「消えない罪」 (原題:THE UNFORGIVABLE、2021)を見る。「バード・ボックス」などのサンドラ・ブロックが製作・主演を務めるサスペンス・ドラマ。最後まで重苦しさが残る映画だった。殺人の罪で刑務所を出所した主人公の女性が新しい人生を再起させていく姿を描くという、日本の「すばらしき世界」と同じような構図といえる。
共演は「バーズ・オブ・パラダイス」のヴィンセント・ドノフリオ、「マ・レイニーのブラックボトム」のヴィオラ・デイヴィスほか、ジョン・バーンサル、リチャード・トーマス、リンダ・エモンドらなど。
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殺人の罪で服役して20年の刑期を終えて出所したルース・スレイター(サンドラ・ブロック)。しかし、罪を償って社会に出たはずの彼女を待ち受けていたのは、過去の罪への厳しい目線だった。
社会に溶け込むことができずに孤立し、安息を求めて訪れた故郷の地でも厳しい批判にさらされ、行き場をなくしていくルース。
そんな彼女の頭の中にあるのは、逮捕される前にとある理由で置き去りにしてしまい、離れ離れになってしまった妹を捜すことだった。
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原題の「許されざること」の意味が邦題ではミスリードされそうだ。一度、犯罪を犯したというレッテルがつくと、社会ではなかなか受け入れがたいという厳しい現実を描いている。
この映画では、複数の家族の人間模様を描いていて、複雑に入り混じっているので、焦点がややボケているきらいがある。
(ネタバレ)
姉ルースが家の外にいる警官たちと電話で言い争いをしているが、警官の一人が家に立ち入ってきたので、5歳の幼い妹がライフルを手に取り、咄嗟に警察官を撃ったのだった。5歳の子供に判断力があるわけではなく、年の離れた姉(20歳以上は離れている?)が身代わりとなって、服役することになったのだ。
20年もの間、妹の消息が気がかりで、出所すると、妹が、養子となっていることが判明。そこの一家との争い、さらに殺された警察官の息子兄弟が、父親が殺された殺人犯への復讐、弟の妻と兄の不倫、養子となっている家には妹と同じ年頃の娘もいて、間違って誘拐されたりと、話が”てんこ盛り”すぎる。
サンドラ・ブロックが疲れきった別人のような表情で身なりも古着で魚をさばいたりの悪環境での仕事をするが、職場の知り合いがちらっと服役の過去を職場で漏らしたことから大騒動に発展する。
ラストは拍子抜けのエンディングだったのが残念。
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この映画は実はリメイクとのことで、2009年の“サラン・ジョーンズ”主演で「Unforgiven」というタイトルでミニシリーズが元ネタ。イギリスのこのミニシリーズが好評で、2010年頃からアメリカでは長編映画化の企画が進行していたがいつのまにか頓挫。それが2019年に再始動し、Netflix製作で一気に進んでいったという。
サンドラ・ブロックや共演者の演技を見るところには価値がありそうだ。
主な登場人物:
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