊いてもらう。だんだん事情を聞いてみると母を二人もつ新子だった。

一方、最近赴任してきた英語教師・島崎雪子原節子)は新子あてにきたラヴレターを見せられて、友達のいたずらだという彼女の言分に、何かしら尋常でない性格をつかみ、まして前の学校で転校を余儀なくされたこの娘に力になってやりたい衝動にかられる。

そして校医の沼田(龍崎一郎)にこの問題を相談する。それが意外な答えだったのでついなぐってしまう。雪子は、「恋愛」の問題を講義しつつ、実は本題である偽のラヴレター事件を直接生徒達に説いてゆく。

しかし生徒達は「学校のために」やったといい、その理由として新子の行動を六助と結びつけて曲解した例をあげた。雪子は生徒達の旧い男女間の交際の考え方を是正しようと努力するが、それはますます生徒達の反感を買うばかりだった。

教員仲間でも雪子の行動を苦々しく思い民主主義のはき違いなどといいつつ問題は次第に大きくなっていった・・・。

f:id:fpd:20191008230418j:plain

f:id:fpd:20191008230440j:plain

・・・

旧態依然という言葉があるが、どんな組織も改革はなかなか難しい。古い体質を変革するために、時代にあった考え方を取り入れようとすると、”事なかれ主義”の抵抗も多い。学校の組織も例外ではない。

新子から相談を受けた英語教師・島崎雪子は、卑しい好奇心から友人を試し男女の交際をからかうのは間違っていると生徒たちを諭すのだった。

だが偽の手紙を書いた生徒・浅子は、母校の風紀を守るためにしたのだと主張する。他の女生徒達も浅子に同調、全員が泣き伏すのはオーバーだが、反省ではなく悔し涙だった。また、教員たちも雪子を非難するのだった。

やがて事件は新聞に取り上げられ、町中の大問題となった。学校側はこの問題の裁定を理事会に一任する。雪子に想いを寄せる校医・沼田や、芸者の梅太郎とその妹・和子、六助やその級友らが雪子に協力し、理事会にむけ準備を進めるが・・・。

          f:id:fpd:20191008230505j:plain

・・・

原作:石坂洋次郎 脚色:今井正井手俊郎 監督:今井正 製作:藤本真澄 撮影:中井朝一 美術:松山崇 録音:下永尚 照明:森茂 音楽:服部良一 主題歌:作詞/西條八十、作曲/服部良一青い山脈」歌/藤山一郎奈良光枝 「恋のアマリリス」歌/二葉あき子 コロムビアレコード吹込

主な出演者:

島崎雪子原節子

梅太郎(笹井とら):木暮実千代

金谷六助:池部良

ガンちゃん:伊豆肇

沼田玉雄:龍崎一郎

笹井和子:若山セツ子

駒子:立花満枝

松山淺子: 山本和子

寺沢新子:杉葉子

井口甚蔵:三島雅夫

武田校長:田中栄三

八代教頭:島田敬一

岡本先生:藤原釜足

田中先生:生方功

中尾先生:三田國夫

易者:長浜藤夫

 

 青春映画という形をとりながらも、中身は、全体を通して、戦前からの封建主義に対して、自由主義や平和主義を訴えるメッセージを込めている。この時代に、男と女が一緒に歩いてどこが悪いという原節子演じる雪子だが自身の恋愛となると一歩引いてしまうところがいい(笑)。同じ原作でも、1949年版では女教師を中心に描いているが、1963年版は、女学生(吉永小百合)の視点で描いている印象。