映画「暗闇でドッキリ」(原題:A Shot In The Dark、1964)はピーター・セラーズがクルーゾー警部を演じるピンク・パンサーシリーズの第2作にあたる。前年製作の「ピンクの豹」に準主役として登場したクルーゾーを主役に格上げした作品。監督は「ティファニーで朝食を」「酒とバラの日々」「グレートレース」のブレイク・エドワーズ。音楽は監督とのコンビの多いヘンリー・マンシー二が担当。
時にはマヌケと揶揄されるドジでおっちょこちょいのクルーゾー警部を中心としたドタバタ・コメディ。間抜けながら直観力は刑事コロンボ並み。アメリカ映画だが、舞台はフランス。
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パリの大富豪バロン(ジョージ・サンダース)邸で使用人の射殺事件が起こる。部下のエルキュール刑事(グレアム・スターク)を伴い捜査に向かったパリ警察のクルーゾー警部(ピーター・セラーズ)は、バロン邸のメイドで重要容疑者のマリア・ガンブレリ(エルケ・ソマー)に一目惚れしてしまう。
ドレフュス本部長(ハーバート・ロム、左)
クルーゾーの上司であるドレフュス本部長(ハーバート・ロム)はクルーゾーの派遣後に殺人現場が大富豪のバロン邸と知らされ、自ら屋敷に乗り込みクルーゾーを事件担当から外す。しかし、何故かクルーゾーを気に入ったバロンの要望により、クルーゾーは捜査に復帰するのだった。
殺人事件の容疑者は邸内で唯一アリバイのないマリアだった。しかしクルーゾーは美しいマリアの無実を確信、彼女が誰かをかばっていると推理する。
独自の調査に邁進するクルーゾーはマリアを泳がせて真犯人を探ろうとするが様々な失態を繰り返す。
遂にはマリアと共にヌーディスト・キャンプから裸で逃走するという騒動を引き起こしてしまう。
このクルーゾーの行動に悩まされるドレフュスは神経衰弱に陥っていく。
そうする内にも次々とバロン邸関係者が殺害され、いずれの事件も容疑の眼はアリバイのないマリアに向けられた。
クルーゾーは犯人はマリアに横恋慕する者だと推理し、自らマリアとデートし、嫉妬に狂う犯人を誘い出そうとする。
しかし謎の殺人者が彼らを狙い、その場に居合わせた無関係の人々が巻き添えで殺されてしまう。
半狂乱のドレフュスに叱責されたクルーゾーだが、事件に決着を付けるべく、エルキュールを伴い、真犯人に罠を仕掛けるためある計略を持ってバロン邸に乗り込むのだが…。
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オープニング・タイトルは、カラフルなアニメーションで、見どころ。
バロン家の豪邸で殺人事件が起きるが、ドレフュス本部長は気に食わないクルーゾー警部を担当から外すが、バロン家の主人の圧力か、クルーゾーを担当に指名してくる。
ドレフュス本部長によれば、クルーゾーをマヌケな警部と見抜いて、事件をもみ消せると判断したのに違いないという。
ヌーディスト・キャンプからクルーゾーとマリアが裸で、車に乗って、パリ市内を走るので、まわりからは好奇の目で見られることになる。
ラストは、屋敷の関係者全員を集めて、クルーゾーが犯人にたどり着いたと宣言する。そして、ある時間きっかりに照明を落とすという”ドッキリ”を仕掛けるのだが…。バロン伯爵は犯人ではないのに殺されてしまうとは…。
<主な登場人物>
■ジャック・クルーゾー警部:ピーター・セラーズ…ドジで滑稽なフランス警察の警部。捜査ではミスばかりだが、不思議と事件の核心に近づいていく。
■マリア・ガンブレリ:エルケ・ソマー…大邸宅に勤める美しいメイド。殺人現場にいたため逮捕されるが、クルーゾーは彼女の無実を信じる。
■シャルル・ドレフュス本部長:ハーバート・ロム…クルーゾーの上司。クルーゾーを毛嫌いしている。クルーゾーのドジに振り回され、しばしば苛立ち、最終的に精神的に追い詰められる。顔面神経痛のように片方の目をウインクのようにパチパチさせる。
■ベンジャミン・バロン:ジョージ・サンダース…伯爵で大邸宅の主人。屋敷の中で複雑な人間関係と愛憎が渦巻いており事件の鍵を握る。
■ドミニク・バロン:トレイシー・リード…バロン伯爵夫人。
■エルキュール・ラジョイ刑事:グレアム・スターク…クルーゾー警部の実直な部下。
■フランソワ・シュヴァリエ巡査部長:アンドレ・マランヌ…ドレフュス本部長の部下。
■ケイトー・フォン:バート・クウォーク…クルーゾー宅の使用人。クルーゾーの空手の弟子.。修練のためにいつでもクルーゾーを奇襲していい約束になっている。
■ラファージュ:ダグラス・ウィルマー
■モーリス:マーティン・ベンソン
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