
映画「トゥモロー・ネバー・ダイ」(原題:Tomorrow Never Dies)(1997)は、ピアース・ブロスナンがジェームズ・ボンドを演じた「007」シリーズ第18作。監督はロジャー・スポティスウッド。
冷戦後の新しい世界秩序を背景に「メディアが戦争を作り出す」というテーマで描かれたスパイ・アクション。
この映画でミシェル・ヨーがハリウッドへ進出。ジェームズ・ボンドと対等に渡り合う「戦うボンドガール」として注目を集めた。
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物語は、イギリスのステルス艦が南シナ海で謎の沈没を遂げたことから始まる。背後にいるのは、巨大メディア帝国を操るカリスマ経営者エリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライス)。



彼は「自分の新聞とテレビが世界のニュースを独占する」ために、英中間の戦争を人工的に引き起こそうとするという狂気の計画を進めていた。
ボンド(ピアース・ブロスナン)はMI6から派遣され、カーヴァーの陰謀を探るべく、彼の主催するイベントに潜入。
そこでカーヴァーの妻であり、かつての恋人パリス・カーヴァー(テリー・ハッチャー)と再会。中国の女性エージェント、ワイ・リン(ミシェル・ヨー)と協力しながら、世界大戦の危機を阻止していく。



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タイトルには二重の意味がある。
表向きの意味は新聞社名(「Tomorrow(トモロー)」紙)と掛けたスローガン的な意味で“トモロー紙は永遠に死なない”という自社の不滅を誇示する皮肉なタイトル。
裏の意味は、ニュースを作り出すメディア、そして権力や戦争は終わらないこと、「人間の欲望や操作によって“明日=未来”は常に危険にさらされている」という風刺的なメッセージ。メディアが世界を支配する危うさ。


この映画の見どころの一つは、ボンドガールを演じたミシェル・ヨー。ミシェル・ヨーはアクション女優のパイオニアとして、その後も地道にキャリアを積んだ。
「グリーン・デスティニー」(2000)で女剣士「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」(2011)でスーチー。
そして、60歳になった2023年には「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でアカデミー主演女優賞(アジア人で初)に輝いている。
ボンドカーやバイクのアクションも見ごたえがあった。手錠でつながれた2人が、壮絶なバイクでのアクションを展開する。リモコンで車を自在に走らせるところは迫力があった。

ブロスナンはボンド作品2作目だが、すでに板についていた印象。
<主な登場人物>
■ジェームズ・ボンド:ピアース・ブロスナン…英国諜報員。冷静で行動力に優れるが、旧恋人パリスを巻き込むことで葛藤も見せる。
■ワイ・リン:ミシェル・ヨー…中国の諜報部員。ボンドと協力して行動し、戦闘能力・知力ともに高い。ボンドの対等なパートナーとして描かれる。
■エリオット・カーヴァー:ジョナサン・プライス…世界的メディア王。自社の報道で世論を操作し、ニュースの「主役」になろうとする。冷酷な野心家。
■パリス・カーヴァー:テリー・ハッチャー…カーヴァーの妻。ボンドの元恋人。夫の陰謀を知りながらも、ボンドへの愛情を捨てきれない。
■スタンパー:ゴッツ・オットー…カーヴァーの部下で残忍な実行犯。格闘に長ける。
■M:ジュディ・デンチ…MI6長官。冷静沈着でボンドを厳しくも信頼している。
■Q:デスモンド・リュウェリン…発明担当。ボンドに様々なガジェットを供給。
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