fpdの映画スクラップ貼

「名作に進路を取れ!」…映画とその他諸々のブログです。

映画「チャーリング・クロス街84番地」(1986、英国)アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンス主演。

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チャーリング・クロス街84番地」(1986、英国)を見た。主演はアン・バンクロフトアンソニー・ホプキンス。共演にはジュディ・デンチ。埋もれた名作の1本。

ニューヨーク在住の女流作家ヘレーヌは、ロンドンの古書店に注文の手紙を出す。店主のフランクからユーモアあふれる返事が届き、長年にわたる心温まる文通が始まる。タイトルの地名は「古書店の住所」だ。

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戦後間もない1949年。ニューヨークの作家ヘレーヌ(アン・バンクロフト)は大好きな英文学の古書を探していたが、仮にあったとしても値段が余りにも高い。そんなある日、新聞でロンドンの老舗古書店マークス社の広告を見かけた。

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早速直談判のための手紙をタイプで打つ。“私は、ニューヨーク在住の貧乏作家なもので、安く手に入る本を探しています”とユーモアもある文面で送った。

すると、間もなく、マークス社のフランク(署名は「FPD」(←どこかで聞いたことがある)から、丁寧な返事がきた。希望の品の在庫状況と手頃な価格について連絡があり、大満足のヘレーヌ。ヘレーヌは、すぐに感謝の気持ちと注文の手紙をしたためた…。

 

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フランクは、ヘレーヌの手紙が洗練され、センスとユーモアにあふれていることにに感嘆する。一方で、ヘレーヌもまた、フランクの英国紳士らしい上品で優しい文面を好ましく思うのだった。

互いに文学をこよなく愛する者同士で、絆を深く強めて行った。この二人のやり取りは、フランクの手紙に文面をタイピングする秘書や、書店の別の従業員など周囲の人々も巻き込んで行く。

 

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手紙の中で、ロンドンの食料事情が良くないと感じとったヘレーヌは、フランクや同僚たちに、お礼とハムなどの肉類や缶詰めなどの食料品をダンボールに梱包して送った。この予期せぬ贈り物に感激したフランクや同僚社員たちは、それぞれが思いを込めてヘレーヌに手紙を送るのだった。

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定期的に食料品を届けてくれるヘレーヌに、フランクの妻(ジュディ・デンチ)は、英国伝統の刺繍が施されたテーブルクロスを送った。これを受け取ったヘレーヌは、ロンドンへの憧れをさらに強め、ロンドン旅行を決意した。英国では、エリザベス王女が女王に即位し「エリザベス2世女王」となり、1953年6月2日には、女王陛下の戴冠式が行われることになり、戴冠式の見学も大きな目標だった。

その事を知ったフランクは、まるで恋人に会うようなときめきを覚え、心待ちにしていたが、ヘレーヌの都合(歯の治療で「歯冠」に2500ドルの費用がかかることになり)中止となってしまった。フランクには「戴冠式でなく、歯の冠のために、天文学的費用でいけなくなりました」と手紙を送った。落胆するフランクを見て、妻は秘かに嫉妬を覚えるほどだった。

その後、月日は流れ、ヘレーヌの仕事は順調に進むが、マークス社の社員仲間たちは、フランクを除き散り散りになってしまう。そんな中、フランクとヘレーヌは、古書と手紙のやり取りを通じて、変わらぬ交流を続けていた。

ある日、マークス社の社長秘書からヘレーヌへ手紙が届いた。フランクの突然の死を告げるものだった。結局、会うことのなかった二人。それでも、諦めきれないヘレーヌは、フランクの面影を追って、ロンドンへ旅立った。すでに閉店された古書店に足を踏み入れ、フランクや同僚たちの思い出に浸りながら、“やっと会えたわ”と微笑むヘレーヌだった。

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実際は、手紙のやりとりだが、カメラ目線で二人が会話しているような映像もあった。

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1940年代末の戦後まもない時期から、1969年に起きたアメリカの大学紛争(コロンビア大学ストライキ=映画「いちご白書」のモデル)ごろまでの世相も描かれる。テレビでは、野球のWS(ワールド・シリーズ)でニューヨーク・ヤンキースロサンゼルス・ドジャースの試合がうすし出されていた。背番号「42」ジャッキー・ロビンソンが活躍していた(後に「42」番は永久欠番になった)。へレーヌが映画館で、映画を見て涙する映画は、トレバー・ハワード、シリア・ジョンソン主演のメロドラマの名作「逢びき」だった。

英国戴冠式のテレビの前では、全員が起立していたのも印象的だった。