映画「若大将」シリーズ、テレビドラマ「北の国から」などで活躍した俳優の田中邦衛が3月24日午前、老衰のため死去した。88歳。
岐阜県出身。関係者によると、最期は家族に看取られながら息を引き取ったという。独特の風貌と話し方で、モノマネにもされたが、映画では「仁義なき戦い」などが印象に残る。
1932年(昭和7年)生まれ。短大卒業後、中学での教員生活を経て55年に俳優座養成所に入所。3年後に座員に昇格。1961年に映画「大学の若大将」で加山雄三演じる若大将のライバル・青大将役で人気となった。
コミカルな演技が人気を呼び、以後シリーズで欠かせない存在となった。
一方で個性的な風貌から任侠映画にも多数出演し、高倉健主演の「網走番外地」シリーズ、菅原文太主演の「仁義なき戦い」シリーズでも活躍。
1981年スタートのフジテレビ「北の国から」では、妻と別れ2人の子どもと北海道・富良野で生活する、黒板五郎役(写真)を熱演。
番組のヒットとともに、ものまねをされるなど人気を博した。1989年から出演した大正漢方胃腸薬のCMでは「食べる前に飲む」というキャッチフレーズを定着させた。
1993年には、映画「学校」などで、第17回日本アカデミー賞助演男優賞を受賞。1999年に紫綬褒章、2006年に旭日小綬章。
2012年に「北の国から」などで共演した地井武男が亡くなり、8月に行われた「お別れの会」では「お礼の言葉」を述べた。同ドラマで当時、息子役だった吉岡秀隆に支えられながら、祭壇の前に立った。以後、公に姿を見せることはなく、最近では俳優を休業状態だった。
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とぼけた味わいがあり、口を斜めに曲げて話す口ぶりは、どこかの財務大臣と似ていなくもない。
ご冥福をお祈りいたします。