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映画「MaXXXine マキシーン」(原題:MaXXXine、2025)を見る。1980年代のLA/ハリウッド。

映画「MaXXXine マキシーン」(原題:MaXXXine、2025)を見る。タイ・ウェスト監督&ミア・ゴス主演による「X エックス」(2022)「Pearl パール」(2023)に続くシリーズ第3作で完結作。ホラーでグロいシーンが多く、苦手な人には厳しそう。ケヴィン・ベーコンが私立探偵役で出ていたが最後まで気づかなかった。

1980年代半ばのアメリカの流行や音楽などのほか、ロナルド・レーガン大統領(第40代、任期:1981年1月20日–1989年1月20日)、JVCビデオカメラビデオショップ風俗営業といった時代背景が描かれているところが見どころ。

暗い映画ながら、かつての映画へのオマージュや、しゃれたセリフなどもあり映画ファンをニヤリとさせる場面もある。「サイコ」のベイツ・モーテルのセットが登場したり、イーストウッドブロンソンを足して2で割ったような顔だな(って、なんとなく想像できるが…)。

<ストーリー>
1985年のロサンゼルス。主人公は マキシーン・ミンクス(ミア・ゴス)。かつてのポルノ業界で名を上げつつも、よりメインストリーム(正規の映画)で成功したいと願っている。

マキシーンはホラー映画の続編「The Puritan II」の主演オーディションを受け、ポルノ以外の世界に足を踏み入れようとする。オーディションでの演技を終えたマキシーンは、オーディションの列に並ぶ女性たちに「並んでも無駄よ。私で決まりだから」と毒づいてその場を去っていく。

その頃、ロサンゼルスでは実在の連続殺人犯リチャード・"ナイト・ストーカー"・ラミレスが多数の事件を起こしており、マキシーンの周りでも多数の女性が殺害される事件が起き始める。

また、私立探偵ジョン・ラバ(ケヴィン・ベーコン)などが、マキシーンが過去に巻き込まれた事件や、彼女の“秘密”を追っていた。

殺人事件やストーキング行為が進む中、マキシーンは自分の “過去” と向き合わざるを得なくなる。

やがて“ストーカー”の正体、マキシーンを追う者の背後にある動機、父親の存在などが明らかになっていく。

最終的に、父親との対決を経て、マキシーンは “有害な過去” を断ち切りながら、念願の主演映画での仕事──The Puritan II の撮影開始の場面で物語が区切りを迎える。

・・・
ショービズ界では怪物と呼ばれてこそスター。ベティ・デイヴィス」という言葉が冒頭で引用される。スターになるためには、ある種の異形さや強さを持つ「怪物」的な存在になる必要がある、というデイヴィスの考えを示している。

冒頭は1959年。幼い少女がダンスのステップを踏んでいた。宗教活動家の父親らしき人が「教会のスターになる」と声を出す。

その後、マキシーンは「ポルノ女優」から「正規の映画女優」へ、より広い認知と成功を望み、名声を得るための代償や、夢を追う過程での自分との葛藤が描かれている。

マキシーンが抱えている過去のトラウマの一つ、映画「X」で経験した“テキサスでのポルノ仲間との惨劇”など内面の葛藤、恐怖などが重く影を落としていることがすべての行動の背景にある。

マキシーンは自身の過去を胸の内に持ちつつ、それを隠して成功を追いかけることになる。見せかけのイメージ、舞台裏の現実とのギャップ、他者(父親、メディア、業界)の目による自分の見え方に対する葛藤。

そもそも、マキシーンの父親は伝道師・宗教活動者であり、”ハリウッド”を悪・堕落と見なしていて、娘を“救済”しようとしていた。

マキシーンたちの周囲で起きる一連の残虐な殺人・ストーキング行為はストーカーのラミレスその人の犯行ではなく、模倣者(コピーキャット)であることが示されている。

そのコピーキャットの正体こそ、マキシーンの父、アーネスト・ミラーだった。実は、アーネスト・ミラーが背後で組織を持ち、マキシーンの周囲の女性たちを殺しながら、娘を“救い”出す名目で動いていたのだ。

マキシーンを自身から遠ざけた“罪”や“悪”から解放させたいという父としての使命感と歪んだ愛情が根底にあった。

ホラー映画というジャンルを使って「成功・名声を追う者」と「モラル・道徳を振りかざす者」の対立を描いているようだ。

主演女優に魅力が乏しいのが残念。ちょい役で出ていたリリー・コリンズ(「あと1センチの恋」)はよかったが。Wikiでみたら「オードリー・ヘプバーンリアム・ギャラガーの眉をつけたような完璧な顔」とあった。

マキシーンが、映画スタジオで映画関係者に「ホラー出身の名優を5人挙げて」というと、「ジェミー・リー・カーティス、ジョン・トラヴォルタデミ・ムーアブルック・シールズ」といった名前がスラスラと出てくる。マキシーンは、続けて「マキシーン・F***ing ミンクス」でしょうと声高に叫んだ。

 

主な登場人物
■マキシーン・ミンクス:ミア・ゴス…かつてのポルノ女優から、主流の映画界で女優として成功したいと願っている。過去のトラウマやサバイバーとしての過去(映画「X」の出来事)を抱えている。
■エリザベス・ベンダー:エリザベス・デビッキ…「The Puritan II」の監督。マキシーンの主演を起用する人物。芸術性やホラー映画の“アイデア性”を重視する。
■レオン・グリーン:モーゼス・サムニー…マキシーンの友人。ビデオ店に働いている。マキシーンの身近な理解者。
■タビー・マーティン:ホールジー…マキシーンの友人で同じ大人のエンターテインメント業界で働く女性。
モリー・ベネット:リリー・コリンズ…最初の「Puritan」映画で主演を務めた女優。
■ジョン・ラバ:ケヴィン・ベーコン…私立探偵。マキシーンの過去や、殺人事件とマキシーンを結びつけようと動いている。
■ウイリアムズ:ミシェル・モナハン…女性警部。
トーレスボビー・カナヴェイル…警部。ウィリアムズとともにナイト・ストーカー事件および“コピーキャット”を捜査。マキシーンが事件に関係あるかどうか追う。
■アーネスト・ミラー:サイモン・プラスト…マキシーンの実父。伝道師で宗教的信念を持つ過激な思想を抱えている。マキシーンと疎遠になっていたが物語のキーとなる人物。

 

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