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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「キネマの神様」(2021)山田洋次監督の映画賛歌。

  

キネマの神様」(2021)は「男はつらいよ」シリーズなどの名匠・山田洋次監督が、作家・原田マハの小説を映画化。「松竹映画100周年」を記念して製作された。


原作を読んで大感動したので、期待が大きかったが、公開時に原作とは内容がかけ離れているというのを目にして、あえて見過ごしていた。Netflix配信が始まったので見た。原作とは別物と考えたほうがいいようで、山田洋次監督の映画賛歌といった雰囲気は出ている。期待以上でも以下でもなし(笑)。


北川景子を、往年の日本の名作に登場する原節子のようにとらえているのがいい。


家族から白い目で見られるダメダメ親父の物語を紡ぐというものだが、ギャンブル依存症で、妻と娘は、借金まみれの親父をギャンブルから断ち切ることができるのか…。


主演を務めるのは沢田研二と「アルキメデスの大戦」などの菅田将暉。共演は「君は月夜に光り輝く」などの永野芽郁(ながの・めい)、バンド「RADWIMPS」のボーカルで「泣き虫しょったんの奇跡」などの野田洋次郎のほか、北川景子寺島しのぶ小林稔侍、宮本信子などがわきを固める。
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競馬、麻雀とギャンブル依存症のゴウ(沢田研二)は、妻の淑子(よしこ、宮本信子)や家族にもすでに見捨てられていた。


そんな彼が唯一愛してやまないのが映画で、なじみの名画座「テアトル銀幕」の館主テラシン(小林稔)とゴウはかつて共に映画の撮影所で同じ釜の飯を食った仲だった。


若き日のゴウ(菅田将暉)とテラシン(野田洋次郎)は、名監督やスター俳優を身近に見ながら青春を送っていた。


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過去シーンでは、青春ラブストーリーといった趣。
劇中の売れっ子監督役にリリー・フランキーが扮しているが、役者の芝居には興味がないと言い切る。


これに対して、主演を張る人気女優役の北川景子が「監督は俳優がお嫌いのようね」というと「外国にはいい俳優が多い」とフランキー。


「例えば?」とさらに聞くと「ベティ・デイヴィス、クローゼット・コルベール、グリア・ガースンジャネット・ゲイナーが好きだった」と往年の名女優の名前が飛び出す。山田監督の好みかと思う。これには続きがあって「嫌いなのはグレタ・ガルボエバ・ガードナー」(笑)。


映写技師のテラシンのセリフに「カットとカットの間に神様がいるんだ。映画の神様が」というのがあり、映画のタイトルになったようだ。


「撮影所はいつから八百屋になったんだ」「どうして?」「大根(役者)が出入りしているから」というセリフは笑わせる。


映画撮影は、新型コロナ重なり、しかも主演を予定していた志村けんが亡くなったことで、志村けんの代役に沢田研二が登板。ジュリーとして騒がれたころとは似ても似つかない救いようがない78歳の老人役になっていた!


ゴウの若き日の脚本を見て感動したゴウの孫が、脚本に手を加えて、なんと城戸賞・脚本賞を受賞する。競馬好きなゴウは思わず「大穴が来ちゃったんだよ」と喜ぶが、賞金の100万円は、娘(寺島しのぶ)が管理して、30万円は、闇金の借金返済に充て、70万円は、コロナ化で休館に追い込まれるほど経営が苦しくなっていたゴウの親友の映画館主テラシンに使ってもらうことにした。


映画館内は、2020年当時の座席のソーシャル・ディスタンスの光景も映される。

淑子がテラシンとさかのぼること9年前に、何十年ぶりかで再会するシーンがあるが、「よしこちゃんだ。よしこちゃんだ」というこのシーンはよかった。


映画、ブラボー!という映画だった。

エンドロールの最後に「さようなら 志村けんさん」という追悼の言葉があった。

 

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