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「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「関東無宿」(1963、日活、鈴木清順監督)を見る。

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関東無宿」(1963、日活、鈴木清順監督)を見る。「拳銃無宿」「マンハッタン無宿」など”無宿”とつく外国映画はあるが、日本の「無宿」はどうか(笑)。監督が鈴木清順とあっては、すんなりとはいかない。例によって、色彩、特に真っ赤の色が登場している。

やくざの世界の非常な掟に押し流され、短い生涯を送った二人の男の物語。落ち目の一家を支える代貸を主人公に、やくざの世界の虚しさや不合理さを哀感をもって描く。

主演は小林旭。共演には伊藤弘子、中原早苗伊藤雄之助松原智恵子殿山泰司、安部徹、平田大三郎など。三人の女子高生が交互にドアップで画面に映し出される。女子高生を演じる松原智恵子が若い(当時18歳)。

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伊豆組の幹部、鶴田(かつた、小林旭)は縄張り争いで台頭する吉田組に対抗すべく、組の立て直しに奔走していた。

ある日、伊豆組の乾分(高緒弘志)は吉田組の子分“ダイヤモンドの冬”(平田大三郎)が刺青師の家で見そめた花子(中原早苗)をだまして売り飛ばしてしまう。

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新たな火種に、花子を探す鶴田(かつた)は、途中ある賭博で昔出会った辰子(伊藤弘子)を見かける。伝説のイカサマ師“おかる八”の女と知った鶴田は、彼とサシの勝負を挑むのだが…。 
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鈴木清順がはじめて挑んだ任侠映画。前半は松原千恵子などの女子高生三人娘が任侠に憧れるという話。

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中盤は一転して、小林旭と伊藤弘子による恋愛劇。終盤になると硬派な復讐劇へと変化していく。

ストーリー展開だけをみても不思議な感覚の映画だ。小林旭が賭博場で斬り合いをするシーンでは、清順監督の特徴的なの色調(「東京流れ者」など)が背景に登場する。

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これを清順美学の極地というのか。それに続くシーンは、雪景色の中を、小林旭が歩いていく・・・。賭博では、丁半のサイコロの他、花札(おいちょかぶ)があったが、花札での伊藤雄之助イカサマのシーンが面白い。

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f:id:fpd:20211217143814j:plain 鶴田が後で気づく

小道具として、相手の手持ち札が反射して見えるように「寿司」の醤油皿を使ったり、タバコケースの反射鏡を使ったり、愛人にカンザシを触って合図させるなど、姑息なインチキがある。

 

清順作品はあまり見ていないが、印象に残るのは「けんかえれじい」「ツィゴイネルワイゼン」「東京流れ者」「肉体の門」遺作となった「オペレッタ狸御殿」など。

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