映画「パワー・ゲーム」(原題: Paranoia、2013)は、ジョゼフ・フィンダーの小説「侵入社員」を原作にしたスリラー映画。監督はロバート・ルケティック。出演はリアム・ヘムズワース(「ラスト・ソング」)、ゲイリー・オールドマン(「レオン」)、アンバー・ハード(「ラム・ダイアリー」)、ハリソン・フォード(「インディ・ジョーンズ」)、リチャード・ドレイファス(「グッバイガール」)ほか。原題のParanoiaは「ある妄想を始終持ち続ける精神病」のことで、偏執病、妄想症などと言われる。
産業スパイを巡る大企業の攻防がスリリングで、「レオン」の怪優・ゲイリー・オールドマンなど個性派俳優も見どころだった。ハリソン・フォードのボールド・ヘッド(坊主頭、禿げ頭)には驚いた(笑)。
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巨大IT企業「ワイアット社」に勤める野心家の青年アダム・キャシディ(リアム・ヘムズワース)は、チャンスを与えられずなかなか結果を出せずにいて、いつまでも給料が上がらない日々を過ごしていた。彼には病気の父親フランク(リチャード・ドレイファス)がいて、金を稼がなければならない事情があったのだ。
ある日、アダムは企画会議での自身の「プレゼン」の失敗からケヴィン(ルーカス・ティル)などの仲間たちと共にリストラされ、その腹いせに「会社の経費」を私的に流用してしまい、これがCEOであるワイアット(ゲイリー・オールドマン)に発覚してしまう。
終わりを覚悟するアダムだったが、ワイアットは、アダムのプレゼンで見せた気骨(社長に物申す態度)に興味を持ち、彼に極秘命令を下すのだった。
それは、ワイアット社の長年のライバルである「アイコン社」に産業スパイとして潜入し、新製品の情報を盗み出せというものだった。
ワイアットに弱みを握られてしまったアダムは断ることもできず、「アイコン社」に社員として潜入することになる。
アイコン社に入ったアダムは、幹部職員のエマ(アンバー・ハード)と親密な仲になり、次第にCEOのゴダード(ハリソン・フォード)からも信頼を勝ち得ていくのだった。
今までとは打って変わった生活に酔いしれるアダムだったが、彼を待っていたのはワイアットとゴダード、二人の経営者の恐るべき本性だった。
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産業スパイとして、潜り込んだものの、その会社のトップはそれを見抜いていて、罠にはめるという一枚も二枚も上手の人物だった。
そんな中、ゴダードは、ワイアットとアダムの会話をすべて記録しており、証拠をFBIに提出されたくなければ「ワイアット社の株式の半数を渡せ」という条件を、ワイアットに伝えるようアダムに命じた。
アダムはそれをワイアットに伝え「ワイアットの女秘書がゴダートに通じている」と証明して、その時の会話を元同僚でITスペシャリストのケヴィンが記録する。
事前にゴダートの携帯電話にダウンロードされていたアプリにより、ケヴィンは携帯電話内のメール情報をダウンロードし、それをFBIに送り付けたため、FBIが乗り込んで、ゴダートとワイアットは逮捕されて刑務所送りとなった。
アダムやケヴィン達も逮捕されるが、FBIに捜査協力したこともあり、情状酌量されて不起訴となった。
ケヴィンたちと会社を立ち上げたアダムは、エマに入社してくれるようオファーして、二人はふたたび恋人として付き合うようになったところで、物語は終わる。
「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」シリーズなどで一時代を築いたハリソン・フォードも、この映画の撮影時は70歳を超え、坊主頭に近い風貌。
リチャード・ドレイファスも65歳で、病弱の役柄とはいえ年齢を難じさせる。「アメリカン・グラフィティ」で、ハリソン・フォードとリチャード・ドレイファスは共演していたが、当時はドレイファスが格上の存在で、ハリソン・フォードはほとんど新人。
その後は、飛ぶ鳥を落とす勢いのフォードが人気・実力・実績等では逆転しているようだ。「パワー・ゲーム」では、22歳のリアム・ヘムズワースが「太陽がいっぱい」のころのアラン・ドロンを彷彿とさせる二枚目で登場し、主役交代を印象付けている。
とはいえ、かつてのレジェンド俳優も脇に回る役どころで存在感を示していた。
クラブでアダムが躍っている姿が魅力的なエマに惹かれるが、親しくなってから、エマから「ブルックリン側の人か?」と聞かれる。富裕層が多く住むマンハッタンとイーストリバーを挟んで対岸にあるのが低所得者が住む地区のブルックリンで、格差を表している。
ラストでは、アダムがブルックリンに新会社を立ち上げ、エマも社員として請われ、「考えておく」と言いながらもブルックリン側の人間になるというオチになっている。
<主な登場人物>
■アダム・キャシディ:リアム・ヘムズワース…IT企業、ワイアット社の27歳の若手社員。7歳の頃に母を亡くした。
■フランク・キャシディ:リチャード・ドレイファス…アダムの父親。病気を患っている。かつて32年間、警備員の仕事をしてきた。
■ニコラス・ワイアット:ゲイリー・オールドマン…ワイアット社・社長。ゴダードの会社から独立した弟子にあたる人物。
■ジョック・ゴダード:ハリソン・フォード…アイコン社CEO。携帯の小型化を可能にした人物。麻薬で息子を亡くしている。
■エマ・ジェニングズ:アンバー・ハード…美人でアイコン社の幹部職員。
■ケヴィン:ルーカス・ティル…アダムの同僚。ITスペシャリスト。
■Dr.ジュディス・ボルトン:エンベス・デイヴィッツ…行動心理学の専門家。
■マイルス・ミーチャム:ジュリアン・マクマホン…アダムをワイアットの元に連行した。
■エージェント・ギャンブル:ジョシュ・ホロウェイ…FBI捜査官。
■アリソン:アンジェラ・サラフィアン…ケヴィンのメガネの女友達。
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