「セクシー地帯」(1961、新東宝)を見た。82分、モノクロ。英題は「Girls of the Secret Club」。新東宝は1961年倒産。「地帯」を「ライン」と読ませ「地帯(ライン)」シリーズ5部作がある。
主演はこのシリーズで知られる吉田輝雄(後に松竹の「愛染かつら」「古都」、東映で「網走番外地」など)、三原葉子(「女吸血鬼」)、三條魔子(「美男買います」)、池内淳子(「新妻鏡」)など。監督は石井輝男(「花と嵐とギャング」「網走番外地」シリーズ)。
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東京貿易に雇われている滝川玲子(三條魔子)は、名目はタイピストだが、接待用の特殊女性として働いていて、社員・吉岡(吉田輝雄)との結婚資金かせぎに森川部長(九重京司)とも密会を重ねていた。
ところが吉岡は森川から預かった書類を盗まれたのが原因で大阪転勤を命じられる。玲子は森川に、自分との肉体関係を公表すると脅して吉岡の転勤命令を取消させ、手切金(小切手に30,000円と森川が書くと「3」を「8」に書き換える欲深さ)までせしめる。
その足で彼女は自分が所属するクロッキー・クラブに行き、ボスの瀬川(沖竜次)に脱会を迫るが逆に殺されてしまう。
玲子殺害をラジオで知り、しかも自分が容疑者に仕立てられているのを知った吉岡は、呆然と街を歩くうち、先に書類をスった女スリ・真弓(三原葉子)と会い、それを取り返えした。
バー・バッカスで二人が空けた書類の中味はなんとクロッキー・クラブの会員章一枚だった。吉岡はさっぱり解らなかったが、刑事泣かせの女スリ真弓にはこのカードの裏に玲子殺害事件のナゾがかくされていることを感じるのだった。
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当時としては、スタイリッシュでクールなサスペンス映画。この映画では脇役の池内淳子だったが、その後は、大女優となり池内淳子はテレビで活躍の場を広げ、映画でも「男はつらいよ」に出演した。
銀座、有楽町、新橋、などの街角をロケしたカメラワークがすばらしい。数寄屋橋近辺には、貸しボート場があり、夜の銀座の裏通りのバーのネオン街も賑やか。
街のいたるところに映画館があり、「大草原の渡り鳥」(1960年10月公開)などの日活の映画ポスター等が見られる。タクシーの初乗りは70円。ボート場の近くでは「SONY」のネオンも見られた。
背景に流れるジャズの音楽もいい。映画が撮影された、60年前の1960年頃の銀座界隈の風景を知ることができ、その変貌ぶりも感慨深い。
■この映画はギドラさんが「DVD」コレクションで紹介していた作品。ただいまNetflixで配信中。
■オープニングシーンはこちら:
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