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映画「ビリーブ 未来への大逆転」(原題:On the Basis of Sex、2018)を見る。

映画「ビリーブ 未来への大逆転」(原題:On the Basis of Sex、2018)を見る。これは見ごたえがあった。法律はその時代に合わせたもので、法律そのものが差別を助長していることもあるようだ。

アメリカの憲法で「人は法の下に平等」と説いているが、主人公のルースは「人種差別は歴史を理由に合法化」されていると主張。法律そのものが男性有利になっているというのだ。差別的な法律をすべて洗い出すという主人公のルース。

映画は実在した最高裁判所女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの若き日の物語を描いた伝記ドラマ。

女性に対する有形無形の差別がまかり通っていた1970年代のアメリカを舞台に、男女平等を実現するために、誰もが勝ち目がないと考えた裁判に挑んだヒロインの不屈の闘いを、彼女を支えた夫との絆とともに描き出す重厚なドラマだった。

主演は「アメイジングスパイダーマン2」「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズ、共演は「コードネーム U.N.C.L.E.」のアーミー・ハマーほか。監督は「ペイ・フォワード 可能の王国」のミミ・レダ

そして「ミザリー」(1990)で狂信的な読者を演じて怖かったキャシー・ベイツが今では円熟味を見せるベテラン弁護士を演じているのが大きな見どころ。

主演のフェシリティ・ジョーンズは「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(2016)を見たときに、一見するとナタリー・ポートマンジェニファー・ローレンスのような野性的な存在感があり…と書いたことがあった。芯が強く、正義感に満ち溢れている。うーん、クール。

fpd.hatenablog.com・・・
ハーバード大学ロースクール法科大学院)に女性として合格して入ったものの、そこは完全に男性社会。数百人のうち、女性の人数はわずか9人。

コロンビア大学法科大学院を首席で卒業したルース・ギンズバーグフェリシティ・ジョーンズ)。しかし女性というだけでどの法律事務所も彼女を採用しようとはせず、やむなくコロンビア大学の教授として働き始める(コロンビア大学の教授というだけでもすごいが、ルースにとっては腰掛に過ぎなかった。笑)。

それでも弁護士への夢を諦めないルースは、弁護士の夫マーティン(アーミー・ハマー)からある訴訟記録を見せられると、世の中を変える裁判になると確信、自ら弁護を買って出るのだった。

マーティンが持ち込んできた案件はチャールズ・モリッツ(クリス・マルケイ)という名前の男性に関するものだった。

モリッツは働きながら母親を介護するために、看護師を雇うことにしたのだが、未婚の男性であるという理由でその分の所得控除が受けられない状態にあったのである。

その根拠となる法律の条文には「介護に関する所得控除は女性、妻と死別した男性、離婚した男性、妻が障害を抱えている男性、妻が入院している男性に限られる」とあった。

ルースは「法律の中に潜む性差別を是正する機会」を窺っていたが、モリッツの一件はその第一歩に最適だと思った。

「法律における男性の性差別が是正されたという前例ができれば、法律における女性の性差別の是正を目指す際に大きな助けとなるに違いない。また、高等裁判所の裁判官は男性ばかりだから、男性の性差別の方が共感しやすいはずだ」と考えたからである。

ルースはアメリカ自由人権協会(ACLU)のメル・ウルフ(ジャスティン・セロー)の助力を仰いだが、にべもなく断られてしまった。

その後、ルースは公民権運動家のドロシー・ケニヨン(キャシー・ベイツ)に会いに行き、必死の説得の末に協力を取り付けることができた。

ケニヨンの口添えで、ウルフも協力してくれることになった。それから、ルースはデンバーにいるモリッツの元を訪ねた。

モリッツは訴訟を渋ったが、ルースの熱意に心を打たれ、地元の行政府を訴えることにした。

ほどなくして、ルースとウルフは第10巡回区控訴裁判所に訴訟を提起した。ところが、ルースには法曹の実務経験がなかったため、口頭弁論でしどろもどろになってしまった。そこで、ルースは法廷経験のある夫、マーティンの力を借りることにした。

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何百という法のリストをアシスタントにタイプ打ちさせるときに「性差別」など「性(Sex)」という文字が多すぎるようですがとタイピストが遠慮がちにいう。

ルースは「そうね、ジェンダーがいいかしら」と、性も性別もSexという言葉は強すぎるのでジェンダーに変更するというのがいい(笑)。

ルースがすべての法律で差別的なものをリストアップするという時に、パートナーなどは、手作業でするのか尋ねると、今では当たり前の、当時では最先端の「大型コンピューター」(IBM製)だった。

秘書のタイピストが使っていたタイプライターもIBMの電動式タイプライターだった(あの、カシャカシャという音、仕事で使っていたので懐かしい。笑)。

<主な登場人物>
■ルース・ベイダー・ギンズバーグフェリシティ・ジョーンズ…本作の主人公。貧しいユダヤ人家庭に育ち、母親から「すべてに疑問を持て」という教えを受けて育つ。名門ハーバード法科大学院に入学するが、女性がほとんどいない環境、女子トイレがないなどの性差別的な状況に直面。首席で卒業するものの、女性であることを理由に法律事務所に就職できず、リーガルスクールの教員になる。1970年代、性差別に根ざした法律に異議を唱える訴訟に挑戦し「男女平等」の実現に向けて法廷で戦う。後にアメリカ合衆国最高裁判事となる。 
■マーティン・“マーティ”・ギンズバーグアーミー・ハマー…ルースの夫。ハーバード大学法科大学院でルースと同時期かやや先に学ぶ。税法(タックス法)の専門家。病気(癌)になった時、ルースが彼のクラスに出席したりノートを取るなどして助けるなど、家族・学業・家庭の両立を協力・支援するパートナー。 
■メル・ウルフ:ジャスティン・セロー…ACLU(アメリカ自由人権協会)の法務ディレクター。ルースと協力して訴訟を進めようとするが…。
■ドロシー・ケニヨン:キャシー・ベイツ…女性の権利やフェミニズム運動における先駆者的な弁護士。ルースが訴訟に取り組むにあたり、サポートをする。最初はルースのアイデアに対して距離を置くが、最終的にはその能力を認めて協力する。 
アーウィン・グリズワルド:サム・ウォーターストンハーバード大学法科大学院の学長(後にはアメリカ合衆国司法長官などを歴任)。
■ジェーン・ギンズバーグ:ケイリー・スパーニー…ルースとマーティンの娘。思春期の娘として、母の仕事や社会的立場を見て育ち、母の活動から影響を受ける若い世代の代表として描かれる。 
■チャールズ・モーリッツ:クリス・マルケイ…税法(タックス法)に関する訴訟の原告。彼は母親の介護のため看護師を雇ったが、その費用の控除が認められなかった(当時の税法は、女性や未亡人・離婚した女性、また妻が身体障害者であるなどのケースにのみ控除を認めるなど性別で差別的な規定があった)。男性であるがゆえに同じ控除を受けられないという逆差別的とも言える状況が、ルースが男女平等を訴える訴訟を立ち上げるきっかけとなる。 
■ブラウン教授…ハーバードでの教育者の一人で、ルースの学生時代の制度やジェンダー問題の指摘をする立場。 

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